寒中見舞いのはがきを幾つか受け取った。いつもなら、年賀状が届く人たちからである 近況が短く記してある。暮れに身内に不幸があった人、長年続けた店を閉じる決心をした人。病気が見つかり長期療養に入る、と添え書きしたはがきもあった。旧年のぶさたのせいで、「迎春」の賀状を出したのが後ろめたい。春の前には「寒」がある。ひときわ厳しい寒に耐える人たちがいる 冬のワシントンから、春の祭典のような華やぎと熱狂が伝えられる。初の黒人大統領就任に沸き立つ人たちも、春を待ち望み、春の兆しをつかみたいと切望している。深刻な金融危機に見舞われ、果てしないテロとの戦いを抱える大国は、さながら寒の厳しさのただ中にある 大群衆の祝福を受ける新大統領にならうように、麻生首相も公邸に移った。当面は「単身赴任」のわび住まい、と報じられている。どちらの指導者の方に、寒の厳しさが身にしみているのだろう 寒中見舞いは、「ご自愛ください」と結ばれる。まず、わが宰相にその言葉をかけるのが筋だろうが、海の向こうのリーダーの方に、つい目がいってしまう。
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