元陸自の少年が刺殺認める

　鹿児島県姶良町で昨年４月、乗っていたタクシーの運転手を刺殺したとして、殺人などの罪に問われた元陸上自衛隊第１普通科連隊（東京・練馬）１等陸士の少年（１９＝懲戒免職、札幌市出身）の初公判が１９日、鹿児島地裁（平島正道裁判長）であり、少年は起訴事実を認めた。

　冒頭陳述で検察側は「昨年３月に同僚と一緒に駐屯地を抜け出した後、金を得るために鹿児島市でタクシー強盗を計画したが、同僚が姿を消し、自暴自棄になった」と事件の経緯を指摘。「人を殺したときにどんな気持ちになるのかという好奇心を満たすために犯行に至った。殺害後は『こんなものか』と感じた」と述べた。

　弁護側も冒頭陳述を行い「同僚に逃げられた孤独感から死ぬしかないと思い、自暴自棄になった末の突発的犯行。検察側主張の動機は、うその供述だった」と反論した。

　起訴状によると、少年は昨年４月２２日午前２時１０分ごろ、姶良町の国道１０号に停車させたタクシーの車内で、持っていた折り畳み式ナイフで運転手の神薗三郎さん（５８＝当時）の首を切りつけ、失血死させた。

　逮捕後、鹿児島家裁から移送を受けた札幌家裁が精神鑑定を実施し、責任能力が認められたため、鹿児島地検が起訴した。少年には公判前整理手続きが適用され、１９、２０日の２日間で集中審理を行い、結審する。（共同）

　［2009年1月19日21時37分］