家族全員、焼肉大好き。美味しい焼肉屋さんを見つけるのも得意です。
今月のゲストは俳優の川野太郎さん(45歳)です。
デビュー時の清潔感のある男らしさはそのままに、役の幅を広げ続け、今年は韓国ソウルでの舞台公演も実現。野球に打ち込んだ青春時代、大ヒットドラマの思い出、そして「週に一度は食べたい!」というほど大好きな焼肉について聞きました
―――山口県ご出身ですね。どんな少年時代を過ごされたのですか。
川野 育ったのは小郡(おごおり)という町です。山も川もあるし、自転車で1時間くらい走れば海にも出られる、いいところ。だから遊んでばっかりでしたよ(笑)。
釣りをしてて、そのまま海に飛び込んで泳いじゃったこともありました。
それからやっぱり、当時の男の子はほとんどみんな野球に夢中でしたよね。
小学校の2年生くらいでソフトボールから始めて、そのうちクラスでチームを作って、週末には隣のクラスに試合を申し込んだり、夏休みには町の大会で優勝したり。
――高校時代は甲子園を目指されたのでしょう?
川野 めざしてました!でも、3年生でキャプテンになった時、勝てなくて勝てなくて、何が原因なのかと悩んで。
よく「魔の8回」と言うんですが、序盤まで勝ってても最終回近くに逆転されたりする。浮き足立っていたんですね。
その時、チームメイトを集めて言ったんです。「野球って、セオリーも大事だけど、基本は1個のボールを追いかけるものじゃん?」って。
ダブルプレーにしようなんて考えると、ほかの選手も焦る。まず1個アウトをとればいい。目の前のボールだけ見ようよと。するとダブルプレーもとれるんですよね。
そういう気持ちで臨んだら、結局、その年は中国5県大会で優勝しちゃったんです。これが秋の大会だったら翌年のセンバツに出場できたんですけどね、春の大会だったので、そこどまり(笑)。
――ライバルはいましたか。
川野 のちに広島カープの投手になった津田恒美(故人)。速かったですよ!球が見えなかったですから。
彼の高校とは練習試合を含めて5回対戦したんですが、3勝1敗1分けで、うちの高校が勝ち越してるんです。
彼らが春のセンバツに出場して、ベストエイトまで勝ち進んだときは「俺たちが勝った相手なのに!」ってくやしかったですよ。
――早稲田大学でも野球部に所属され、10年以上、野球を続けたことは糧になっていますか。
川野 そうですね。すごくプレッシャーのかかる現場や難しい舞台でも、「普通にやろうよ」って思える。
緊張感は必要なんですけど、アガッちゃうと、稽古場でやったことを出しきれないで終わってしまいますから。
それは野球も芝居も同じです。勉強になったと思っています。
野球青年から俳優に
――連続テレビ小説『澪(みお)つくし』(NHK)での主演デビューは印象的でした。
川野 大学4年の時に芸能界入りをすすめてくださった方がいて、芝居の稽古に通い始めたんです。
で、9カ月ほど稽古したところで『澪つくし』のオーディションに通っちゃったんですから、本当の新人、まったくのど素人でした。
歩けば右手と右足がいっしょに出ちゃう。雪駄がすべって脱げちゃったり(笑)。
――そうでしたか!網元の息子役にぴったりはまっていましたが。
川野 脚本家のジェームス三木さんが、僕に合わせて書いてくださったからですよ。芝居のできない新人が初々しく見えるように。
だから自分イコール惣吉みたいに演技できたし、すごく役に入りこんでました。
――父親役を演じた『キッズ・ウォー』(TBS)も大ヒットしましたね。
川野 あれは芝居以前にキャスティングの勝利というのかな。子役たちとも本当の家族のように息が合ったんです。本番直前まで、バラバラのことやってても、本番になるとピタッと一発で決まっちゃったりする。あんなに気の合うチームはめったにありません。だから、みなさんも見てくれたのかなと思います。
――次はどんな役を見せてくれますか。
川野 昨年から舞台で学校の先生役に取り組んでいるんです。
『友情』という、実話をもとにしたいい物語なんですよ。先生役は初めてですが、おもしろいですね。
生徒役は14歳から22歳まで、16人出演するんですが、本当の先生と生徒に見えるには、この子たちと、どれだけ接近するかが勝負だと思いました。
だから稽古を一日休みにしてバーベキューに連れていったり、日頃からコミュニケーションをとりましたね。
この芝居を2月に韓国のソウルで上演するんですよ。今、出演者みんなで韓国語の特訓中です。
2005年は日韓国交正常化40周年ですから、記念の年に、国と国の『友情』を確かめ合うという期待をこめての上演なんです。
今、日本では韓国の俳優さんたちがすごい人気ですよね。韓国の人にも日本の舞台を観ていただいて、こういう形での交流がさかんになるといいなあ。
これからはあちらの俳優さんといっしょに芝居をすることも増えるでしょうね。近い将来、大阪〜東京くらいの感覚で、日本と韓国行き来するようになるんじゃないでしょうか。
焼肉大好きファミリー
――大の焼肉ファンだそうですね。
川野 大好きですよ!週に1回は食べたいですね。子どもたちも好きですしね。
――奥様は妊娠中にもずいぶん召し上がったとか。
川野 すごかったですよ、最初の子の時は、週に2回くらい食べてましたから。
体重制限オーバーだったんですけど、どうしようもなく食べたいんですって。「食べづわり」というやつですかね。
どんどん食べて、どんどん頼んで、高くつきましたよ、あの時は(笑)。
「私じゃなくてお腹の子が食べたがってるのよ」って。その子がまた焼肉好きですからね。
――お腹の中で焼肉を食べていたからでしょうか(笑)。
川野 あれだけ食べればね、焼肉のエキスがへその緒を通って(笑)。
――川野さんも野球選手でしたから、たくさん召し上がったのでは?
川野 高校時代は10日に1回くらい、親父が焼肉に連れていってくれました。そりゃもう食いましたよ〜(笑)。
11人前くらい頼んで、どんぶりご飯2杯食って、でっかいスープ飲んで。その後、喫茶店連れてってもらってチョコレートパフェ(笑)。
今、うちは上の男の子が小学校3年生、下の女の子が幼稚園だから、まだ量はそんなに食わないんです。でも、年ごろになったら大変だろうなあ(笑)。
――お気に入りのお店はありますか。
川野 最近、美味しいお店を見つけたんです。横浜市の『美郷(みさと)』というお店です。
クルマで何軒か店の前を通り過ぎた後、「お!ココ旨そうじゃない?」って。
最初のタン塩をじゅーっと焼いて、一口、食べたとたん、カミさんと目が合って、同時に「美味しいじゃん!」って。
――『料理バンザイ!』(テレビ朝日)のグルメ・レポーターをされていたから、美味しい店はピンとくるのでしょうか。
川野 ええ、当たりますよ、店の入り口や雰囲気を見たら。
――いいお店の共通点は何ですか。
川野 やっぱりドアとか、エントランスの壁とか、暖簾とか、そういうものに、どこかちょっとこだわっている。
真摯に味を追求している料理人やオーナーは、店の雰囲気も美味しさの要素だと考えていますからね。
――焼肉のどんなところがお好きですか?
川野 うちの子どもたちは、自分で焼けるのが好きみたいです。「次、食べたいもの、僕に言ってね」なんてね。もちろん味も好きなんですけど、それも楽しいんじゃないですかね。
そのかわり焼かせる前にずいぶん教えましたよ。「ここは熱いから気をつけるんだ」って。
――お好きな食べ方はありますか。
川野 レバ刺し、タン塩、次に塩系のカルビで始めますね。野菜はチョレギサラダ。で、塩カルビを食べ終わったら、たれ系のハラミとカルビ。
ロースはあまり頼まないんです。脂がじゅわっとするほうが好きなので。
それでお腹がいっぱいにならなかったら追加でたれ系のカルビ。最後に締めでユッケジャンクッパですね!
あと、白菜キムチが好きですね。『美郷』の白菜キムチは上品に辛いんです。「ハアーッ!」って感じじゃなくて、奥深い、甘みのある辛さ。だけど、食べてるうちに毛穴が開いてくるんですよ。
あー!焼肉、食べたくなってきた(笑)。
――ぜひ、お出かけください(笑)。韓国公演の成功をお祈りしています。今日はありがとうございました。
『友情』Friendship 〜秋桜のバラード〜
白血病治療のため頭髪が抜け落ちてしまった
高校生・あゆみを励ますために、クラスメート
たちが交わした約束とは……。
生徒たちが育む「友情」を、川野さん演じる
担任教師・野本はあたたかく見守る。
俳優 川野太郎さん 1960年山口県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。85年NHK連続ドラマ小説『澪つくし』でデビュー。以後、『武蔵坊弁慶』(NHK)『キッズ・ウォー
1〜4』(TBS)などのヒットドラマはじめ舞台、映画出演多数。知的でソフトなキャラクターで、レポーター・キャスターとしても活躍。著書に『不完全パパマニュアル』(古川書房)。
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