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支局長からの手紙:四十男の受験 /高知

 正月休みに甥(おい)っ子とトランプで神経衰弱をしました。相手は小2。完敗です。記憶力の低下は目も当てられません。こんな40代の私が昨秋、受験生になりました。

 「ぜひ受験してください」。昨年6月に取材したソウル出身の元県国際交流員、高野慶さん(30)の一言が効きました。6月の試験は転勤直後を理由に敬遠していたのですが、もう逃げられません。11月、ハングル能力検定試験の3級(中級前半)に挑みました。

 ハングルは女優さんにひかれ、4年ほど前から学んでいます。NHKのラジオとテレビ講座による独学です。ハングルでお母さんは「オモニ」。日本語と全然違うと思われるかもしれませんが、「母屋」という言葉を思い出してみてください。学べば学ぶほど両国の近さが実感できます。

 検定に備え、職場にも例文や単語を張りつけました。教材のCDをダビングして、歩きながら食べながら繰り返し聴きました。音楽を聴くのはしばらく我慢です。

 NPO主催のハングル検定は93年に始まりました。最初の受験者は2010人でしたが、韓流ブームを追い風に定着し、31回目の今回は1万1484人が受験しました。試験日の11月9日は当初、衆院選の投開票日と目されており、そうなれば仕事柄、受験を断念せざるを得ないところでした。

 試験当日。県内の3級受験者はわずか6人(女性4人)です。同じくらいの世代が目立ちます。試験は1時間の筆記が60点満点、30分の聞き取りが40点満点。合わせて60点を取れば合格です。誰もが開始直前までテキストを開き、教室には緊張感が漂っています。

 「????」。話す速度が速すぎます。苦手の聞き取りです。なりふり構わずカタカナで書きとめようとするのですが、発音を文字に置き換えることさえできません。自信があったのは最初の4問だけ。あとは壊滅状態です。幸い問題は四択ばかりです。日本語訳を選ぶ設問では、読み上げる人の切羽詰まった口調から、「大変なことになります」を選びました。

 先月中旬、郵送で結果が届きました。「合格」。まぐれ当たりを連発したのです。意外にも筆記より聞き取りの方が、正答率が高いではありませんか。「大変なことになります」も正解でした。こんな実力不足での合格こそ「大変なこと」ですが、高野さんに報告すると、「運も実力のうちです」。

 この土日、大学入試センター試験が行われました。大学入試では苦い思い出しかありませんが、社会人になってからの強制されない勉強は意外と苦になりません。

 たとえ忘れても、また覚えたらいい。その精神で、今度は準2級を受験します……たぶん?

 今年、皆さんも何かに挑戦しませんか。【高知支局長・大澤重人】

shige.oozawa@mbx.mainichi.co.jp

毎日新聞 2009年1月19日 地方版

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