平成7年6月30日
第34回 厚生省交渉
交渉団側参加者12名 (内会員5名)
本谷晴志・先崎凉子・谷口民子・猪狩宏美・出元明美
厚生省側参加者1名
池田 年仁 (薬務局医薬品適正使用推進室室長補佐)
〔陣痛促進剤についての質問〕
1 オキシトシン、ジノプロスト、ジノプロストンの能書改訂以降の被害症例について、 厚生省、製薬企業が把握しているものがあれば報告されたい。又、かつてオキシトシン 、ジノプロスト、ジノプロストンのモニター品目指定を要望したが、実現していない。 能書改訂後の状況を知るためにも、是非品目指定をしてその後の被害状況把握に努める か、研究班を設置して実態調 査すべきと考えるがどうか。
2 ジノプロストン(PGE )を陣痛誘発、または促進のために膣坐薬として使用して いる医師に対して、厚生省はどのように対応するのか明らかにされたい。私共は、「使 用上の注意」に膣坐薬としては使用しないようにという注意書きを加える必要があると 考えるか、併せて見解を求めたい。
3 ジノプロストの使用量が能書で6μg/分、日母冊子では3μg/分の違いがあるが 、これが改訂されない理由は何か明らかにされたい。
4 帝王切開既往者に対する子宮収縮剤の使用で、子宮破裂が発生している。この注意書 きには、「慎重に使用する」と書いてあるが、これを「禁止する」に改訂して頂きたい。
(厚)能書改訂ってのは、平成4年10月1日に「使用上の注意」の改訂を通知したと、これ以降って事で宜しいわけですね。
(交)それと、平成5年3月、もう一度ありましたよね。
(厚)再評価結果での用量等の改訂です。それ以降について調べて来ましたが、今日現在までの全部の報告まで調べきれていませんので、そこは、了解して頂きたいんですけれども、少なくとも平成4年10月1日以降でですね。陣痛促進剤ということで、これらの薬剤を使いまして先般から問題になっています子宮破裂等、重篤な副作用があったということで厚生省に報告のあった症例はありません。
(交)えーっ。
(厚)唯一つだけ、平成4年10月直後に使われまして、羊水塞栓という要するに胎児の方に影響が出るという症例が1例だけ来ております。それ以外はないようでございます。これは、製薬企業からの報告です。それからですね。そういう状況でございますんですね。一番にありますような厚生省で調査して欲しいというような主旨かと思いますけれども、それについては先般来ずっと何回かお答えしているように、使用上の注意等の改訂で対応していますので、私共で被害の実態等を調べる予定はございません。
それから、2番ですが、前半は、健康政策局で扱うということで、続けて宜しいですか。
(交)はい。取り合えず回答だけ伺いましょう。
(厚)2番の後半ですけれども、ジノプロストンの錠剤ですよね、これ。それを膣坐薬に使ってらっしゃるという御指摘なんですが、現在の使用上の注意には、「適用上の注意」という所に「本剤は経口用のみに使用し、膣内に投与しないこと」という記載はございます。
(交)膣内にという言葉は入っていますか?
(厚)ございます。
(交)あっ、そうですか。
(厚)今、現状のものと、その部分が追加された時点でのものと両方貰いましたので、お渡しします。
(交)はい。
(厚)これは、科研製薬さんから貰ったものです。最後のところの6番のところかな。「適用上の注意」というところで、ここに。
改訂の時期を書いていますけれども、平成3年の12月の改訂ということで追加してございますということです。
(交)あら、本当だ。(小野薬品の能書には、そのような記載は、ない。昨年、厚生省に記載したい旨を申し出るも、拒否されたということを小野薬品の方から直接聞く。「情報提供ありがとうございました」と感謝される。)
(厚)そういうことで、ジノプロストンの錠剤については記載済みということで・・・。(交)わかりました。
(厚)3番目は前回からの引き続きのお話だと思いますけれども、えー、再評価結果等で用法・用量等の改訂をしまして、承認を変えられました。日母の例の平成4年の研修ノートというやつの記載との間で、最低用量の所に違いがあるではないかと、これについてどうかという話でしたんで、前回の、そのー・・・。本局では答えられないんで、健康政策局の方にお願いするって話にしてたんでず、今電話で確認しましたところ、この点については役所がタッチできないんで、どうこう言うような問題ではありませんので、出席できないと。
(交)それならそれで、来て言ってくれないと。
(厚)喋ってくれと、今申し入れしてありますんで。たぶん推定で言うと、承認されている薬をどう使うかは、お医者さんのその使い方の問題だと思うんですよ。厚生省がこう使っちゃいかんということは、出来ないということだと思うんですよ。それから3番ですね。再評価結果と違う日母の冊子がありますということで厚生省としては、繰り返しになってしまうんですが、中央薬事審議会での専門家の評価で、この6μg、これは体重1kg当たり0、1μg、それから使うという用法・用量が適当だということで以前の用法・用量が変えられたということでございまして、さらに3μgに相当する0、05μgということに改訂する必要があるかどうかというところについては、日母の先生にも電話等で聞いて見ております。ところが、その結果でも要するに承認内容の6μgという標準的に使うということで、承認されているという理解で実際に患者さんに対する使い方は、患者の症状等を見て、それに応じて使うということだから、問題はないというか、現状の新しい用法、用量の6μgで問題はありませんという、こういうお答えを頂いておりまして、現時点での用法・用量で問題があるという認識にはなっていないというのが、3番の回答です。それから4番目の現在慎重投与になっています、帝王切開既往者に対する子宮収縮剤使用での子宮破裂ということですが、これは現在慎重投与ということになっていまして、これについても、繰り返しになりますけれども、お医者さんがこういう患者さんに使うかどうかは、ドクターが患者さんの状況を見て考えるという話ですから、一律に禁止するというふうにして良いのかというのは、専門家に判断を仰がないといけないという状況です。それから先程、最初に申し上げましたように、前回の再評価結果、それから使用上の注意を改訂した後で具体的に子宮収縮剤を帝王切開既往者に使って、子宮破裂が起こったという症例がどんどん出て来て、適応上を禁忌にしないといけないという状況にはなっていないということでございます。
(交)それは、情報が製薬会社の方から来ていないからということだと思うんですよね。(厚)そりゃー。うちとしては、薬事法に基づいててすね。企業には薬の副作用を知った時には、30日以内に重篤なものについては30日以内に報告しなければならないという義務がありまして。それに違反すれば、罰則規定もありますので、それ以上のことをやれているか・・・。きちんと情報が伝わっているかどうかということについては、不明なんで、そこまですべて確認出来るような状況にはありませんので、何とも言い様がないんです。以上一通り答えさせて頂きました。
(交)左に座っている方は、昨年9月27日なんですが、第5子のお産で、第1子に帝王切開し、2・3・4子と経膣の自然分娩なんですが、昨年の第5子の場合に、予定日を11日超過したということで、「誘発しましょう」と言われて、誘発した結果が子宮破裂になってしまったということなんですね。東京のかなり有名な産婦人科の病院です。そういうふうなことがあるということでは、やはり病院に対しては、そのようなことが起こったら、製薬会社に言うとか、厚生省に言うとかを義務付けて貰わなければ、病院が何も言わない限りは、情報として被害とか副作用の報告はされないわけで、そこの所、やはり薬を適正に使う為には問題があるのではないかなと思うのです。
(厚)今おっしゃったことは、大変気の毒なことだと思いますのでなんなんですが、大きな問題として、一つは今回のケースで本当に薬の使い方が良かったのか悪かったのかということの判断が出来ないんですね。お医者さんが症状を御覧になって、どうお使いになるかということは、先程のように、ドクターの専門的知識に基づく行動なんですよね。薬務局の人間としては、適正使用の推進ということで色々うちではやっているんですけれども、どうしてもお医者さんが、どう使うかというところまで今の薬事法の中では、踏み込めない。そこの所は、コメント出来ないんです。もう一つは、実際に症状が発生した時に報告する義務、うんぬんの所は薬事法では、薬を製造して売る方、要するに企業ですね。
製造業者に対しては、副作用を知った時には、その情報として医療関係者に対しても、企業の義務付けられた行動に対して協力しなければならないという、義務ではなく、何というんでしょうか。協力規定しか今の所出来ていないというのが、状況でして、もう少し踏み込めばという所は色々指摘されていまして、今やっている適正使用推進事業の中で議論している最中ですね。非常に難しいことです。
(交)一件だけしか来ていないということは、本当に信じられないことなんですよね。
(厚)その辺は、企業は薬を納入している医療機関に行ってそういう状況があれば、当然情報をつかまえなければいけないわけですから、どんどん病院の情報収集活動を活発にやって欲しいわけですね。それで、市販後の安全性を確保するための調査をもっとやるようにということでは、色々の機会で指導はしていまして、御存知だと思いますけれども、市販後調査に関する基準なども使いまして「GPNSP」というんですが、平成6年4月(去年四月)からは、新薬以外の、既に市販されている医療薬品も含めて、市販後の調査をきちんとやるようにと、その為の社内体制の整備とか、調査の為の手順を決めなさいとか、そういうことをやらせているんですね。その精もあるのかも知れませんが、副作用報告の件数自体もどんどん増えてるんですよ。ちなみに、1昨年が、9500件くらいだったんですけど、去年が(今年の3月までですが)1万4500件。大体5割増しくらいで増えてますんで、そういう意味では、なるべく副作用を漏れなく拾ってくれて、重篤なものとか未知のものとか、どんどん拾って頂くということでやっていますので、努力しているということは理解して頂きたいなと思っております。
(交)しかし、医者の側が少なくとも製薬企業、プロパーの方に報告しなければ全然何の情報も上ってこないわけだから・・・。
(厚)そこの所が非常に難しい所です。
(交)だけど、きちっとやらないと結局は製薬企業の内部のことを言っても限界があるように思いますね。
(厚)今の制度上の限界かなということで、適正使用の推進もそうですけれども、安全対策の面からも検討課題、非常に大事なことだと。
(交)どうしてそこの所が義務付けにならないの。これまでの議論があるんだと思うんですけれども、なかなか義務付けにならないというのは、どうしてなんですか。
(厚)治療に当たるお医者さんがどういう治療をするのかということは、医者の責任でやっているんだというのが一つあって、治療した結果での何か起こった時について副作用として考えるかが、まず一つあるんです。
(交)副作用と考えるかどうかというのは?
(厚)それはちょっと違う話かも知れないけれど、義務付け出来なかったというのは、問題があるなという・・・。
(交)色々考えたけれど、報告の指針みたいなものを作るのに、例えばこういうふうに考えてみたけれども、医師側に了解を頂けなかったのか。
(厚)要するに報告を義務付ける議論があったかどうか。
(交)そこら辺はどうなんですか?
(厚)内部では、色々議論しているんだけれども、薬事法という薬の規制に代わっただけでは、医師に対する行動までの規制までは難しいということだったと思います。
(交)別のセクションがそれを考えるという話ですか?
(厚)そんなに簡単なことではないと思いますけれどね。今の薬務局全体でも医薬品の安全性の確保ということで議論している最中ですから。例のソリブジン事件を受けて、安全対策検討会ってのをやってるのは御存知だと思います。確か今日の御質問でも、この後ソリブジンの関係で確か出てくると思いますけれども、そういった所で色々と・・・。
(交)確かに検討はしているけれども・・・。
(厚)どこまでその辺をやるかはこれからの・・・。
(交)少なくともモニターの病院がモニター報告をきちっとやってれば、そこだけでも上がりうるわけでしょう。
(厚)モニター病院は全国で3500ヶ所指定していますので、そこから出来るだけ早く、重篤なものはどんとん出して下さいとお願いしているんですが。
(交)ところが全然増えませんよね。
(厚)さっき1万4000くらいになったと言いましたが、そのうちモニターは1600件ちょっとですから。
(交)でしょう。
(厚)それは、去年1500件ですから、ほとんど横ばい状態ではあります。
(交)それは、企業を経由して一万何ぼ入っているってことでしょう。
(厚)企業経由が1万3000件です。
(交)医者直接が1600でしょう。それはねー。企業が金を出しているからですよ。厚生省に渡したら2000円しか入らんところを・・・。
(厚)1500円です。
(交)企業だったら2万も3万も入ると・・・。
(厚)今は公正取引チェックで、普通は1万円で、上限で3万だったかな。
(交)そういう金が出るんですよ。そりゃー、金が入るところに情報を持って行くに決っとるでしょう。それは、義務付けるって形にしないとね。お医者さんの善意ばかり期待してても駄目なんですよ。
(厚)だから、今までの制度上の限界だと申し上げてるんで、今後そういう点もやって行く必要があると考えてますけど。
(交)そういうことも考えておられるってことですか。義務付けるってことを。
(厚)私が思えば直ぐ出来るってものでもありませんので、今後そういうことも十分検討して行く必要があるなとは、考えてるんですが、直ぐ出来るかどうかは、今までの経緯もあってなかなか難しいんじゃないかと思っています。ただ、薬の安全性確保からは、そういった面も非常に重要な点だとは思っておりますので。
(交)例えば、簡単な話ね。企業から副作用報告出すのを同じ値段にしなさいよ。1500円にしなさいよ。これでかなり情報が変わってくるのではないですか。
(厚)謝金とかの問題なのか、私はわかりませんけどね。少なくとも、報告がとういうふうに使われるのか、何の為に報告するのかを理解して頂ければ、お金の問題ではなくて、報告頂けるだろうと思っているんですよ。
(交)そういう善意だけじゃ駄目ですよ。
(厚)そう言われると、どうしようもない。うちとしては、制度の主旨を理解して頂く為に色々な機会を捉えて、病院にももっとやって下さいと、こういうふうに使ってるんですよと、言ってますし、戴いた情報もきちんと使用上の注意に反映してフィードバックするし、具体的な症例もどんどんこれからは出して行こうじゃないかという議論もしてますからね。そういう意味では活用される情報だってことを理解して頂くのがまず先だと思っていますね。
(交)現実をもう少し直視して頂いた方が良いですね。詳しく1番から行きましょう。品目指定については、もう2年前の最初からお願いしていたことですが、やはり、この薬は特別に本当に使い方によっては、酷いことが起こる薬なので、特にプロスタグランディン、オキシトシンについては、真剣にやってもらわなければ、命がかかっているんですよね。お母さんが亡くなった。子供が亡くなったということが、本当にちょっとしたことで起こり得る薬なんですから、その点、本当に今回是非とも品目指定をして頂きたいと。して頂かなければ、本当にこれから出産する人とか、もう出産したくないという人も結構いるんですよね。あの薬が恐いから、したくないというんですよ。3日前に陣痛が起こって入院した人から電話があって、現在病院に入院していると。自分は陣痛が起こって入院したけれども、病院に着いたら陣痛が収まったんで帰りたいと言ったら、「ちょっと待って」ということで、内診台に上がらされて、無理矢理何の承諾、同意もなく破水させられて、それから僅か40分で出産したらしいんですが、その後に点滴のボトルが反対にひっくり返
った状態を見たら、アトニンOが入っていると書いてあったと言うんですよ。本人は、それを拒絶したにも係わらず、黙って使われてるし、錠剤も「これ飲んで」と口の中にねじ込もうとしたんで、「やめて」と拒否したらしいんですけどね。
そういった状態が現実に起こっているんですね。その方は、同じ病院で三人目のお産だったんですが、1人目、2人目も子宮収縮剤を使われたらしいんですね。それで、とにかく呼吸困難にな
って、すごく苦しくって陣痛もかなり酷くて、大変だったということで、今回一生懸命勉強されて、必要がないものは使って欲しくないという思いで、拒否したらしいんですね。そうしたら、「あなた、宗教に入っているの」とか言われたというんですよ。薬を使えば色んなことが起こることはわかっていますが、特に子宮収縮剤については、お母さんの命、子供の命、また後遺症ですね。それがかかっているので、どうしても今回品目指定をお願いしたいと思います。
(厚)薬務局のセクショナリズム的で申しわけないんですけれども、うちの方からアプローチできる範囲とちょっとズレがあると思うんです。今の話では、病院の医療上でどういうことが行なわれているかという御説明だとしか思えないわけですね。それぞれ医療機関内でこういう治療が必要だということで、もしやられているとすれば、それはドクターなり、病院の治療の話でして、先ほどから言っている二番の前半でくる筈だった他の部署の健康政策局がお答えしなければならない内容だと思うんですよ。
医療実態の調査を私ども薬の自主流通規制、販売規制をやっているかと薬務局に言われても、これはちょっと難しいんです。
(交)実態ではなくて、薬を使ったことによる何らかの副作用などがあった場合に、品目指定をしていれば、それが上がってくるんじゃなかろうかということで、品目指定についてはそれお願いしたいと。
(厚)品目指定調査の主旨を前から何度もお話してますけれども、実際に薬の副作用が起きた場合の報告義務ってのは既に出してありますので、そういうので上がってくる副作用に重篤なものが頻発するということがあれば、品目を指定して調査させるという主旨のものなんですよ。さっきも申し上げましたように、使用上の注意の改訂した後での報告というのが増えているという状況ではないものですから、今ここでは調査致しますということを言えません。申しわけありません。
(交)この薬を使えば、そういうことが起こり得るということは既に分かっているんですよね。
(厚)使えば、使い方次第では副作用が起きるだろうということは分かっておりまして、だからこそ使用上の注意の改訂についても皆様方からの意見もお聞きした上で優性保護協議教官の資料とかも参考にして前回御説明したように使用上の注意の改訂に至ったんだと。薬の使い方の注意事項をもっと徹底してですね。お医者さんがよく読んで、おかしな事が起こらないようにして頂くというのが一番の仕事でしてね。そういう何かあるんじゃないかという感じでの調査をするようにということでは・・・。
(交)そうなるとね、池田さん。こちらに寄せられている具体的ないくつかの症例が、あるんですよと。平成4年10月以降の、改訂したにも係わらず、これたけのものが出てるんですよと、そう言ったものを持って来なければ、そういった事例が実際に上っていないから、調査としてはできないんですよという今の回答ですよね。
(厚)もし本当にそういうがあれば、必要かどうか良く考えて、やる必要があればやりますよ。
(交)ということなんですね。
(厚)そう、それはそうです。
(交)そういう事例を持って来てくれと。逆に言えば。
(厚)こちらに持って来てくれというわけではなくて、実際にあるんであれば・・・。
(交)少なくとも上がらないこともありうるわけですから、これまでの話では。
(厚)そういうようなことが本当にあるんであれば、副作用とか、どんどん起きているというのであれば、例えば単なる副作用の項に書くのではなく、もっと上のランキングの、それこそ警告を書くという話にもなりかねませんから、そういう状況があるかどうかですよね。うちの方に来ている報告を見ても、そういうようにはなっていないんじゃないかと思います。
(交)じゃあ、次回に10件ほどの被害症例を持って来ましょう。
(厚)そうじゃなくて。
(交)普通は上がって来るわけでしょう。
(厚)企業に連絡して・・・。
(交)だって上って来ないんだもの。この薬を使えば、こういう事が起こり得ると書いてるでしょう。能書にね。だから、副作用なんだけれど、この薬を使えば、こうなるんだからという事で、別に気にしてないのね。医師達は。おそらく。だから、あえてこういう事が起こりましたという事を知らせてないわけだと思うんですよ。
(厚)それは、うちとしては逆の主旨ですからね。こういう事が起こることに注意して、なるべく起こらないように、もし万が一起こってしまった場合には、手当てもきちんやって軽くするようにということで、注意してるんで、その主旨が徹底されていないって事であれば、もっとこれが分かりにくいってことであれば、記載の表現を変えるとかという事も含めて検討しますので、ちなみに使用上の注意は、例のソリブジンの時にも相互作用など、小さくて分かりにくいという事が色々ありましたんで、文章をもっと分かりやすく、そういったことでの研究班とか作ってやっていますからね。そういった所は一応やっているつもりなんです。
(交)製薬会社に直接被害にあった者が伝えれば、当然製薬会社は、厚生省にこういう報告があったという知らせは入るんですね。
(厚)それは、病院に確認して、それを元に報告する義務がありますから。
(交)ありますよね。だから製薬企業にも言って、厚生省にも、実は池田さん。こういうのがあるんですよと、そうすると確認出来るよね。
(厚)病院名とか分かれば。
(交)調べろと言えますよね。じゃあ両方にね。
(厚)企業の義務ですから。
(交)そういう形でやるしかないね。やりましょうね。研究班が出来そう(笑い)
陣痛誘発剤は、健康な人が使うものなのですから、使う時は、本人に了解をとって欲しいです。どれだけ危険性があるものかを話して。御本人の了解はなかったんですか。医者の方が一方的に使ったわけ?
「使いましょう」という話で。良いも悪いも、こちらが意志表示出来ない状況なんです。
(厚)それは例のインフォームド・コンセントの問題という事で、先般の健康政策局が進めていますけれども、医療の中での治療法を選ぶためには、きちんと説明すべきだというふうに、世の中は変わって来ている事には間違いないんですけれども。
(交)罰則規定がないじゃないの。
(厚)だから医者にどこまで義務付けられるかというのは、さっきの報告と一緒で、仲々直ぐ出来るかってところは、難しい所があるんですよ。だから、治療される前には、疑問点ばどんどんお医者さんに聞くという風潮がやっぱり必要かなと思います。
うちの薬の側からいうと、処方されるような薬、先程の入院しているような時は難しいかも知れないけれども、出された薬が何なのかという事をなるべく聞くように患者さん側にも意識アップして頂くようにと。それから、医者の方にも、説明する為の資料を作って本に出してますから、勉強してこの範囲でちゃんと説明しなさいという事はやっていこうと思っているんですよ。その為にうちの部屋も去年から適正使用推進室という名前で色々な事業をしていますのでね。
(交)確かに患者さんが色々な自分が使われている薬なんだから、副作用を聞くという事は必要な事で、それは出来るだけそういうふうにする方がいいんだけれども、実態は仲々聞くという事自体が難しい状況にあると思うんですよ。そうなると、やっぱり単純にインフォームド・コンセントをもう少しきちんとやって頂く為には、日本の医療の現場というのは、患者とインフォームド・コンセントをとりにくいというか、とられにくいというか、そういう状態にありますよねー。
(厚)そうですよねー。
(交)だから、そういう中で考えると、もう少し医者に対して罰則規定みたいなものを入れると。そうしないと、事が転がっていかないんじゃないかと、本当はそんなのやりたくない、やらない方が良いんだけれども、しかし、そこまでやらないと機能しないというか、条文だけは、文章だけは立派なものが出来ても全然現場では動いていかないということになっちゃう。そういう事は多いんですよ。日本の医療の現場ってね。
(厚)そうですね。
(交)そこの所、もうちょっと力を入れてもらいたい。それだけ適正使用、適正使用と言うなら医者に対して言ってる事だからね。
(厚)そうなんですよ。うちの薬務局のかの適正使用の推進も非常に限界があって、もどかしい所なんですよね。医療の中に入っていけない所がたくさんあって。インフォームド・コンセントも外国と日本の医療事情が全然違うんで、さっきおっしゃったように、日本の場合だと、診療を短時間に済まして一日にたくさんの患者さんを見ないといけないという状況で、どこまで出来るかというのはお医者さんの方でも色々考えてるんだと思うんです。難しいと。そこで、どこまで出来るのか何もしないで待っているというよりは、取り合えず何か始めないといけないということで、少しずつやろうと思っているんです。非常に難しいですね。
(交)薬の名前を聞いたら、「何で聞くの?」って感じで「飲みたくないの?」とか、そんなこと言ってもないのに「どういう薬 ですか?」と聞くだけで嫌な顔をするとか、怒ってしまうとか、結構あるんですね。ですから、3日前の出産の人も・・・。
(厚)うちも、子供の薬を見せて何ですかと、言ったらムッとされましたね。「薬剤師です」といったら・・・。
(交)だましてまでも使いたいという病院の考えもあるんですよ。 本当なんですよ。だって。
(厚)それはちょっと言いすぎのような気もします。お医者さんは、患者さんの病気なり、状態なりを良くして上げようってことで、薬を選んでると思ってるわけですから、スムーズに治療がいく為には、お医者さんに言わない方が良いと思って人がいるのかも知れませんが、今はその時代ではなくなって来ていますから、医者にどういう薬だとか、どういう治療だとか、聞くべきだろうと思います。
(交)私の場合は、その日のうちに5人、その病院で出産があったんです。その時のカルテをみんな取り寄せたんですけれども、5人中4人が誘発剤を使われているんです。
ということは、正常分娩で皆、簡単に生まれてきているんですけれども、全然必要がないのに「誘発剤使います」とか言うことも全然なく、簡単に使われているんです。だから、そういう人が多いと思うんですよね。使わなくていいところに使って、その為にお母さんなり、子供なりが亡くなっているってことで、本当に真剣に考えて欲しいと思います。(厚)我々も、子供が折角生まれる寸前で亡くなっちゃったりしたら悲しいですから、薬の使い方については、十分注意して頂きたいと思っていますので、使用上の注意等の記載はどんどん改訂していこうと思っております。
(交)品目指定は、して頂く方向には・・・。
(厚)今の時点では、私の一存で、やりますとは言えません。
(交)検討はして頂けるのですね。
(厚)そういう状況があれば・・・。
(交)持って帰って・・・・。
(厚)状況に応じて・・・。
(交)3番。医者の方が少量で使えと。医療現場に任せてもらいたいということだと思うんですよね。
(厚)やはり、承認に書いてあるから、それでなきゃいかんと言うわけじゃないよと。患者さんを見ながら、その量をきちんと分量を減らしたりするからと、向こうは言ってまして、今の六μgでも十分低めになっていると。もう少しさげないといかんということには・・・。
(交)でも3μgと6μgじゃ半分だからねー。倍になっているんだもん。言ってる意味がちょっと違うんじゃないの?
(厚)専門の先生に聞いて、そういうお答えですからね。今の時点で、この数字が問題があるというふうに思っておりません。
(交)体重当たりというのと、それではない最初から3μg/分というのとは、違いますよね。能書は体重1kg/分当たりということになっていますが、「分娩誘発法」これについては、3μgってことになってるんですよね。だから、体重が70kg、80kgの人はもっともっといっぱいから使いなさいということになるわけでしょう。
(厚)それは薬理学的に見ると、体重当たりで計算するのは普通だと思いますね。
(交)だから、3というのと8というでは、えらい違いますよね。体重30kgの人は絶対にいないわけですから。日母に質問しましょうか。厚生省に言っても何もしてくれないので・・・。
(厚)うちは日母の先生にお聞きして現状の6μgでも問題は特にないだろうと、お答えを頂いたんです。
(交)じゃあ、何で日母が3μgと言ってるの。
(厚)それは、うちではわかりませんので。
(交)わかりませんではなくて、それを聞かなくちゃいけないじゃないの。
(厚)さっき言ったように、それは患者さんを見ながら使うので、6μgが問題ではないと聞いています。
(交)それはちょっと詭弁だなあ。最低は3μgだって自分たちが出してるわけだから。
それを池田さんは聞かなきゃいけない立場じゃないですか。6μgでいいですか、ではなくて、あなた方は3μgって出してるのに何で・・・。
(厚)「現在の用法・用量で、問題はありますか」とお聞きしたんです。そしたら、そういうお答えでしたんで、今直ぐそれを変えなければならないという認識にはなっていません。
(交)じゃあ、3μgにした根拠は何だったの。これは彼らが決めたんじゃないの?
(厚)それは日母にお聞きになって下さい。
(交)そういうふうに言っちゃあ。そこが問題だって質問してるんじゃないですか。これが改訂されない理由ですよ。自分たちは何故3μgにしたのか、それを聞いてるんですよ。
(厚)「現在の用法・用量でおかしいですか」という質問をした。
(交)「おかしいですか」と聞いたら「おかしい」と言うのは仲々あれじゃない? 聞き方がまずかったんじゃないのかなあ。これは、納得が出来ない話だね。池田さんは納得できるんですか?
(厚)繰り返しますが、今の用法・用量を改訂した時に、専門家の意見を聞いた上での決め方で、それが問題があるようには考えてはいないと。
(交)気が付かなかったんではないですか? 何となくそんな気がする。6μgというのは、倍量なんだから、絶対これでもいいですよと、言うのがおかしいよ。普通は。そこの所、納得がいかないんだよね。どこからスタートするのかという事は大きな問題だと思うからね。日母に3μg/分と書いてるのに、6μgでもいいですよと言ったその根拠を次回までに聞いておいて下さいよ。何によるのか、その根拠を。
(厚)6μgでいいって言ってるのは、厚生省が中央薬事審議会に相談して、その結果で6μgで良いと言う事で、承認を変えたわけですから。
(交)日母に聞いたんでしょう。
(厚)日母に対しては、6μgという承認になっているが、これで問題はあるかと、こちらの冊子は3μgになっているがと、お聞きしたんですが、承認内容の6μgで特に問題はないという事をお聞きしたので・・・。
(交)その理由ですよ。何故なのかと聞いている。3と6では倍違うじゃないかと。3μ でやりなさいよと日母は書いているにもかかわらず、6μgでも良いですよと。問題はないですよと言っているその根拠ですよね。
(厚)6μgになっていても、患者の状況を見て使い方を変えるのであるから問題はないですと。
(交)そんなことないですよー。
(厚)それは私が言ってるんじゃないですよ。
(交)患者さんの状況ってどうやってやるんですか。
(厚)それは先生がおっしゃってるんで、私が言ったんじゃないです。
(交)最初に6から始まったのと、3から始まったのと、違うんだから。変えられると言っているの問題は、3から始めて、6になる人がいるというんであれば、分かるよ。6の人が3に変えられないじゃないの。
(厚)患者さんにどこから使うかも含めて、その使い方は・・・。
(交)じゃあ、6と言ってるけれども、それよりもっと少なくから始めるって事もあるって事を言ってるんですか?
(厚)それも含めてですね。
(交)えーっ。そうじゃないでしょう。今の話は。六からスタートしても問題はないとうことですよ。前提は。
(厚)もちろん問題はないと思う。
(交)だからねー。3から始める事が望ましいというか、片方で言っておきながら、6で始めてもよろしいと言ってる事は、整合性がないでしょうと言っているんです。
(厚)点滴の使い方は出来るだけ少量から始めろって事だから。
(交)それは分かっています。それはそうです。基準点が6なのか3なのかですよ。基準点なんですよ。
(厚)そこは、中央薬事審議会で、六μ でいいって事で、判断してるんですから、それで終わりです。
(交)単純な見落としじゃないの?これ。見落としだと思うよね。 だって書き方が違うんだもん。体重一kg当たりという能書と、日母が出してるのは、体重当たりじゃなくて、三μ
/分なんだから、そこの所計算が出来なかったんじゃないの?(笑)
重要ですから、事故が起こる可能性があるわけだから、その根拠をきちっと上げて下さい。
(厚)3μgが正しいかどうかってこと・・・。
(交)もちろん分かりませんよ。それも含めて聞いてくれたら良いじゃないですか。
(厚)うちは、6μgが正しいって言ってるんですよ。6μgで問題はありませんって事をお答えしています。
(交)じゃあ。厚生省は、6μgで良いって言ってるわけね。
(厚)承認内容で問題があるとは考えておりません。
(交)それは、それで良いでしょう。日母が何故3μgと言っているのかについて聞いたんですか。理由を。理由を聞いて下さいということですよ。ここに書いてるじゃないですか。「理由」
理由は何なのかという質問ですよ。これは。次回までに聞いて下さい
(厚)前回もお答えしていますけれども、現在の用法・用量で問題あるかという事については、お聞きしますと、答えていますから、それについて今回確認したところでも、問題がないという答えを頂いてますと申し上げております。
(交)その問題がないという、その理由を教えて下さい。安全だという理由を。
(厚)日母にそちらがお聞きになって下さい。
(交)厚生省に対して日母としては、3でも6でもどっちでも良いですよと、言ったけけれどもどうしてかと聞けということですね。こちらがね。そういうことですね。
(厚)そんなことは言っていません。
(交)そういう内容じゃないですか。
(厚)私が言ってるのは、承認内容が変更になった時点で、問題ないということでやっておりすます。
(交)今の6μgで問題はないと言ったわけだから、しかし、日母の冊子では3μgから始めよと言ってるんで、この違いについてどうして6μgでも良いと言ったのかと、言うことでしょう。そういう主旨で質問するしかないなー。それは、こちらが直接聞くという事で良いですね。
(厚)直接お聞きになっても良いですよ。
(交)日母のどなたに聞かれたんですか?
(厚)えーっと、ね。前専門委員だった市川先生だと思うんですが。病院どこだったかなー。
(交)赤心堂病院です。
(厚)ああ、そうです。院長先生です。
(交)出しても日母は来ないのよねー。返事が。内容証明で出せばいいのよねー。最後の4番ですが、量的には確かに能書に書いてある量で使ってるんですよ。帝王切開の既往のある人が、子宮破裂したという例です。量的には最後が一時間に100mlなので能書に書かれてある。
(厚)薬は何ですか?
(交)オキシトシンです。1時間に100mlでストップはしているんですね。だから、最終的なミリ単位ですけど、どうなるかというと、20ミリ単位で終わってるんですかね。1分間に対して18ミリ単位で終わっているんですよ。
(厚)使い方は何ですかね。点滴?
(交)インヒュージョンポンプを使っているので、これは時間でいってるんですよ。1時間につき、何ミリリットルといきますので。能書では、1分間に何ミリ単位という書き方ですよねー。
(厚)いや、そんなことは。
(交)そうですよ。1分間に1ないし2ミリ単位から開始じゃないですか。
(厚)最初はね。
(交)それで40分を経過して、1〜2ぐらいずつ増やすという感じで、様子を見ながらと。40分ずつと。
(厚)点滴速度が20ミリを超えないようにと・・・。
(交)最大はそうですね。だから超えてはないんですよ。超えてはないんですが、30分おきくらいに10mlくらいずつ増やしたりするんですね。言えば、能書通りに近い形で使っての破裂なんですよ。ですから、こういう薬の使い方をしたけれども、破裂したんですと、次回に出しますので、それから又検討して下さい。帝王切開したことのある人が子宮破裂してるという現実がありますので。
以 上
PGF2αの使用開始量が能書と日母の冊子では、2倍の開きがあるのに、何故なんだろうと思わない厚生省の体質って何なんだろうと思ってしまう。小野薬品は全面改訂を検討中とのこと。