米民主党のオバマ氏が、間もなく第四十四代大統領に就任する。米国ではさまざまな祝賀行事が行われ、初の黒人大統領の誕生に向け高揚感が高まっている。
米国では大統領就任後の百日間をハネムーン(蜜月)期間と呼び、議会やマスコミ、国民などが批判を控える慣習がある。「お手並み拝見」という感じだろう。オバマ氏には経済危機やイスラエルのガザ侵攻問題など即応すべき課題が山積する。
百日の間に効果的な施策が打ち出せれば、期待はさらに膨らもう。「景気は気から」という要素もある。オバマ氏の百日には、歴代の大統領以上に世界の注目が集まるのは間違いない。
日本では麻生政権が発足して百日余りになる。日本の政界でハネムーンの慣習はないが、それなりに新政権の船出をしばらく見守る雰囲気はある。だが、支持率の急落は著しい。
定額給付金をめぐる麻生太郎首相の「ぶれ」などが影響しているようだが、根底には政権の正統性の問題があろう。米国の大統領制と単純に比較はできないが、安倍、福田、麻生各内閣が三代も続けて選挙の洗礼を受けていないため、政権基盤の脆弱(ぜいじゃく)さは否めない。
オバマ政権は内外の高い期待と重い課題を背負ってスタートする。その高揚感に比べ、日本の政治の停滞感はあまりにも寂しい。