留学で高知県内に滞在していたアルダフディさん一家。ジヤドさん(右から2人目)が抱いているのが、日本国籍のモハンマド君=03年、高知県
【エルサレム=古谷祐伸】イスラエル軍の攻撃で千人を超える犠牲者が出ているパレスチナ自治区ガザに、日本国籍を持つパレスチナ人が1人いる。攻撃が激しさを増す中、この一家は14日、在イスラエル日本大使館に脱出の意思を伝えた。
日本国籍を持つのは、ジヤド・アルダフディさん(41)の次男モハンマド君(7)。ジヤドさんは00〜05年に高知医科大(現高知大)などに留学。02年に高知県でモハンマド君が生まれた。当時、パレスチナ人は無国籍扱いだったため、モハンマド君は国籍法に基づき日本国籍を得た。
一家は妻モナさん(40)、長女ヌールさん(14)、長男ハッサン君(12)、次女マイさん(3)の6人家族で、ガザ南部ラファに住んでいる。マイさん以外は高知滞在経験があり、ヌールさんはまだ土佐弁も覚えているという。
一家の安全を気遣う高知県の知人たちも「救出」支援に乗り出した。中心となっているのは、ジヤドさんの元同僚で、高知大で助教を務めるエバ・ガルシア・デル・サスさんら。12月27日の空爆開始以来、県内で支援を呼びかけてきた。身元保証人を名乗り出る人や、金銭支援を申し出る人もいるという。
ジヤドさんは14日夕、朝日新聞記者の電話に「支援はうれしく、一体感を感じる。でも本当に出られるか、まだ分からない」と話した。日本大使館は一家の意向を受け、イスラエル政府に支援を要請中。ただ、ジヤドさん宅からガザ北部の検問所まで車で1時間近くかかり、安全確保など実現への課題は多いという。