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2009年01月20日 11:12 am JST

「PKO」を考える

投稿者 水野文也
タグ: 株式市場, , , ,

年初のオバマラリーから失速し、嫌なムードが漂ってきた東京株式市場。ここから期末にかけて株価が再び7000円を割るような下げになったら、「PKO」の3文字がメディアに踊るようになるかもしれない。

PKOを考える

PKOは、80年代後半に起きたバブルが崩壊した後の下げ相場で、時の政策に沿って株価が下がると買い支えに動いたのが始まり。そのころに話題になっていた国連の平和維持活動のPKOにもじって「PKO(Price Keeping Operation)」と呼ばれるようになった。

旧郵政系の資金が使われたが、郵貯・簡保が民営化された後は年金資金が購入資金になっているという。最盛期には証券関係者が連日のように郵政幹部へ買い支えの陳情に訪れたことも。

株価が戻る場面では死語と化すが、現在のような厳しい環境になると亡霊のように蘇る(実際、本当に買ったかどうかは、はっきりしない)。金融庁の関係者から話を聞くと、再びクラッシュが訪れても大丈夫なように、その準備をしている様子だ。

株価が下がり、PKOが発動されれば、おそらく、その功罪が議論されることになるだろう。

マーケットに当局は関与すべきではない──。罪の方を問う従来の中心的な意見であり、また正論でもある。こういった見方が再び識者から出ることが想像できよう。しかし、現在の金融危機は放任も大きな要因と言われる昨今、正論を振りかざしていては「角を矯(た)めて牛を殺す」ことにもなりかねない。

日経平均が7000円を割る水準で決算を迎えれば、リスク資産の見合いで金融機関は、より一段と貸し出しを絞らざるを得なくなるだろう。本来ならば高かった時に銀行などは株を売るべきだった──と今さら責めてもむなしいだけ。

現実を直視し、単に株価を支えるという現象面だけではなく、資金流動性を高めるなど実体経済に及ぼす効果まで含めて、PKOは議論されるべき問題なのである。

(写真/ロイター)

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