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【神奈川】『地域医療の崩壊招く』 診療報酬オンライン請求 義務化に反対し提訴の医師ら2009年1月22日
厚生労働省が進める診療報酬明細書(レセプト)のオンライン請求義務化。二十一日に義務化反対の訴訟を起こした医師と歯科医師は、会見で「負担が大きい」と窮状を訴えた。一方、患者側には「医療の情報開示につながる」と評価する意見も多い。 (中沢穣) 「三百万円の投資を強要される。零細の開業医は辞めるしかなく、地域医療の崩壊を招く」。横浜市港北区の小児科医(46)は語気を強める。原告には三十五都道府県の医師ら九百六十一人が参加、さらに二百人以上が加わる見込み。県内からは二百二十二人が参加した。 現在、医療機関による診療報酬請求はオンラインのほか、手書き用紙や電磁媒体の郵送など四種類の方法があるが、二〇一一年からはオンラインのみになる。原告団によると、専用コンピューターを導入した約八割の開業医は十五万円程度の追加投資で済むとみられるが、手書き請求の約二割の開業医は数百万円の費用が必要。 全国保険医団体連合会によるアンケートでは、医師の約12%、歯科医師の約7%が「開業医を辞める」と回答している。 一方、患者側代表として厚労省の中央社会保険医療協議会の委員を務める勝村久司氏は「オンライン義務化は医療の情報公開・共有につながる」と評価。「オンラインで請求している病院は、患者の請求に対し、レセプトの発行が義務付けられている。医療費の内訳が透明になり、不必要な検査や治療がしにくくなり、患者の価値観に合わせた医療につながる」と話した。 厚労省は義務化の利点を「年間十六億件のレセプトの審査や仕分けの効率化」と説明、医療費削減につながるとしている。
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