医療局の対応焦点に 岩手県立病院無床化で説明会

住民代表が無床化の撤回を求める要請書を医療局に提出した説明会=19日、岩手県紫波町
 岩手県医療局が4月実施を目指す6カ所の県立病院・地域医療センターの無床化計画をめぐる地元説明会が19日夜で終了した。「唐突な計画で撤回すべきだ」との声が相次ぐ一方で、「宿直応援などで勤務医の負担軽減に協力したい」と申し出た医師会もあった。協議は今後、関係市町村などとの地域懇談会に移るが、医療局が提案にどう応えるかが焦点になる。

 「無床化を撤回した上で、地域医療を守る話し合いを住民と深めることを強く要請したい」。19日夜、紫波町であった説明会。最後に席を立った住民団体の及川剛代表は医療局の田村均次局長に要請書を手渡した。

 9日の一関市花泉町を皮切りに6市町村であった説明会には、地元住民130―370人が出席した。議論は2―3時間に及び、一関市では「決定経過が不透明」「県民の意見を反映させた代替案を作るべきだ」と不満が噴出。花巻市大迫町では「大迫町には民間医療機関が1つもない」と無床化を不安視する切実な声が上がった。

 達増拓也知事が出席しなかったことにも批判が集中し、医療局は「まだ最終案ではない」「知事には伝える」と答えに苦労する場面もあった。

 一方で、地元からの提案も。岩手、紫波両町の会場では医師会が宿直応援に触れた。紫波郡医師会の渡辺立男副会長は「外来や急患の受け入れをやめ、入院専門病院にしてはどうか」とベッドを残す方策も提言した。

 花巻市の説明会では、県立遠野病院の貴田岡博史院長が「遠野病院が大迫地区をカバーする。夜間の不安を取り除きたい」と話すなど、医療局の現場医師からの積極的な発言もあった。

 こうした提言や意見をどう扱うか。20日の県議会環境福祉委員会で対応を問われた医療局の田村局長は「県議会2月定例会前に最終案を提示する」と答えただけ。

 一部の県議からは「地元の声を生かすには4月実施の先延ばししかない。草の根の声を封殺するようなら、2月定例会で新年度予算案を否決することも考える」と強硬論も浮上し始めた。
2009年01月21日水曜日

岩手

政治・行政



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