1997年12月12日
第40回 厚生省交渉


【交】陣痛促進剤をやります。1の1からお願いします。
【厚】審査申し立てですね,不服審査と一般的に言ってますけど,再審査の改善の方法ということで,これは前回・前々回と議論になってきているところだと思います。こちらもどういうふうにしていくのかという,何かうまい手だては無いかというところでいろいろ今検討をしているところ、検討ばかりと言われるかもしれんですけれど、どういうふうにすれば一番いいのかというようなことで検討しております。
 おっしゃる点について,再審査というものが世の中でされるような時に同じ人が見るという,そこら辺のところにあろうかと思いまして,そこらへんの行政的な措置については理解しているつもりでありまして,ちょっとこちらもそういう問題につきまして考えているところであります。
【交】それはさっきの話と同じで,あなた方の内部的な議論ですぐ変えられるというものなのですか?
【厚】これは‥‥。ちょっと具体的にどういうふうなやり方が一番あり得るのかということも,ちょっとまだそこらへんもまだ研究しなくてはならないことと思っています。ようするに内部だけで済むのか外部のオーソリティにちょっと諮らなくてはならないのかという,そういうやり方を含めて。
【交】だけどさっきそちらの方がおっしゃったのは,実際に救済基金の対象にする疾病まで薬害までどういうものかに変えられるのかということは内部的にできるという話しだったでしょう。
【厚】それは厚生省大臣の告示という形になっておりますので。この場合は少し再審査の方法自体をどうするのかというのはちょっとちがう話しだと思います。それを内部的にできるのかどうかとか,外の何か決定機関に求めるのかということは,そこらへんももうちょっと整理がいるのかなと思っております。
【交】そんなに悩む問題かね,これは。
【厚】いろいろと整理しなくてはならないことがありまして。
【交】そもそもこれの依って立つ根拠−−−法律というか,機構の,それに基づいて考えればいいわけでしょう。
【厚】そう,法に基づいて。
【交】そうしたら外に求めるのか求めないかは歴然としているのでないの。
【厚】ただ,そこの手続きをどうするかというのはまたいろいろと、どういうやり方があるのか,そういうのはどこかに諮問するのかどうかとか,いろいろやらなくてはならないこと,研究しなくてはならないことがあると思います。
【交】少なくともこれは変えなくてはいかんという認識に立っているという理解なのね?
【厚】なにがしか,ともかく。おっしゃる点,ご指摘の点というのは一応理解しているつもりでありますので,それを踏まえて「どういうふうな形が」というのはなかなかこちらもいろいろと考えなきゃならない点もありまして。ただ問題としてはご指摘の点は理解しているつもりでもありまして。そういうふうな認識はもっております。
【交】そうすると,どれくらいの期間をかければ? 少し考えられる?
【厚】ちょっと今んとこ方向性ということ自体研究中ですので,「どれくらいの期間というのはなかなか今の時点では申し上げられません」ということですね。
【交】かなり前からこれについては改訂してほしいということをずっと言い続けてきている。
【厚】はい。前回,前々回のご指摘というのはこちらも重々承知しているつもりですので。
(沈黙)
【交】先ははっきりしないけれども変える意識ももっと取り組んでいると?
【厚】はい。そういうふうなご理解で良いのでないかと思います。それをどうするかというのはいろいろ難しいところもありましてですね。
【交】ではどういう方法でやるのですか?
【厚】まぁ言ってみれば,ご指摘の点とかがありますので,そこらへんどういうふうにやっていくかですね。色々とご意見がありましたですね。例えば,前回の中では,担当の医者からきいたらどうだとか,本人からきいたらどうかだとか,それから,いわゆる一つの機関でもう一回通すという点のご指摘もありましたですね,そういうことで,まぁ。
【交】患者さんのことをベースに考えているの?
【厚】もちろん今も申し立てがあったときに,不明な点,再審査、不服審査でどういう意図で出されているかは,それは常に私どもはコンタクトをとっていますからね。
【交】結果がでるまでに何年もかかるというなら話しにならない。
【厚】これは3番の部分に関わると思いますね。
【交】方向性の問題でしょう。だから,早くそういう問題が起こったときに何年かかるのかという,要するにその時間を短縮する方向でやるのかとか,そういう話しというのがあるじゃない。
【厚】これはもう極力短縮し得る方向というのをやはり考えるべきだと思っております。そういう認識を持っております。
【交】だけど,不服の申し立てをしてから2年半も経過しているような状況にあるのですよ,実際のところ。だから,そこのところ,まずは最初のところの結果が間違っているからちゃんといい結果が不服の申し立てをしても出ないということだと思うんですよね。だから例えば,羊水塞栓で奥さんが植物状態になっていると。それがそもそも「陣痛促進剤を使ったということによって羊水塞栓という副作用がないんだ」という,そういう結果を出していること自体が間違いなのに,その結果を翻そうとしないわけでしょう。そういう結果を出さないから返事ができないんでしょう。そういうことになってくるんだと思うんですね。
【厚】このケースですね。これ,3番の質問に関わってくると思いますが,今ありました全体的な短縮をどう考えるかというのもちょっと視野に踏まえないといけないと思っていますけれども,もう一つ,その羊水塞栓の個々のケースのこともありますけれど,それにつきましては,確かにある意味では少し時間を。こちらのことを申し上げますとなかなか、各再審査のケースというのは非常に難しいケースも多いと。もう1回精査するということもありますので。しかもある程度の件数もありますので時間がかかるケースも多くと。そういうことで,ちょっと時間がかかっているケースもあるんですけれど,特のこのケースにつきましては極力早めに結論は申し上げるようにしたいと思っております。
【交】いつ頃の予定ですか? 待ちくたびれていましてね。今日旦那さんが“行こうかな”と言っていたんだけれど都合が悪くて来れなくて。事故からもう5年以上経ってますよね。
【厚】はい。とくにいつ頃というふうに時期はなかなか特定できないのですが,ともかく。それについては来年ともかく早いうちには本人の方にはお知らせすると。
【交】じゃ,近いうちにですね。
【厚】それを近いとれれるかどうかはまた別ですけど。若干手続きとかがいろいろありますので,そこの部分については少しお含みおき頂けたらと思います。ただこちらとしてはいろいろ待っておられる方が多いという認識を十分持っておりますので。
【交】トータルで言って‥‥‥。例えば労災なんかの申請をして,審査請求をして上の段階でやったときには,6ヶ月だったか3ヶ月だったか正確には覚えていないけれど,結論がでない場合はそのまま裁判にストレートに訴えられるというふうに。それは以前まではそうでなかったんだけれど,そういう新たな通達が出て−−−延々と長くなるケースが非常に多いわけですよ。とくに看護によるどうのこうのというのはものすごく大変なことで,そういうことで延々とやっていてどうなのかと,被害を受けられた方にとっては。だからもうちょっと早く道筋を付けてあげるということを考えてそうなってきているわけで。だからこの問題は,他のいろんなシステムと整合性をある程度もたせるということもあるし。行政としてのありようがこの問題に関しては誰も具体的に指摘してこなかったということもあるけれど,だから全然改善されないままできているのですよ。そういう意味で全然改善されないままできているんですよ。そういう意味で期間を短縮して考えるというのは当然で,少なくとも再審査に当たったら半年くらいの間には結論が出なくてはいけない。それ位のペースでやるのが当然だと思うのですね。それにはそういう装置を作らなくてはいけない。それだけのペースにやれるものを。そのことが僕は問題だと思いますよ。
【厚】被害を受けられたというご本人にとっては大変大きな問題でありますので,おっしゃることもよく理解しているつもりでありますけれども。それぞれに対する経過というのは,いろいろのどういう流れにするかだとか。
【交】ある一定の期間が過ぎたら担当者を変えるとか,そういう考え方はないんですか?
(沈黙)
【厚】そういうふうなしくみには今のところなっておりませんねぇ。
【交】あなたは特に被害は受けてはないんでしょう。
【厚】薬害の被害を受けているわけではありません。
【交】自分じゃないからね。他の人のためにはやりたくないのですよ。自分の痛みに対してと同じように,行政の側に立つ者として,同じ痛みを、同じ痛みではないにしても痛みを一緒に負うていくものでないですかね。だからペナルティが必要なのですよ。
【交】余りにもかかりすぎですからね。
【交】しかもズルズルやって。
【交】行政の決定というものについては,すべてそれに対して不服の申し立て−−−行政不服審査法に基づくシステムがきちんとできていて,場合によっては裁判まで行くと−−−そういう形のシステムを作れというものは,たくさんあるわけですよ。これはよくわからんわけですよ,非常に。どういうとこに? どういうふうに位置にというのが‥‥。
【交】何がネックなの?
【交】そういう意味で,もう少し位置付けをきちっとされないといけないし。だけど,今こういうシステムしかないわけでしょう,自分が薬害だと訴えられる場所というのは。裁判はまた別だけど。
【厚】裁判を除けば
【交】裁判と平行してやれることになっているわけだから。
【厚】いわゆる被害救済という意味では,機構の‥‥。
【交】そういう意味ではもう少しきちんとした形になってないとおかしいですよ,そもそも。それを手を着けないままでずっときているということが問題なんだけど,そもそも結論は早く出すということが当然で,その装置を考えないといけないんでしょう。余りにもそれをないがしろにし続けてきたわけだから。被害者はとても大変ですよ。被害を受けたことだけで大変ですから。だからそんなことにいちいち−−−1回は言うけれど,それを追求していくなんていうことになかなかならない,自分の生活の方がまず大変だからそういう余力がないのね。だからこれまできたのです,こういうふうに。
【交】もしそうだとしたら,括弧の2番。「名前を挙げて下さい」と書いてあるでしょう。
【厚】これは「副作用調査会,安全調査部会」というふうに書いてありますけれど,いわゆる副作用調査会というのは判定・救済とは関係ない調査会なんですけども。
【交】関係ない調査会であろうとなんであろうと,被害の人を待たしておいてきているわけでしょう。こういうのは公表するの?
【厚】副作用調査会は公表します。副作用調査会は公表します。ただ,この判定はまた判定調査会というのがあって,これはまた別ですので,そちらの方は。
【厚】これは副作用被害‥‥‥。ちょっとこの質問の意味が分からなくて−−−どの調査会の名簿を指示されているのかよくわからなくて,たぶんこちらとしては副作用被害判定部会と副作用被害−−−その副作用被害に関わるものというように理解しておったんですけれど,それで間違いないですね。
【交】そうですね。
【厚】それであれば,部会については,一応,はい(リストを渡す)。ただ,調査会については,前回にもありましたけど,非常に実質的な調査をやるということもありまして,各調査員個人に対するいろいろアプローチもあり得る世界ということなので,これにつきましては公表を控えさせていただきたい。部会についてはお知らせいたしますけれど。そういうふうに考えております。これについてはいろいろご意見はあるとは思いますけれども。
【交】調査会というものは,どういうレベルの方が調査をしているわけ?
【厚】いわゆるその道の専門家の方ですね。
【交】「その道の専門家」というのは,やはり医者ということになるの?
【厚】医療関係。それ以外に,そうですね・・。
【交】この中で産婦人科医はどなたですか?
【厚】これは前回もありましたけど,おられませんですね。
【交】いない?
【厚】はい。
【厚】私はちょっと別の判定部会の方しか控えていないので。
【交】医薬品機構の中で産婦人科医は一人いますよね。認定するかしないかということを決めるグループの中に産婦人科医が一人いるときいたのですよ。それのメンバーは今日公表できないのですか? それを知りたいのです。
【厚】それが,いわゆる判定調査会の方ですね。
【厚】調査会の話です。
【交】調査会の何なんですか? 副作用機構でそれを副作用だったかどうかということを認可・却下する12人の中の1人が産婦人科医だということでしょう? 12人と言いましたよね。そういうふうに聞いてますけどね。
【厚】調査会のことを聞いておられるのでしたら,それにつきましてはちょっと公表を控えさせていただけたらというふうに思っております。
【交】これまではそうだったけど,公表するような方向で考えなければならないと前回も言っていたでしょう。あなた,参加しなかったのじゃないかな,女性の方でしたね。
【厚】そうですね。前回の副作用の方は。
【交】それを知りたいのですよ。ものすごい変な結果ばっかり出しているのですよ。子供が胎児仮死があって,脳性麻痺になって申請をしているわけね,陣痛促進剤を使って。それを「胎児仮死と脳性麻痺との因果関係は余りないというふうなことを言われているので,違う」みたいなことを言って申請を却下しているのですよ。ハワイ大学の日本人医師の書いた文献を使ってそういうふうな結果になっていると思うんだけども,そんなことで医師会が裁判上でそういうふうに資料を使ってくるのと全く同じ卑怯な手口で却下するというのはとんでもないことですよ。だから誰か知りたいんです。
【交】調査会のメンバーを明らかにできない根拠は何ですか?
【厚】特にこれは非常に基本的な調査をすると言う意味で,個々の先生に対する個人的なアプローチというものがあり得ると。そういう意味合いがありますので公正・公平ということを考えまして明らかにしないと。
【交】そういうことは前回ももう聞いているのです。だけどそういうことではいけないでしょうと,今後は。だから前向きに考えるということになれば,あれから4ヶ月経っているわけですから“じゃ,今日公表します”と言っても良いわけですよ,そうじゃないですか。この話は前回いろいろやってきているのですよ。裁判官だって,裁判官に“どうにかうちの方を良いようにやってくれませんか”というふうに言っていきます?それと一緒だという話になったでしょう。
【交】隠しとって公平・公正が保たれるわけがないじゃないの。我々が知らないだけで医療者側はほとんど知っているのじゃないの? あるいは関係する製薬会社なんかは全部知っているのじゃないの?
【交】だから,これについては今日中に必ずもらって帰りますよ。出して下さい。メンバーが悪いから本当は変えてもらいたいくらいですよ。ものすごいひどい結果を出しているのだから。正当に考えれば誰だって認可されるような状況を軒並み却下却下ですよ。そういう結果でそれで良いと思っているのですか。何人もが不服の申し立てを新らしく不服の申し出をしているでしょう。情けなくなりますよ。
【交】予防接種の審査会でも,ワクチン開発をした本人が調査会に入っていたということが,名簿を公表されて始めたわかったんです。客観的にそんなもので判定できますか?各自治体の審査会の名簿は全部明らかにされていますよ。そこで自治体レベルの認定をしているのですよ。何で国だけがそんなものを公開できないの?あなた達は個別的に圧力がかかるとか何とか言うけれど知らないのは我々だけじゃないですか。
(沈黙)
【交】絶対許されない行為だと思いますよ。
【交】そういうふうに隠してきたことによって公平さが保たれてこなかったのが今までの実状ですよ。
【交】自分の意見をきちんと持って出しているなら,誰にどう言われようと関係ないじゃないの。自分の責任で調査をして報告するわけでしょう,判定部会に。そういうことが仕事だったらそれで良いじゃないの。自分が決めるわけじゃないということでやればいいのだから。

【交】被害が起こったときにまず調査をするのが調査会で,あがってくるわけだ。一つ一つはチェックした?
【厚】個々の、についてはチェックはしておりません。
【交】個々のケースをチェックしなかったら意味ないじゃないの
【厚】えぇ。
【交】それは30日越えてもしょうがないという話になるの? 何のために法律なんかあるんだ。
【交】それはおかしいよ,厚生省としてはどういう理由があろうと30日以内に結果を出しなさいというべきじゃないですか。そうでしょう。
【交】それが普通だろ。
【交】だから,調べに行ったけれどもどうだった,こうだった というその結果でもまぁいいですわ。だから“30日以内に個々にどういう結果になったのかを知らせ”と言うことをいわなくてはいけない。あと数日しかないですねぇ。さぁ,がんばらなくっちゃ。
【交】それはおかしいよ,やっぱり。「相談します」ということは,「待たしてもらうという相談」としか聞こえないよ。
【厚】確かに相談しまして,きちっと。ようは,前から持ってこられたようなものも調査しておりますので。それと一部新しい症例が入っていたみたいですけど,ほとんどは重複症例であると。それもすでに調査しているものだけど,ということで製薬企業でもう一度各医療機関を訪問して調査するように”。それから,相談したときに,“すでに過去に調査した症例だけども ということで来たんですけれど,もう一度それぞれの医療機関を訪問して詳細な情報を入手できるのであれば入手して報告して下さい”と。
【交】“報告して下さい”という通告はしたわけ?
【厚】まぁさっきも言ったように,例えば門前払い喰らったんだったらそういったことでも良いし,症例について
【交】だから,そういうことも必要なんですよ。
【厚】えぇ。
【交】いい。製薬会社が病院側に調査に行ったけれども門前払いをくわされたということも新聞の記事になるじゃないですか。
【厚】(笑い)
【交】いや,そうだよ。
【交】そうなんですよ。
【交】だから30日ということに意味があるわけだよ。“こういう理由で”というのでもかまわない。30日以内に報告をさせることに意味あるわけだよね。それは,個々について“このケースについてはこういう理由で回答をくれない”とか,“こういう事情だからチェックできなかった”とか,いろいろあるかもしれないね。何でも良いんだよ。30日以内の報告というのはそういうことで良いんじゃないの。
(交渉団側大勢同趣旨の発言)
【交】15日というのは来週の月曜日だよ。「1ヶ月」というのはそこだよね。
【厚】そうですね。
【交】そうだろう。だからいいじゃないですか。
 そこで報告があったかどうかというのは,今日記者会見をやるからそのときに“こういうことで15日に必ずくるはずだから,記者の皆さんにもチェックして下さい,厚生省に”,こうやりますから。それは大事なことなんだよ,すごく。だって,法律の基づいたことをやろうとしているのだから。当たり前なんだ,逆に言えば。
【交】副作用出してきて,全部言ってほしい”と言っているわけじゃないですよ。“調べた結果がどうなのかという結果を知りたい”と言っているのですからね。
【交】行政の側で考えることだ。こっちから言われることじゃないよ,本当は。
【交】すべて厚生省が悪いよね。5月から随時順々に公にしているわけね,厚生省には。それを厚生省が製薬会社に知らせるんだから,その段階で製薬会社は知り得ているわけですよ。それなのにもう1年以上経っている,要するに。だからこの結果はなんですか?
【交】そんで,そんな曖昧で誰もが納得できないような回答しか出さなくても良いとしたら,誰が“それでも良いんだ”と,“猶予を頂きたいというのが回答になる”という判断を下したのは誰なの? 田代さん,下したのですか? 誰が下したのですか? そこのところも過去の問題だ。
【交】去年の5月17日から随時随時報告してきているわけですよ。
【交】“こっちは門前払いをくらいました とかそういう話でもいいよ”と,何でそんなのでこっちが譲歩しないといけないのかというようなことはあるけれども,でもそれすら出ないんでしょう。“出なくてもいいんだ”という判断を下したの,誰なの? あなたが下したの,“これでいい”と? “今の回答で良い”と誰がそういう判断を下したの?
【厚】まぁ中で上司といろいろ相談した中で,ですね。 
【交】上司は誰なの?
【厚】課長とか‥‥‥。
【交】相談してどうなの?
【厚】さっきも言ったような形で。
【交】取りあえず回答してこいという話?
【厚】そうですね。こういうようにした結果を門前払いだったら門前払いと,そういったことを一応報告させて,その結果に基づいて,副作用とわかったものについては副作用から調査の依頼を各部会に出すと。
【交】だから,そこは判ったんだよ,さっき言ったから。だけど期限についてはあなたはどういうふうに答えたの?
【厚】(沈黙)
【交】法律を,あなた,ないがしろにしても良いという立場じゃないはずだよなぁ。
【厚】そうです。
【交】そうすると,どういうふうに答えたの?
(沈黙)
【交】考えることじゃないじゃないの。“いつまでにちゃんと答えを寄越せ”とか,ふつう,言うわけでしょう。当然法律に基づいて言うのだから。
【交】製薬会社も知っているわけでしょう,当然,30日以内というのは。だから,調べていても厚生省に報告しないこと自体が罰則なのでしょう。だから30日以内に何が何でも。
【交】要するにおかしいよ。こうやってみんな製薬企業から回答来ているけれど“厚生省と相談中”ってばかり出ているわけだよ。
 だからいったい本当のところは何を相談したのかということをやっぱり聞きたいのだな,あなたに。それはあなたが何を答えたかということだし,期限としてはいつまでとかいうことを言っているはずだろう,いつと言ったのだよ。
【厚】ですが,相談に来られたときには,さっきも言ったように,もう一度医療機関に
【交】期限のことを言っているんだよ。
【厚】その期限についても,“まぁできるだけ早く”というようなことを
【交】何だ,おまえ,それは。おかしいぞ。1ヶ月という法律があるのに“できるだけ早く”という指示はあるのか?
【交】「30日以内でできるだけ早く」という意味なのか?
【交】そういう意味ですか?
【交】ちょっとおかしいぞ。“できるだけ早く”というのは。だからこそ“相談中”なんてでいう回答になって返ってくるんじゃないか。
【交】これまでの対応がひどいから,プッツンプッツン切れて送ってるんですから。
【交】そうなんですよ,もう頭にきているんだから,私も。
【交】先程の,こっちが“こういうのをとれ”と言ったのは,中間報告ですよ。だけど30日以内というのは最終報告ですよね。
【厚】アノ,いろんなコノ
【交】30日以内に最終報告だから,今度の月曜日が30日になるんだから,そうすればその日に最終報告が出ると?
【厚】ただこのケースに限らず全ての副作用の報告の中に,この副作用の期限について15日とか30日と決まっているのですけど,医者がちょっと出張でなかなかとれないとか,いろんな事情があって‥‥‥。
【交】だからそういうのを書いたら良いと言うてるやないの。
【厚】いやいや‥‥
【交】それは中間報告だよね。そうじゃないでしょう。
【厚】というか
【交】誰がそういう話になるようにしたの?
【厚】ですから
【交】元になっているの,医者でしょう。何でそんなに医者の都合を聞くの? 元を作ったのは医者と製薬会社なんだろう。“そのときになぜ元になる人間の都合が優先されるのか”ときているわけ? 被害者や患者の都合が優先されるべきでないのかと言うことを聞きたいのだ。厚生省はどっちの都合を優先するの。患者なの,国民なの? それとも医者なの,加害者なの? どっちなの?
【厚】もちろんそういった情報はいち早く報告してもらうように・・。
【交】30日を切れましたと言っているわけでしょう。30日以内に法律に基づいて,30日以内に正式に報告をしなさいという話になっているわけでしょう。で,“30日を目前にしてもまだ相手の都合でうまく調整がつかないから報告が出ないから”と
【厚】まぁそういった
【交】それは,法律の具体的な執行者としては,行政側でしょう。
【厚】ですからそういった
【交】そうしたら,行政そのものが法律違反じゃないか。
【厚】ですからそういったいろんな事情があると思うんですね。この
【交】事情は関係ないじゃないの。今まで事情なんか問題にしたことなんかないじゃないか。
【交】企業は自分たちの責任を棚上げにしていて,何が事情があるのだ。
【厚】いやいや,その事情じゃなくてですね,企業がある医療機関から副作用が起こったという第一報が入ったと,その日から15日とか30日とかいう期間が始まるのですけれど,その期間の間に企業の方は医療機関に行って詳細な情報を入手して報告をしていただくということなんですけれども,その期間内に,例えば詳細な医療情報を取るには医者のところに行って話を聞かないといけないわけですけれども,医者がなかなか捕まらないとか,そういったことでその期間内に細かいことまで
【交】努力不足だよ。
【厚】もちろん企業の努力不足を言われることなんですけど。
【交】努力不足の場合は,厚生省としてはどうするんだ。
【厚】ですから,そういうケースもありますので登録という形で取りあえず30日期限で−−−30日以内に詳細な情報を・・例えば投与したとすると,幾日投与してどういう副作用が起きたか位しかまだ医者からは聞き出していないというような場合だったら,それだけでも良いから取りあえずその期間内に登録していただいて,引き続き再調査していただくと。
【交】そんなものはあなた方の内輪の話でしょう。内輪の話をいくら言っていただいたってしょうがないんだよ。どういう形のものが結果として外部に対して出すのかと−−−あなたが今言っているようなことを外に対し公式の厚生省の文書として出せるか? 厚生省大臣の判子をついて出せるか? 出せないだろうが。
【交】今言った話は約束できていて,実現できる話なんですか,月曜までに?
【厚】今言った話ですか?
【交】つい今のことですよ。“全部取りあえずはいったん出せ”というのが実現できるのですか,月曜までに?
【厚】中間報告という形でなら。
【交】中間じゃない。
【交】中間じゃなくて,“これは1ヶ月でなくてもやむを得ないな”という理由が書いてあるヤツ。
【交】今日まだ金曜日だから製薬企業やってますでしょう。この交渉が終わったらすぐに連絡を取って“15日に必ず出して下さい”と言わないといけないと思うんですよ。
【交】ほとんどは結果が出ているはずだし,もし中間報告の場合であったとしてもその内容を見れば,これは怠慢なのかやむを得なかったかは国民が判断することだから。月曜日にはいったん,今厳しくおっしゃったことを現実に出して下さいよ。
(交渉団側,がやがや)
【厚】ただ,企業から来たとしても,一応それは公表しないことを前提として集めている情報なので。
【交】またその話に戻るの?
【厚】また元に戻ちゃうのですけれど
【交】それは“医療者側が製薬会社なり厚生省に報告したものに対しては”でしょう。これはそうじゃないのよね。
【交】今確かめたいのは,月曜日までに,公開・非公開は別としても,とにかく集まるわけなのね?
【厚】まぁ集めるのは指示を出していることなので
【交】法律に関わる問題だから,それは。
【交】どうするの,集まらなかったら? 納得するのかいな。15日に出る。集まるんでしょう。
【交】じゃ,集まらなかったら,じゃ,あなた,どうするの? もし越えた場合どうするんだよ,行政としてどうするんだ。
【交】その辺,一番大事だからはっきり言うてくださいよ。
【交】我々としては,今日,きちんと記者会見でそのことを言うから。必ずチェックが入るぞ。“集めるように”という指示が,具体的に15日に集まってなかったら,何らかの処分はしなければイカンだろう。そのための法律なんだぞ。どうするんだよ。
【交】あなたが今“集める”と言ったら良いんですよ。
【交】なに笑ってんだよ。
【交】集めるのか集めないのか,どっちやねん。
(交渉団側多数,同意見反復)
【厚】全てが全て集まるかというのとはちょっと
(交渉団側,大勢発言)
【交】“集まる”とかじゃないですよ。
【交】あなたの言ったことは,行政官自らが法律違反を犯そうとしていることなんだぞ。そういうことを勝手に変えられるのか? そもそもあなた方が変えられるのか? 法律で決まっていることを官僚がそうやって変えられるのか?
【厚】変えられません。
【交】変えられないだろう。集めるしかないじゃないの。罰則をきちっと付けろよ,しろよ。
【交】そのために出したのです,私たちは製薬会社に。昨年5月から出していても何がなんだかさっぱり判らないという,うやむやになってから11月まで来たので,もうこれ以上放っておくのは余りにも日本の,厚生省のあり方にとっても悪いと思ったから出したのですよ。だからたった1ヶ月しかないんじゃないんです。もう1年半も−−−知り得てから1年半経っているところもあるわけですよ。そういうのを考えてると‥‥‥。
【交】もし,過ぎてしか回答が来なかったというのに対し,あなた,どうするのだ。
(交渉団側大勢,同趣旨の発言)
(沈黙)
【交】考えられる行政処分は何ですか?
【厚】そういうことは私の立場ではちょっと。
【交】それはいいよ。
【交】“15日集まるものもあるが,集まらないものもあるだろう”と,こう考えて良いの?
【厚】えぇ。
【交】そう認識しているの,あなたは?
【厚】最初に説明しましたとおり,個々のケースについては検討中ということもあって。
【交】全部集まると思っているの?
【厚】いえ。
(交渉団側大勢,同趣旨の発言多数)
【交】“15日に出さなければ罰則ですよ”と製薬企業に言ったら良いでしょう。出しますよ,ホイホイと。
【交】黙ったって仕方がないよ。時間ばかり経って仕方がないよ。
【厚】どういうところまで資料が今調達されているかというところまで今判らないのですけれども。来週ですかね,期間が来ますと
【交】15日まで。
【厚】“その時点で判ったところまでは報告するように”と,“提出するように”これから企業の方には連絡をしますので。
【交】連絡するのね?
【交】“15日までに返事が来なかったら罰則になるのをご存じですね”と,念を押してくださいよ。知っていると思うけどね。それを期待しているのだから,私たち。
【交】企業の薬事法違反があったらちゃっんと言うてくださいよ。それを隠蔽したらあきませんよ。
【交】さっき言った“企業を集めて説明をした”という,いつそれをやったの?
【厚】えぇっと。
【交】これ,個別に出したんだけれど,製薬会社が相談して一緒に来たのですか,厚生省に?
【交】日にちだけ教えてくれれば良いから。
【厚】11月の23日からの週の−−−何日だったかは。はっきり何曜日かは覚えてないですけれど。
【交】23が日曜だから,25から28。
【厚】えぇ,その位。
【交】小野薬品が27日付けで来ているから,それより前ということになるわね。小野が一番早く来たんだ,速達で。

【交】それでは3番。
【厚】3番ですが,それ以降の報告ですけれど,現時点ではございません。
【交】それがおかしいのね。前々から言っているけれど。
【厚】それは私も思っています。
【交】思っているでしょう。
(交渉団側,一斉笑い)
【交】やっぱり,製薬会社は自分が作っている会社の薬でお母さんが亡くなって子供が脳性麻痺になっているということだから,病院の先生にどういうふうに使っているのですかと聞かないといけないと思うんですよね。そういうことがどうしてできてないのか ということはやっぱり会社としておかしいんじゃないかと思いません? そこのところ,厚生省として−−−国のこのような健康を守る部署でしょう−−−それを製薬会社にちゃんと言って,“こんなことがあってはならない”ということで“どう使ってこうなったのか”ということを聞いたら良いじゃないですか。あまりにもひどいなぁ。
【交】いきなり4番やね。

【厚】4番へ行きます。
【交】おかしいと思っていると言っているじゃない。
【厚】それで,さっきちらっと話が出ましたけれど,被害者からの報告システムということで
【厚】そういったことを今考えられるということで。ただ,確かに今も電話とか手紙とか,あるいは電子メールとかで被害者から,一般の人から薬の副作用のこととかで苦情とかそういったことが結構来ているのですけれども,その中である程度はっきりした情報があるようなものとか,あるいはかなり重篤な副作用が発生していると思われるものの場合ではその都度関係企業に調査させたりとか,そういった対応は今でもとっております。
 ただ一般の人から電話来る時は,多くのケースではヒステリックになって一方的にべらべらとしゃべって切っちゃうというケースがかなり多いので,そういうときだったら“どこで起こったのか”とか,“なにをどういうふうに飲んで起こったのか”とか,そこまでこっちの話も聴いてくれないというケースがかなり多いので,こういったものについては非常に対応が困るのですけれども,ある程度冷静に細かいところまで言ってくれるような情報に対しては適時その医薬品の関係メーカーに指示をするとかして対応はとっております。
【交】そうすると,2つあるので。一つは,一般患者はあったりする。そうすると−−−あなた達はこれからそういった装置を使うかどうかわからないけれども−−−あなた方に連絡があった後,きちんと“どこの医療機関で何という方がこういう内容の被害を受けた”ということみたいなことがもしわかった場合は,どこに−−−厚生省としては企業に対してすぐ調査をせよという−−−これ,ルールとしては決まってないことだと思うのだけれど,まだ。
【厚】えぇ。
【交】ここは一つは問題というか,一つは作るべきだと思うけれど。そうすると,さっきのような話に−−−延々と1年前から厚生省に言っているのに“企業のところにそれが行かない限りはスタートきれない”みたいな話になったでしょう。だからそこのところを何か考えようと思っているの?
【厚】うぅん。今回の陣痛促進剤のケースの最初にお話ししましたように,“もし医者が否定される場合だったら直接に病院に情報提供を依頼をしよう”ということをこの前約束をいたしましたけれど,そういった事で,必要に応じて医療機関の方にもこちらの方からも連絡をとって,事情を聞くとかですね。
【交】厚生省に実際にそういった被害の届けなりがあったら医療機関に対して直接確認の連絡を取るということですか?
【厚】全てが全て‥‥‥。まぁケースにもよると思うんですけれども。
【交】そういうことを今考えているという意味? それともそういうふうにするということにしたということ?
【厚】いえ,まだ検討段階です。
【交】検討段階だけれども病院に対して今度厚生省が直接確認をとるということをやるということ? そういうことね?
【交】ケースによっては現実にもうやっているという事もあるわけですね? 過去にすでに。
【厚】えぇっと,医療機関に対してというのは‥‥‥。
【交】今の話だったら
【厚】製薬企業を呼んで,どこの薬,どこの病院でこうこうと,それはあります。
【交】そのときの電話番号,何番?
【厚】どこの?
【交】電話がかかってきたという内線。電話がかかってきたのでしょう。
【交】こちらから“こういうことがありますけど調べてほしい”というのを厚生省に電話するでしょう。そのときの受け取る厚生省の内線番号は何番ですか ということを聞いている。
【厚】副作用とかに関することなら安全対策課で受けますので。
【交】調査してくれるかもしれないということですね。
【交】じゃ,一般市民が薬の副作用でこうなったという事を厚生省の安全対策課の方に電話したならば,厚生省が病院側に対してそれを確認するということになるわけですね?
【厚】まず最初は企業に‥‥‥。
(W)
【交】企業にまず言って企業に調べさすのですか?
【厚】えぇ。
【交】病院も。で,調べさせた結果副作用ですということになったらどうなるのですか? 情報を出した患者はどうなるのですか?
【厚】患者は?
【交】患者の方に返ってくるのですか,結果が? “確かにそうでしたよ”とか。“確かに副作用だったから医薬品機構の方に請求したら良いんじゃないですか”とか言ってあげるのですか?
【厚】うぅん。
【交】“調べさせます”で終わっただけではいけないのじゃない。
【厚】救済の話は,調べる以前に電話を受けた時点で内容によって“こういった制度もあります”ということは紹介はしております。医薬品機構の方の■電話or連絡]のことも紹介しております。
【交】今のあなたが答えたヤツは,このシステムの中に乗せたいということの中の1つと考えて良いの?
【厚】そういうことですね。
【交】これはきちっとどこかで報告されている? 「こういうように変えた」ということを。モニター制度が。
【厚】一応今年の7月に変えたのですけれども,その時記者発表して新聞にも載りましたし,それからあと
【交】電話番号もちゃんっと言っているの?
【厚】多分。
 それで,一応対象が医師・歯科医師・薬剤師,今はそうですので,医師会とか薬剤師会とか,その雑誌には定期的にこういったものを入れてもらって,医療関係者には普及するように努力はしております。
【交】内部的にもう少しきちっとしたルールを作ってもらいたいですね。厚生省の誰それに連絡が行ったと。必ずどういう形にするのかというルールをきちんと決めてもらいたいな。
【交】もうひとつ,我々,わからないのは,何件も−−−ようするにそういう連絡があったときに“それについてそれはどういう内容で今どういう経過を辿っていて−−−たとえばメーカーに連絡しました,その返事はどうです”という台帳というかリストになったみたいのを厚生省としては作っているの?
【厚】今のところ一般の方から個別に来たものについては,電話を受けた人が一応対応して,台帳に残すこと自体はまだしてないと思いますので,ちょっと完全に‥‥‥。
【交】ちゃんとしないと,どういう状況になっているとか,そういうところが把握できない。じゃ,それを誰がどういう形で管理するということになるでしょう。“個人が受け取って個人が処理する”という話はないでしょう。ある人は何件かして,ある人は全然しない。全然しない人は「私はそういう電話を受け取ったことはございません」とかではおかしいんじゃない。
【交】モニター制度の話ですけれど,具体的に現場でどんなことが起きるかを考えてみたんです。例えば医薬品による事故が起こったと,自分が投薬した薬によって起こった事故についても書くわけ?
【厚】そうですね。
【交】そういうことがあり得るのかな。
 もう一つは,違う医師が−−−例えば隣の医師が投薬したために事故したと,それを目撃して密告みたいな形で書くこともあり得るわけだね。
【厚】うぅん(笑い)
【交】その2つともあり得ないケースばっかりなんだ。自分で自分の失敗を書く。それと自分の友人である
【厚】失敗ではないと思うんです。
【交】だけどそれしな無いんじゃない。医師と薬剤師としか関わらないわけでしょう。
【厚】その失敗というのはちょっとアレじゃないと思います。医薬品としての
【交】失敗を−−−薬害として起こったなというふうに認識したときに,投薬した医師が本当に書くのだろうか。また,それを見ていた,例えば薬剤師が本当にそれを書くのだろうか という疑問が起こってきますけどね。先ほどおっしゃったように,一般市民がこれを書けるようなシステムを作るべきでしょう。
【厚】“医師が自分の失敗を”ということをおっしゃってましたけど,
【交】失敗でなくてもいいけれど
【厚】医薬品というのはいずれにしても体にとっては異物ですので,どうしても副作用というものはついて廻るものなのですよ。我々もそれをいかに少なくして,あるいはいかに軽い状態で発見して措置をできるような体制をとるかということで今がんばっているわけですけれども。医者としても,薬である以上副作用が起こるというのは,ちゃんと皆さま認識されておられますので,自分が投薬した患者さんがこういう副作用が出たというふうになると,それを安全対策のために“こういった副作用があるから今後気をつけてほしい”と,“そういった副作用をなるべく少なくするような安全対策をとってほしい”というような趣旨で報告していただくと。
【交】期待しているわけ?
【厚】えぇ。
【交】これは企業報告のことでしょう。ここの質問では,被害者からの報告システムを作るべきだということ
【厚】それは企業じゃない,それは医者から直接来る。
【交】医者,モニター制度の方でしょう。モニター制度のことを改善していくと。で,企業報告義務で。ここにもこうしてグラフにしてますけどね,日本だけが全然医者から企業から報告してないわけでしょう。これは,厚生行政が日本が怠慢かどうか判らないけれど,いちばん僕が思うには,被害者自身に情報が与えられてないからですよ,本人に。陣痛促進剤でも自分が使われたことがわからないのですもの。裁判にして証拠保全してプロスタルモンと書いてあると。それが子宮口を柔らかくする薬という説明だけで投与されていた。
 そんなんだから判らないし,もう一つ出ない理由は,どこに出して良いか判らないから−−−システムがないからでしょう。
 今一番大事なのは,企業からとか医者からの情報を本当に集めたいのだったら,国民に情報が与えられて国民が直接情報を提供できるというふうにしないと,国民には隠しておけるということだったら,提供しないわけですよ。そうでしょう。国民は直接言えない,被害の報告をね。また国民には情報が隠されている。そうしたら安心して内々で,北野さんの言うようになぁなぁになってしまうわけでしょう。ですから報告が出てこないわけでしょう。
 一番基本に大事なのは,モニター制度や企業報告義務を本気で成功させていくためには被害者からの直接のシステムをまず作ることで,どうせ被害者に言われるのだったら言われる前からやろうと,被害者から言われて出すよりは自分から出そうということですね。そういうわけだから“被害者からの報告制度を作るべきだと思うけれどどうか”という質問だけれど,答えられてないんだから。さっきの質問でも“新たな副作用情報が出ていないのはおかしい”ということを自分でも言ってはるのやから。それで実際こんなグラフを厚生省が書かなきゃいけないようになっているのだから,被害者からの直接の報告の受け皿をもっとしっかりとしたものに,“安全対策課に電話してきてくれてヒステリックでなかったら一応何とかしようと思います”みたいなことじゃなくて,きちんと対応してくださいね。
【交】まぁさっきも回答があったから。ぜひそれをきちっと,そういう被害者自身の報告ということが受けられるようなシステムを入れてもらいたい。それともう一つ,この新しいヤツは内規みたいのは何かできているのですか?
【厚】新しいヤツといいますと?
【交】この,今の報告制度は。
【厚】内規?
【交】内規。どういう運用でやるというような,内部的な運用のための内規みたいものはないのですか? なにも作ってないの?
【厚】えぇっと(沈黙)
【交】これが来たらどうするの?
【厚】来たときのアレですか?
【交】対応。
【交】動かしていくためには何かルールを決めとかないとできないでしょう。
【厚】ちゃんとした文章でしたら,ちょっとアレなんですけれども
【交】無いの?
【厚】報告が来たら,ちゃんと全部担当官が目を通して
【交】“ちゃんと”じゃないんだ。ようするにルールを決めているのか決めてないのかというところを確認しているんだよ。ルールは何も決めてないんだ。モニターからこういう制度に変わったというだけのことだ。
【厚】えぇ
【交】なんで考えることがあるんだよ。
【厚】うぅん。
【交】担当の人って誰?
【交】あなた,担当でしょう?
【厚】えぇ。
【交】なにが“えぇ”なんだよ。決めているのか,有るのか無いのかを聞いているだけじゃないの。
【厚】だから,あのぅ。
【交】今まで何件くらい入りました,5ヶ月位経って?
【交】ちょっと待ってよ。結論出してよ,早く。
【厚】報告が来て,それからどういうふうに活用するかということについては‥‥‥。
(沈黙)
【交】なんだね,運用に関する内規も何もないんだ,要するに。だったらそういうふうに言えばいいじゃないの。
【交】無いの?
【交】ないんだろう? 何も決めてないということか,ようするに?
【交】最初から“情報無い”と思ってんじゃないの?
【交】だったら,新しいものに変えたって,全然動いていかないじゃないの。
【厚】ちゃんと動いています。動いていることは動いています。
【交】今動いているわけね?
【厚】えぇ。
【交】動いているんだったら,何個か来たわけだ。それでどんな対応したわけ,今までに? 動いているんだから。例えばこういうヤツが送られてくる訳でしょう。それにどこがどんな対応をしたわけですか?
【厚】ですから,例えば重篤なものでしたら−−−というか緊急に対応が必要だと思われるような症例が出た場合は,関係企業にですね‥‥‥。
【交】じゃ,この厚生省の担当は何です,安全課の?
【厚】安全対策課。
【交】安全対策課で良いわけですね。で,そこが企業に?
【厚】例えば,医療機関から“ある薬にこういう副作用が出た”と,“命に関わるような副作用である”というようなものが来た場合には,関係企業に“こういうのが来てるけれども他にこういう症状は無いのか”とか,そういったことを調査させるとか
【交】そうしたら,企業にまず連絡するわけやね,医薬品だから。で,企業から回答があるわね。その回答は送ってきた医者なり医療機関の人たちにフィードバックするの?
【厚】それは内容にもよりますけれども。
【交】あなた,さっき言ったやないの。“重篤な,死に至るような問題が起きたとき”とそうするのでしょう?
【厚】だから,そういったときに,そういった企業からのいろいろな情報を入手して,薬務上‥‥‥
【交】あなたね,行政的には非常に手落ちだよ,それは。内規も何もない,文書も何もない,こんなものでどうして運用できるのだ。
【交】無いはずがない。
【交】早急に作ってよ,それ。当たり前だよ。文章にもなってなくて,どうやって運用して,何が問題だと言えるんだ。
【交】あなたの頭の中にあるだけではイカンのや。一億人も国民おるんやで。内規作りなさい。どうですか? 有るんですか?
(交渉団側,多数発言)
【交】担当官一人が決めるの,命に関わる重大な副作用かどうかは? それを見た担当官一人が判断して決めるの?
【厚】いえ,もちろんそんなことはないですよ。
【交】それならどこの委員会が決めるのよ?
【厚】副作用調査会とかがございますので。
【交】そういうシステムが
【交】きちんと書いてよ。こういうふうに運用しているというのを。誰も判らないよ,そんなこと。
【交】あのパンフレットに書くべきですよ。“こういうヤツはこういうシステムで使用します”と書かなくてはいけない。どこに行くのか判らへん。情報流しただけでなんのフィードバックもあらへん。
【交】もういい,判ったよ。ともかく早急に作ってよ,いいね。

【交】それじゃ,3番。
【厚】この件ですけれども,この報告書の中にそういったことが−−−「調節性のないPGE2の投与法を見直し」というようなことが書いているわけですけれども,この研究班自体,他の方でやっている研究班の死亡原因の精査とか,私どもではこの報告書の中のものについてはちょっと難しいと思うんですけど
【交】どうして? だって,調査しているのは厚生省の管轄ですよ。全部−−個々にカルテは精査した結果こういうことになっているんだから,それはちゃんと調べれるはずですよ,厚生省として。だって,まともに使って死亡したということはすごい問題でしょう。それを調べないということは,今後も何人も死亡してもかまわないというふうに取られますよ。
【交】厚生省の予算の研究の報告でこんな大事な報告が出て来ているのに,それを放ったらかしにしていたら,研究をしている意味がない。
【交】そうですよ。これ,絶対ちゃんとやってもらわないと。
【交】あなた,この報告書をちゃんと読んだの?
【厚】はい。
【交】読んで,これについて,あなたのセクションでこれを重要な問題だと考えないの?
【厚】もちろん重要な問題だと考えております。
【交】じゃ,どうするんだ。重要な問題だったらどうするんだよ。
【厚】使用上の注意の改訂をするということですけれども。
今回質問事項にないんですけれど,前回からずっと使用上の問題とかいろいろ言われておりまして,前回の時に“中薬審に審議する”ということもお約束したわけですけれども,実際に審議させていただきまして,それから使用法の改訂につきまして,日母とか,いろんな現場の先生の意見なんかも聞きながら,ようやく今週ある程度改定の内容と文言が決まりまして,
【交】適応についてね
【厚】いろいろと,それからインフージョンポンプのこととか,そういったことについて
【交】警告欄を設けるのですね?
【厚】えぇ,警告欄で注意喚起をすると。で,その内容については今最終的な細かい文言を調整中ですので,早ければ年内に関係企業に指示を出したいと思ってます。
 で,もし年内が無理でも来年早々にはというふうに考えていますので,その点については改訂の内容がきちっと筋が出ましたらまたご連絡をしたいと思います。
 そのなかでもPGE2インフュージョンについても調節性がないと。その辺を強調して注意喚起するような文言でほぼ内容は煮詰まっていますので。それについてはもうすでにやっております。
【交】「分娩監視装置など」というのは,それはどういうことですか?“必ずつけなさい”という文章がつくということですか?
【厚】分娩監視装置のことですか?
【交】分監について,今回またversion upしたわけ?
【交】必ずつけることを義務づけるわけですか?
【厚】いえ。私が中薬審の方に審議に出したときにはそういったことで案を出したのですけれど
【交】通らなかった?
【厚】というのは,ほとんどの病院では分娩監視装置を持っているのですけれども,田舎の方のちっちゃな産婦人科の病院とかで,そういったところで分娩監視装置がまだ無いような病院が若干有ると。
【交】それは命を粗末にする病院だということなんでね。
【厚】うぅん,ただ
【交】“陣痛促進剤を使うんであれば必ず機械を買いなさい”というべきじゃないんですか? あぶないですよ。
【交】使ったら危ないんですよ。だから促進剤を使わさなければいいのですよ。
【厚】そういった問題は残るんですけれども,やはり田舎の方でもそういった妊娠された患者さんが出た場合にわざわざ−−−田舎の方だったらバスの本数も少ないでしょうし,都会の方に出て,病院に行くというのも
【交】でも,分監もないところで促進剤使われる方がよっぽど危険でしょう。“分監が無いんだったら促進剤を使うな”ということで良いんですよ。
【交】「分娩監視装置などを使い」の“など”はペケなのですよ。“など”は付けたらいかんのですよ。
【交】分監使わない促進剤でどれだけ死んでいると思ってんの。何回改訂してるんよ。絶対アカンで,“分監なしでも(促進剤を)使っても良い”なんていうことを入れたら。
【交】厚生省のどなたかがかは知らないけれど,“分娩監視装置は使わなくても良いんだ”という文章のものを被告側の弁護士の依頼によって出しているのがあるのですよ,大阪方面の裁判をしているので。そんなん,とんでもないことじゃないですか。そういうことがあるのですよ。
【交】帝切の場合は適応除外については“一切だめ”ということになってるの? 無条件で。
【交】なってない。“慎重に”でしょう。
【交】なんなんだよ,今まで,何,こうやって話してたんだよ。
【厚】それは十分判ってますけど
【交】十分判ってたら変えればいいじゃないの。
【厚】その内容については,私どもの指示の出した意見で中央薬事審議会の方にも連絡はしたいと思いますので。私もこれで添付文書の話は終わりとは思っておりませんので。おいおいにまたこういった資料とか集めて。
【交】その間に何人患者が死ぬと思ってんだよ。
【交】どうするの,これ? 常識的に考えて,“前回帝切したら必ず次もうちの病院では必ず帝切ですよ”という病院もいっぱいあるわけですよ。それくらいに自然の陣痛でも子宮破裂起こす可能性があるということなんですね。それなのになんで陣痛促進剤を使って陣痛を強くしたりするときに,危険性があるのに使っても良いということになるのでしょうか。おかしいよね。
【交】厚生省が中薬審に出した原案の文章をもらえますか?
【厚】ちょっと今‥‥‥。
 原案を出す時点ではかなり厳し目に−−−最初から緩く手近な所で出しているとそれ以上きつくなることは無いんで,かなりきつく
【交】厚生省がかなりこうしなさいとビシッと言えるんでしょう。何で相談相談ということで,“じゃ,まぁいいわ”ということになるのです。命に関係している部署は厚生省ですよ。
【交】なにかおかしいぞ。これは単なる諮問じゃないか,中薬審は。中薬審が決めるのか,全部? あなた方が決めるのじゃないか。あなた方,もう少し自信を持ってやれよ。
【交】国民の声を聞いた厚生省の方が大事だろう。なんで中薬審が決定するんだ。
【交】なんで中薬審が決定するような形になっちゃうんだよ。あなたは,我々とこうやってきていろんなことを聞いているはずでしょうが。なんでそれを押し通してはいけないんだよ。中薬審の方が決定権があるの? 単なる答申だろう。それをあなた方がどうするかというのは,今度はあなた方の裁量だろう。何でそれがそんなに簡単にそういう形になっちゃうんだよ。おかしいぞ。なにやってるんだろうな,だらしがない話だな,あなた方。
【交】中薬審のメンバーは分監なしに促進剤使うのですか,家族に。使えよ,それやったら,中薬審の家族が。あなたの奥さんに使いますか,分娩監視装置なしで陣痛促進剤を。
【交】厚生省の権限で 禁忌にしなさいと。だから,反復帝切でも良いじゃないですか。自然の陣痛を待ってみて,どうしても分娩にならないような状態だと,そこでは薬を使うんじゃなくて,“もうしょうがないから帝切しましょうと。陣痛促進剤を使う方が却って怖いんだから”と言えるわけですからね。そこなんですよ。
【交】今こういうところへきていろんなことを言っても,多分あなたではどうしようもないんかもしれないけれど,少なくともあなた方が決めるということを僕はもう一回認識してもらいたいし,そんな答申があったからといって,やっぱりこれだけの実状があるということをあなた方が言わなければいけない立場でしょう。陣痛促進剤を使うのだったら分娩監視装置なんかあるのが当然ということになるわけで,そういう主張こそむしろすべきなので。田舎の人だって分娩の方はいるでしょうよ,そりゃ。なんで分娩監視装置のないところで勝手に使えるのだ。それの被害の方が遥かに重要な問題になるわけだ。そんなことは誰が考えたって当たり前に判るじゃないか。
【交】結局5年前に出した要望書の,いったんは断っておきながら,結局全部変えてきている。5年掛けてちょっとずつちょっとずつ。全部後手後手や。
【交】結局我々が言っているようになっていくんだ,結論は。だから早くやった方が良いんだよ。それだけの被害をできるだけ少なくすることができるんだから。
【交】中薬審よりも僕らの方が絶対正しいで,いつも。
古賀:発売中止なら良いけど,されてないんだから。現実に使われているんだから。被害が発生してるんだよ。
【交】そもそも帝切の既往のある人に使うこと自体が本当は少ないのね。使った人の中では子宮破裂の確率はすごく高いですね。
【厚】それは判ってます。
【交】それを−−−中薬審もそれを見ているはずなのに,あえてまだ使っても良いというふうになるということは,どういうことなんですか? 子宮破裂したら「中薬審の責任」になって良いのですか。そういうことになりますよ。
【交】大体,ソイツら,何も判ってないヤツじゃないのか,そもそも。
【交】中薬審の議事録を出しなさいよ。5年前に出して現在までのアレだから,その間に起こった事故についてはその議事録で書いた人間がそれについての責任をとる。
【交】責任をとらせなくてはだめだよ,責任を。
【交】今回の改訂の内容も,前回の時には“必要ない”と厚生省は言いきったことを今変えるのでしょう。
【交】だから,そういうことが起こらないという前提に立ってしているわけだから,起こったら−−−起こること自体がおかしいんだけれども−−−起こしたことに対してはしゃべったヤツが責任をとらなくては。だって,学識経験者とか専門家というのは,そういうことのための一つのガード用としてあるのじゃないの。通り抜けさせるために中薬審があるわけでないし,専門家がいるわけでないんだ。そういうことを起こさせないために中薬審があるのでしょう。それにも関わらず,そうやってすり抜けるんだったら。
【交】ところが薬害エイズの問題を考えたって,それが実際,諮問したみたいのが−−例えば帝京の阿部が“言ったって,自分が結論を出せる訳じゃない”と,そうやってうそぶくわけだろう。“厚生省が結局結論を出しているんだよ”と。だけど,なかなかあなた方が逆らわないからそうなったのかもしれないけれど,あいつらそうやってうそぶいていくわけだよ。本来ならそういう中薬審のメンバーを明らかにしてたらこういう結論を出したって,あなた方の責任じゃなければちゃんと出して良いわけだけど。結局あなた方の責任でその試問を受けて決定していくことになっているわけだから。彼らの問題じゃないんだよ,あなた方の問題なんだよ。将来これが問題になってくればあなたの責任になってくるわけですしょう。
【交】PGE2でもこれだけ死んでいると報告が出ているのですよ,厚生省から。なんで緊急に動かないの,これ。
【交】説明ができるのか,こうやってたくさん話を聞いていて。どこの世界で“そういうのは中薬審の意見でアレだった”と言えるか。言えないだろう。あなたの判断が大事になってくるわけだよ。補佐なり課長なりにあなたがそのことを報告して,その人達が決定するわけだろう。その人たちの問題になるわけだ,そうだろう。中薬審の連中が問題にされるわけじゃないじゃないの。あなたが忠実に課長なりに“こういう話を聞いて,こういう資料をいただいた”と,“だからやっぱりこれでないとまずいんです”と言っているのか,ちゃんと課長に。言っているか?
【厚】まっ,これに
【交】“厚生省は確かに聞きましたと。だけど厚生省としては,国としてはこうしますから”で良いんじゃないんですか。そういう姿勢でなければだめでないの。責任のトップは厚生省ということになるのでしょう,こういうふうな薬の使い方だから。“中薬審の意見は聞きました。で,それで結果はこうします”と言えば良いわけですから,厚生省が最終的な判断をすることになるのでしょう?
【交】ともかくきっちりもう一回課長に言ってよ,“あなたの責任になりますよ”って。いいね。

【交】では4番。
【厚】マイリスの件ですけれども,前半部分の“副作用報告が出ているかどうか”ということについては,従前から陣痛促進剤の所でも言ってますように,個別のケースについて副作用のことについては回答できませんのでご了承いただきたいと思います。
 後半の「添付文書を厳しくするように」ということですけれども,実際,妊娠末期と言うか,“陣痛促進剤を使う前に使いなさい”とか,あるいは“1分以上かけてゆっくり静注する”というようなことは,今,適応上の注意の所に記載があるわけで
【交】書いてますね。
【厚】えぇ。
 この件については,今−−−ご承知かどうかアレなのですが−−−添付文書の記載要領というのがこの4月から変わりまして,各社順次対応してもらっているわけですけれど,その中で,用量・用法とか効能・効果というのを書いている所があるのですが,そこに−−−例えば用法の所で注意してもらいたいような注意事項は用量・用法に書く添付上の注意ということで,非常に判りやすい形で記載するような形になっております。
 で,そういった所に移して−−−こういった注意事項を移して,もっとより注意喚起ができるような形に改訂をするように企業と今話をしているところなのですけれども。
 ただ,企業から,この間のヒアリングをして時に,“一体,こういう注意事項が守れずに被害事故が発生しているということだけども,実際どうなんだ”というようなことを聞いたら,余りよく把握してないみたいなので,とりあえず,今,企業の方には納入した機関に対してこういった使用実態,あとそれと
【交】使用実態。おもしろい結果になりますよ。分娩異常にバンバン使ってますから。
【厚】えぇ,それとあと
【交】1時間ごとに3回も使うとかいう病院がいっぱいあるのです。
【厚】なるほど。
【交】妊娠後期に使う薬でしょ。それを分娩中に使っているのですよ,陣痛促進剤と一緒に。子宮口が柔らかくないからということで。だから,誘発の適用じゃないのに誘発をして,堅いからマイリスを使うという,そういうことなんですよ。おかしいですよね。
【厚】そういった使用実態と,あと,“そういった副作用の発生について調査しろ”ということを今指示しているところであります。とにかくこういった注意事項が今変えているのですけれど,この時なんで変えたのかと,なんか変えた以上は根拠があると,このへんについてちょっと企業の方が余りよく判ってないみたいで,その辺も“過去の経緯とか調べて持ってこい”ということを今指示していますので,その結果を待って必要な改訂なりというのはやっていきたいと思っております。
【交】医薬品機構の方に申請したら却下された というのですよ。
【厚】あっ,そうですか。
【交】だから,医薬品機構の方に申請したということは,厚生省の方にもそういう情報は当然入っているはずですよね?
【厚】そうですね。
【交】だから知らないわけないじゃないですか。知っているのでしょう?
【厚】知っている‥‥。機構の方と,救済の方と別の‥‥‥。
【交】それ,行かないの,そういう報告が? 機構からあなた方の方に。
【厚】いえ,うちの課でもそういった判定のところをやっている者はいるのですけれども。ちょっとまた違う者がやっているもので,情報が‥‥‥。
【交】そんな内部の話だったら余計おかしいじゃないか。部屋の中のことでしょう。
(沈黙)
【交】で,却下の原因というのが“胎児仮死と脳性麻痺との関係は余り無いと言われているから”ということで却下されたという,そのことなのですよね。
【厚】ちょっと使い方が不適正だったと,そういったことですか?
【交】そうね。1回目の時に湿疹みたいのが出て,2回目の時ゆっくりしたら大丈夫だったと。3回目の時に多分速かったのでしょうね。で,それで気分不良のような状態になって苦しくなって胎児の心拍数が低下した。それで大きな病院に転送されたけど,そこで放置されたことによって子供が脳性麻痺になったんだけれども,胎児仮死になったのはこの薬を使ってなのね。わかります? そういうことなんですよ。
(沈黙)
【交】笠原さん,本当に心許ないからなぁ。判ってるんだか判ってないんだか,全然判らないよ。
【厚】判ってます。
【交】それじゃ,残っている調査会のメンバーの公表のことね。
【厚】じゃ,その点だけちょっと。
 一応,メンバーにつきまして調整しましたけれど,先ほど申しあげました通り,これは基本的に“審査会としての判断はあくまでも判定部会が行う”と。この“調査会というのはそういう資料作成する”と,そういう役目をいたしております。そういうことで,個々に委員への圧力等を考えまして,調査会の名簿の公表というものは控えさせていただきたいということです。以上です。
【交】やっぱり出さないという話?
【交】国会にかけるより仕方がないね,これは。この判定部会のメンバーをみたらもう長老ばかりじゃないですか。あんなんで審査できるのですか。名誉教授とかそんなのはいいけれどもねぇ。すごい重要な,認定されるかされないかというときにこういうような人で。
 また,出産のことについての−−−産婦人科が誰も入ってない状態でよく判定ができると認めていますね。おかしいんじゃないですか?
【交】調査をした専門家−−−それぞれ専門分野があって,ここでももう一回チェックできなければまずいと思うんだ。かなり専門分野が違うと判らない部分というのはかなりあるから,その「調査の公正」とこれは同じよう−−−同じようにと言うか,専門家の人がそれぞれ入ってないとまずいと思うし,それがこっちが22名でそっちが11名で,その違いは確かにあるだろうと思うけど,やっぱりそれでうまくできないんだったらこっちも増やさなければいけないかもしれないし,逆に言えば。そうやって調査会に産婦人科医が1人しかいなくて,こっちは誰もいないと。そうするとその人の意見は何でも通ちゃうという話になるわけだ。チェック機構になってないわけだよ。そこは問題だと思わない?
【厚】これは前回からご指摘になられている点で,そのご主旨はよく理解しているつもりですので。
【交】そうすると変えるつもりがあるということ?
【厚】そこらへんについては,いろいろとちょっとまた。
【交】話し合いはしているのですか?
【厚】どうするかということで,今やり方とか研究しているところですので。先ほど申し上げたとおりです。最初の方で。
【交】早急にやってもらわないとねぇ。毎日のことだから。
【交】これで陣痛促進剤を終えて元へ戻ります。
【交】まだ言い足りなかったんだけど,PGE2での死亡の分で,ナガヤ先生にちゃんと言って,どういう理由で死亡したのかということをきっちりと調べたらどうですか。どういう投与をしているのか。一応“正しい投与”と言っているから,多分1時間ごとに1錠ずつを最高6回までだと思うんですよ。監視しないだとか,そういうふうなことが当然入ってたから死亡していると思うんだけれど,一応薬の投与法方としては正しくしているというのね。だけど見ていなかったと思うんだけど,そこんところがどうなのかですね。だから“PGE2を投与するときにはこのようにすればこういうことが起こりうるからこうしなさい”というふうな良い教科書になるでしょう。だから,これ,ちゃんと調べて厚生省として対処しないといけないと思うんですよね。“おうちに持って帰ってそして陣痛が起こったら入院しなさい”なんていう,そういう方法もあるのですね。で,当然のように事故ですね。
【厚】47です。
【交】47の死亡しているわけで,こんなことがあっていいの ということですね。
【厚】それは良くないですよね。
【交】先生から患者に「持って帰って1時間ごとに1錠飲んで,陣痛が起こったら入院しなさい」と言われたら「はい」ということになるでしょう,知らないから。だからまず情報は−−−“この薬は分娩監視を付けてないと危ないから使えませんよ”と,“病院でないとだめですよ”ということを知らないから医者の言いなりになって,そうして「はい」と言って死亡しているわけね,出血多量で。急激な陣痛が来て産道のあちこちに裂傷があって というこのなのね。それによる出血多量の死亡なのだけれど,■患者さん]が違うということはこういうことが起こり得ますよね。たまたま元気に生まれても,おうちに持って帰らされて「飲んで陣痛が来たら入院しなさい」ということを言われたりとか,検診の度に少しずつ飲んだとか,そんなのもあるんですよ。「予定日が近いからね。子宮口を柔らかくするために」みたいな言われ方で使われているのもあるのね。だから,医者って何なの って思いますよね。正しく使えということです。
【交】殺人だよ。毒殺だよ,それを許しているんだ,公然とな。
【交】長屋さんの報告書は生かされているのでしょうかね。もってはるのでしょう,みんな,中薬審の人?
【厚】みんなは持ってないと思いますけど。
【交】中間報告は記者会見したけれども,最終報告は記者会見されてない。おかしい。最終報告,あれだけ問題の多い結果が出たのに,逆に記者会見しないのはおかしくないですか。
【交】発表すること自体が医者側にとってかなりダメージになるということがあるから,できなかったのじゃないですか。
(沈黙)

【厚】5番目です。
 “安全な出産に関して”ということなのですが,まず“母子保健部会が開催されていると思うが,その内容を明らかにされたい”ということですが,前回の母子保健部会は平成9年11月4日に開催されました。そしてそこで,今まで会の皆さまのところからいただいたような意見も合わせまして資料として“こういうご意見が来ている”ということで審議会の中で委員の先生にご説明させていただきました。それで,その内容に関しましては広報室のところで議事録を提出することになっておりまして,12月17日以降ですのでもう少しで出ると思います。それくらいのところで出ると思いますので,広報室のところに大体それくらいの時期−若干遅れる可能性もあるかもしれませんが,問い合わせをしていただければその所で内容に関しては判るというふうに思っております。
【交】これ以前に,パンフレットみたいのを作るとか,あるいは保険証かなんかに印刷するとか話がありましたよね。
【厚】いえ,母子手帳です。あっ,それも含めまして。ですから,記述とかということに関しましては,“どういうようなものが良いのか”とかいうことを−−−“少なくともどういうような内容を記述してほしい”とか,“パンフレットに”とか,そういった会の皆様方のご意見というものはお伝えしましたので,それはまだ,この前お示ししまして次回また部会のところでご審議いただくということに。
【交】次回にですか?
【厚】はい。次回は本年の12月17日になっております。
【交】それは前回に出てないわけだ。
【厚】11月の4日でしたので,そういうような形になっております。
【交】これは傍聴は可能ですか?
【厚】基本的に公開はしておりませんけれども,議事録公開ということですね。
【交】公表はできない?
【厚】はい。
【交】で,市民団体の要望を直接声を聞くような機会を設けてほしいというような要望が交渉であったんですけれど,その辺は伝えてもらってますか?
【厚】基本的にこういうような−−−今までの要望のところで出ていますということで,資料でお示ししたところでございます。
【交】来年度の母子手帳に間に合わせるという努力目標はまだ変わっていないですか?
【厚】基本的に−−内容的にどういうところを入れるかによって−−どういう内容になるか細かいところは別にしまして,もし変えるということであれば長々と延ばしてアレするということはこちらも本意でございませんので,なるべく早いときに,それは反映させるべきものは審議会のところでご意見をいただきましたものに関しては,それはなるべく迅速にこちらも対応したいと考えております。そういうわけです。
【交】“陣痛促進剤のことなんかを母子手帳かまたは相当のものに記載する”ということで,その内容をどうするかという感じで審議をしていると理解して良いのですか?
【厚】いえ。それも含めまして,どういう形で周知させるかというようなことも。
【交】“記載するかしないかも”というのも審議の対象にしようということですか?
【厚】はい。基本的にはそうです。
【交】全くなんにもせんでも良いという結論もあり得るということ?
【厚】でも,あのぅ‥‥(笑い)
 そういういろいろとご意見はしっかりとこちらも伝えさせていただきましたので。どういう形で個別になるのか,まだこちらの方からは−−−事務局の方からは何とも申しあげられないですけれど,それは,はい。
【交】障害者団体からの要望はまとめてますか?
【厚】今回のそういうのに関しましては“安全な出産の”ということでアレでしたよね。薬と特化して言いますと,陣痛促進剤とかいうお話だったので,今回そういうことでこういう要望が来てますということを。
【交】今の事務局の人たちに説明しておきたいのは,以前は“審議会を通さずにやる”というような約束めいたことを言っているのですよ,ここの場で。前の方が。前田さんが。具体的な期日もちゃんと言われているんです。
【交】それで,前回の交渉の時に,“実はこういった類のものはやはり審議会に出して”と,あなた,おっしゃった。
【厚】それは,通常の‥‥。勝手に−−−ある意味では行政の方が勝手にそこらへんできませんので。
【交】だから確認したいのは,いったん前田さんが書き加えたいということを約束して具体的な期日も言っていたわけですよ。だから,個人的に言ったわけでないから−−−厚生省を代表して言ったわけですから,厚生省の意向としては陣痛促進剤のことを母子手帳とかそれ相当のもので国民に知らせたいという意志はいったん確認されているわけですよ。厚生省としての意志は。
【厚】あの、それは審議会にお諮りするということで,はい。
【交】だから,いったんそういう“書く”と言っているわけだから,今の審議会はそれをやるかやらないかじゃなくて,やる内容だというふうに理解しないと今までの経過でまずい。
【厚】ちょっとどういう形でお約束したのかというのが,前任者がアレですけれども,基本的には。
【交】記録,読んでもらったら
【交】書き加えると言っているんですよ,何回も。しかも来年度の母子手帳に。
【厚】前回の交渉の時に,北島と出たんですけれども,ようするにうちの結論としては,いわゆる部会,審議会でかけないとならないということで,前回ですね。
【交】“厚生省としてははっきり書き加えたいと思っていると。それで,審議会の方に内容をお諮りをしたいんだ”ということで出しているかどうかを確認をしているわけです。
【厚】こういう要望があって−−−陣痛促進剤とか各製剤何らかの薬害に関して出す形になっておりますから,あとは中で意見をちょうだいしている段階です。
【交】ちょっと一言だけ念のため言っておきますけど,母子手帳というのは基本的に“良い子を産んでもらおう”という手帳ですよ。その中に薬害のことが書かれた場合,今までどう書かれているかと言えば“薬を飲むと障害児が産まれますよ”という注意事項ですよ。今回のヤツをそんなふうに載せられるんじゃ堪らないということがありますね。先程障害者団体の方からも申し合わせとの均衡の問題が言われたけれど,基本的には医療被害・薬害ということの記載だから母体を守るということはもちろんですけど,同時に“障害児を生まないために気を付けて使いましょう”という記載になりかねないからね,あなた達がいつもやっているのは。それを念のために言っておくよ。そんなもの入れたら逆に削ってもらうよ。文面をちゃんとこちらに見せなさいよ。何を書くか判んないよ。“障害のない子を産むために陣痛促進剤を使うのをやめましょう”となりかねないよ。言っている意味,判りますよね。何回も言われてきたことでしょう。
(沈黙)
【交】部会のメンバーは?
【厚】部会のメンバーに関しましても,これは時々変更がございますけれど,変更があるたびに行政相談室の方に周知するようにしております。行政相談室の方に周知しておりますのでそちらの方に行っていただけますと,最新の部会のメンバーが周知されておりますので。
【交】せっかく来るんだから,見せたって良いじゃないか。
【交】“ここへ行ったらもらえる”ということは,電話やったら。こういう場合はもし持ってきてくれたら,持ってきてくれたらうれしいですよ。
【交】前に“ここへ行ったら良い”というような回答やったら行くがな。持ってきてくれた方が親切と違うの? ただの紙切れ1枚なのに。
【交】これ,確認ですけれど,前まいてくれた紙というのは何種類? どんなんでしたか? 僕らの要望書とかをまいてくれたというわけですね。何を?
【厚】審議会の所ですね?
【交】はい。何をまいてくれたのかは判らない?
【厚】基本的にこの安全なお産ということでありますので,“陣痛促進剤を含んだ薬に関して”というような記述に関して,委員の方にこういう要望書が来てます と。
【交】厚生省がオリジナルの文章を作ったんですか?
【厚】いえ。アレですよ。
【交】僕らの要望書をそのまま?
【厚】そこ,こう引用してですね。
【交】これまた次回の12月17日までにそちらにお出ししたらもう1回?
【厚】あのですね‥‥。あのぅ‥‥。
【交】フィードバックがないと怖いですな。結局待たされてしまうという感じで。
【厚】あと,17日ので結構いろいろと他のもございますので,実は資料として委員の方に事前にお送りしたんですよ。
【交】12月17日の次はいつか判りますか?
【厚】まだですね。委員に大体。前の審議会のところで大体いつ頃ということで委員の先生方に。
【交】そういったことは,12月17日までに出したら次の1月の何とかそういうときには出せるという意味ね。というふうに理解したら良い?
【厚】ただかなり煮詰まっているので,いわゆる意見を反映させていくというのは‥‥。
【交】この件に関しては“いつ頃をめどに”と考えてはるのですか,その結論は?
【厚】その結論ですか。早ければ,いわゆる市町村が母子健康手帳を作るのが4月半ばから4月末までに。自治体の方にはぎりぎりまで待つことにしてます。
【交】じゃ,あなた方としていつまでには最終的なものを作る時間と思っているの?
【厚】本来であれば来年の4月に。ただ‥‥
【交】それまでに作業として終わってないと,母子健康手帳はできないでしょう。
【厚】ですから,次の時点で頂ければと思ってます。
【交】この12月17日で,この件に関しては部会の審議を終えたいと?
【厚】そうですね。そうでないと市町村の手帳を作るのができないですね。

以 上