"We sleep safely in our beds because rough men stand ready in the night to visit violence on those who would harm us." - George Orwell
2009-01-14
白燐弾の続き: D_Amonさんのエントリ
http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090114/p1
ブックマークコメントにも書きましたが、100字制限があると語弊もありますのでこちらに詳しく書いておきますね。
まずid:D_Amonさんのエントリに反対している私は、白燐弾≠焼夷弾という認識を持っています。ですのでそういう認識の相手に向かって黄燐焼夷弾の説明((中央公論社版図解科学の第21号(昭和18年11月号)))を持ち出されても意味がないです。確かに戦前の書物であっても科学的性質および見解は変わらないはずですが、この文中では名称からして違いますし、また戦時中のアメリカ軍兵器の解説ということにも留意せねばなりません。たとえば戦時中では、原爆に対してマスク着用や白色の着物で防ぐことが出来るなどの言説も見受けられます。
また、こういう文章を元に性質をまとめるというのはおかしいです。前のエントリやブックマークコメントでkmiuraさんにU.S. Army Center for Health Promotion and Preventive Medicine Detailed Facts About White Phosphorous (218-24-1096)やAgency for Toxic Substances and Disease Registry (ATSDR), ”White Phosphorus: Health Effects” (PDF), Toxicological Profile Information Sheetをご提示いただけましたが、このような資料をもとに考えていくのが普通ではないかと思います。
主張
それに、「白燐弾に焼夷効果は無い」「白燐弾の対人使用はありえない」なんて主張しているひとはどこにいるのでしょうか。私の観測範囲では見受けられませんでした。そうではなくて、「白燐弾は焼夷弾ではない」「いまだ国際法違反にはなっていない」「白燐弾のガスは即効性の有毒ガスなのではない」ということを言いたかっただけなのです。デマって:
また非人道兵器の対人使用(ジュネーブ条約追加議定書)に該当し焼夷兵器の非合法使用(特定兵器禁止条約)にも部分該当しますが、アメリカはそれらの条約を批准していません。しかし、批准していないからといって違反にならないというわけではありません。対外的武力行使には相手が存在するからです。(例:第二次世界大戦時の日本はジュネーブ条約に調印はしていても批准はしていませんでしたが、戦後、捕虜の虐待により裁かれました)
ただ、この無差別殺戮の生存犠牲者と目撃者には明確な人道に対する罪として記憶されるでしょう。未だ裁かれない数多の米軍による無差別戦略爆撃と同じように。
ちなみに米軍は黄燐焼夷弾(白燐弾)の対人使用はジュネーブ条約違反と兵士に教え込んでおり、米軍が白燐弾をジュネーブ条約違反の兵器と認識していることには間違いありません。
白燐弾報道をデマとするデマに対して - 模型とキャラ弁の日記
ここのまた非人道兵器の対人使用(ジュネーブ条約追加議定書)に該当し焼夷兵器の非合法使用(特定兵器禁止条約)にも部分該当しますが
のような記述のことではありませんか? 非人道兵器〜はともかく、焼夷兵器の非合法使用(特定兵器禁止条約)にはまったく該当しません。白燐弾は焼夷弾ではありませんから。また『戦争における「人殺し」の心理学』から引用されていますが、やはり記述は黄燐焼夷弾
に対してですし、あの本の著者は大学で教えているだけで、米軍人が米軍について書いた情報
とはなりません*1。
一番言いたいこと
白燐弾は焼夷兵器→非人道的→規制なんて回りくどい主張をする必要はないです。白燐弾→非人道的な側面がある→規制でいいんです。どうして:
本来は焼夷兵器に対する規制だけで十分なのに焼夷兵器の内で白燐弾のみを個別に明示的に禁止する条約を作る必要があるとすれば、そういう白々しいエクスキューズを用いて焼夷兵器としての使用を正当化しようとする国々があるからというものです。
白燐弾報道をデマとするデマに対して - 模型とキャラ弁の日記
のようにならないかといえば、上のような(白燐弾は焼夷兵器→非人道的→規制)という主張をされているかたが多いからではないでしょうか? これでは第一段階の話で止まってしまい規制まで話しがいかないのですよ。また戦争に関する法律では、拡大解釈が必要になることはないと思います。そんなことになったら、むしろ都合の良い解釈をもとにした逸脱行為が一般化してしまいますから。
*1:実際の資料は上に挙げました
D_Amon 2009/01/15 00:08 >この文中では名称からして違います
名称が違うのは訳語の問題ですね。
直訳すれば黄燐弾なり白燐弾のところを訳語では機能の説明が付け足されているわけです。
同文で発煙弾という言葉が使われていることから分かるように、アメリカが機能において煙幕弾兼焼夷弾の黄燐弾にそういう名前をつけるのは昔からのことです。
>「白燐弾に焼夷効果は無い」「白燐弾の対人使用はありえない」なんて主張しているひとはどこにいるのでしょうか。私の観測範囲では見受けられませんでした。
現時点のWikipedia日本語版には「焼夷効果は持っていない」と書いてありますよ。
http://anond.hatelabo.jp/20070602032025に「軍オタのいう「対人使用なんてありえない」ってのは」と書いてありますよ。
>やはり記述は"黄燐焼夷弾"に対してですし、
白燐弾も黄燐焼夷弾もWhite Phosphorus Bombの訳語で、英文では同じものです。
>あの本の著者は大学で教えているだけで、"米軍人が米軍について書いた情報"とはなりません
グロスマンの経歴は「米国陸軍に23年間奉職。陸軍中佐。レンジャー部隊・落下傘部隊資格取得。ウエスト・ポイント陸軍士官学校心理学・軍事社会学教授、アーカンソー州立大学軍事学教授を歴任。98年に退役」なわけで超のつくベテランだと思いますよ。
>白燐弾は焼夷兵器→非人道的→規制なんて回りくどい主張をする必要はないです。白燐弾→非人道的な側面がある→規制でいいんです
率直に聞きたいのですが、wiselerさんにとって白燐弾の非人道的な被害はどうやってもたらされるものなのですか?
そういう風に言っておいて焼夷効果とか言わないですよね。
wiseler 2009/01/15 02:37 D_Amonさんコメントありがとうございます。
まず私のスタンスを理解していただきたいのですが、白燐弾≠焼夷弾であり、とうぜん白燐弾≠黄燐焼夷弾と思っています。焼夷弾の主成分を黄燐に変えた黄燐焼夷弾と、発煙目的で白燐を燃焼させる白燐弾の二つは根本的に異なるというのが私の理解です。焼夷弾の構造と白燐弾の構造は少し違います。例えば線香から煙は出ますが、線香にふれても火傷はします。ライターとは違いますよね。
> 現時点のWikipedia日本語版には「焼夷効果は持っていない」と書いてありますよ。
http://anond.hatelabo.jp/20070602032025に「軍オタのいう「対人使用なんてありえない」ってのは」と書いてありますよ。
ご紹介ありがとうございます。Wikipediaも増田もみていませんでした。Wikipediaには確かにそう書いてありますが、本文を詳しく見ると
>http://ja.wikipedia.org/wiki/白燐弾>
白リンを充填した砲弾の歴史は第一次世界大戦以前まで遡れるとされる。発煙弾や照明弾、焼夷弾に使用する目的で開発された。現代でも普通に使用される兵器であるが、焼夷弾としては(手榴弾を除き)ほとんど使用されていない。
<<
と書いてありますので、ちゃんとみればある程度の焼夷・殺傷効果をもつことは読み取れるのではないでしょうか。まあそれ以前のこのページの記述には疑問点が色々見受けられますね。
増田も見ましたが、これは「白燐弾より銃弾うちこめ」という主張ではないですかね。「対人使用なんてありえない」というそのままの文意ではないと思います。
> 白燐弾も黄燐焼夷弾もWhite Phosphorus Bombの訳語で、英文では同じものです。
黄燐焼夷弾は焼夷弾なので、英文だとIncendiary bomb/deviceではないですかね。http://en.wikipedia.org/wiki/Incendiary_deviceを見れば主成分にwhite phosphorusがあると書かれており、リンク先にはhttp://en.wikipedia.org/wiki/White_phosphorus_incendiaryのほかに応用ではないhttp://en.wikipedia.org/wiki/Allotropes_of_phosphorus#White_phosphorusの記述がありました。この記事名の付け方を見るとやはりこの二つは別物ではないでしょうか。
> グロスマンの経歴は「米国陸軍に23年間奉職。陸軍中佐。レンジャー部隊・落下傘部隊資格取得。ウエスト・ポイント陸軍士官学校心理学・軍事社会学教授、アーカンソー州立大学軍事学教授を歴任。98年に退役」なわけで超のつくベテランだと思いますよ。
氏が白燐弾についてのマニュアルを作成していたわけでは(恐らく)ないのでは? という意味です。氏が戦争心理学の専門家であることには間違いないですが、白燐弾についてはどうでしょう。
> 率直に聞きたいのですが、wiselerさんにとって白燐弾の非人道的な被害はどうやってもたらされるものなのですか?
そういう風に言っておいて焼夷効果とか言わないですよね。
私は白燐弾に焼夷効果がないなんて一度も書いてませんよ。どうやってとは、白燐が発火中に人体に触れると相当なダメージを皮膚にもたらすという解釈でよろしいですか? 確か2度の火傷になるかならない程度だったと思います。発煙目的の白燐弾が非人道的と言うには十分なはずです。
kmiura 2009/01/15 09:47 結局、発煙だから人道的であるというレトリックに対してどう反論するかということなのでしょうね。実際に今回市民に被害が出ているわけだし。
黄リンと白リンに関しては大学の無機化学の教科書をみればどれでも書いてあると思いますがたとえば
http://www005.upp.so-net.ne.jp/barkhorn/home21.HTM
などを参照されるとよいと思います。白リンの純度が低く、赤リンが混在しているとやや黄色くみえるのでそのように呼ばれる。いずれにしろ発火点などはほぼ同じと考えて間違いないでしょう。
あとシバレイさんの二年ほど前の記事のコメント欄をみかけました。トピックはほぼ同じです。
参照になるかもしれません。
http://reishiva.exblog.jp/3797471/
D_Amon 2009/01/15 11:49 >まず私のスタンスを理解していただきたいのですが、白燐弾≠焼夷弾であり、とうぜん白燐弾≠黄燐焼夷弾と思っています。焼夷弾の主成分を黄燐に変えた黄燐焼夷弾と、発煙目的で白燐を燃焼させる白燐弾の二つは根本的に異なるというのが私の理解です。焼夷弾の構造と白燐弾の構造は少し違います。例えば線香から煙は出ますが、線香にふれても火傷はします。ライターとは違いますよね。
黄燐と白燐は同じものと考えていいものですよ。厳密に言えば黄燐を精製したのが白燐ですけど、殆ど同じものとして扱われています。例えばhttp://www.inv.co.jp/~yoshi/doku-g/doku.htmlでは黄燐の説明で別名を白燐としていますね。日本語での白燐弾・黄燐焼夷弾・黄燐煙幕弾とかの記述は訳語の問題で、英文では同じWhite Phosphorus Bombです。
>この二つは別物ではないでしょうか。
http://assist.daps.dla.mil/quicksearch/basic_profile.cfm?ident_number=8250
を読んでもらえば分かると思いますが、白燐が充填された煙幕弾の説明に煙幕兼焼夷弾と書いてありますね。
White Phosphorus Bombは燃える白燐の破片を爆発でばら撒く煙幕兼焼夷弾で英語圏ではそういう誤解の余地は無いのですが、日本語だと訳語の関係でそういう誤解がされてしまうのかもしれません。
>氏が戦争心理学の専門家であることには間違いないですが、白燐弾についてはどうでしょう。
氏は著書で「<ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾>の話は、私もフォート・ベニングで聞いている。士官候補生学校での大砲の射角に関する講義でも、歩兵将校基本コースでも、レンジャー養成校でも、そして歩兵迫撃砲小隊将校コースでも聞かされた」と書かれていますね。彼は米軍人として米軍で繰り返し<ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾>について学習しているわけで、それを兵器としてどう扱うべきかは米軍兵士が教え込まれる知識として程度には知っていたと言えるでしょうね。
これが米軍人が米軍について書いた情報であることに間違いは無い筈ですよ。
>私は白燐弾に焼夷効果がないなんて一度も書いてませんよ。どうやってとは、白燐が発火中に人体に触れると相当なダメージを皮膚にもたらすという解釈でよろしいですか?確か2度の火傷になるかならない程度だったと思います。発煙目的の白燐弾が非人道的と言うには十分なはずです。
つまり焼夷効果で非人道的な被害を与える兵器なものの焼夷効果は付随的なので焼夷兵器ではないと。
焼夷効果で人を焼くために使用しても焼夷弾ではないと。
そういう風に解釈しているという理解でよろしいでしょうか。
y_arim 2009/01/15 16:04 あるものを指して国によって表現が異なるってのはよくある話。で、そういうのは時に「政治的な理由」からだったりする。これはそういう話なんではないかと理解しました。
> 白燐弾も黄燐焼夷弾もWhite Phosphorus Bombの訳語で、英文では同じものです。
なぜ日本語では分かれるのか? というのを調べると、分けた意図が見えてきそうです。ぼく自身は現在詳細に突っ込むリソースがないので、これは「予想」ですけれども。
wiseler 2009/01/15 21:40 みなさまコメントありがとうございます。
# kmiuraさん
> 結局、発煙だから人道的であるというレトリックに対してどう反論するかということなのでしょうね。実際に今回市民に被害が出ているわけだし。
まあどちらかというと、どんな兵器でもイスラエルがガザなどの地域で発射した時点で市民に被害がおよんでしまうのが問題であると思っています。自衛隊も白燐弾を所有使用していますが、こちらは非人道的というほど問題になるとは思えません。
# D_Amonさん
> 黄燐と白燐は同じものと考えていいものですよ。厳密に言えば黄燐を精製したのが白燐ですけど、殆ど同じものとして扱われています。例えばhttp://www.inv.co.jp/~yoshi/doku-g/doku.htmlでは黄燐の説明で別名を白燐としていますね。日本語での白燐弾・黄燐焼夷弾・黄燐煙幕弾とかの記述は訳語の問題で、英文では同じWhite Phosphorus Bombです。
> http://assist.daps.dla.mil/quicksearch/basic_profile.cfm?ident_number=8250
を読んでもらえば分かると思いますが、白燐が充填された煙幕弾の説明に煙幕兼焼夷弾と書いてありますね。
White Phosphorus Bombは燃える白燐の破片を爆発でばら撒く煙幕兼焼夷弾で英語圏ではそういう誤解の余地は無いのですが、日本語だと訳語の関係でそういう誤解がされてしまうのかもしれません。
すいません、資料で使用されている名称をもとに書いてしまったので焼夷弾では黄燐、白燐弾では白燐という言葉遣いをしています。おっしゃるとおり似た様なものです。ところで、上に書きましたとおり私は白燐弾≠焼夷弾という認識を持っていますので、白燐弾=黄燐焼夷弾とは認識していません。
ちょうど良い画像があったので引用します。
-http://www.n-buturi.co.jp/service/burying/dangerous/M691.jpg (こっちが焼夷弾)
http://www.n-buturi.co.jp/service/burying/dangerous/500bunkai.jpg (焼夷弾の射出メカニズム)
-http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m825a1_usafas.jpg (こちらが白燐弾)
見ての通り、例え使用している成分が同じく白燐(黄燐)であったとしても、構造設計からして異なる別の兵器です。とまあ、このように考えていますので、D_Amonさんのおっしゃる黄燐焼夷弾=白燐弾の考えで記述されている資料か何かがございましたらご提示いただけないでしょうか。ここのところだけ私とD_Amonさんで話がすれ違っているようなので。
> 氏は著書で「<ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾>の話は、私もフォート・ベニングで聞いている。士官候補生学校での大砲の射角に関する講義でも、歩兵将校基本コースでも、レンジャー養成校でも、そして歩兵迫撃砲小隊将校コースでも聞かされた」と書かれていますね。彼は米軍人として米軍で繰り返し<ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾>について学習しているわけで、それを兵器としてどう扱うべきかは米軍兵士が教え込まれる知識として程度には知っていたと言えるでしょうね。
これが米軍人が米軍について書いた情報であることに間違いは無い筈ですよ。
それは『戦争における「人殺し」の心理学』p. 327-328 第27章の冒頭の文章ですよね。サブタイトルとして"問「正義は銃身から生まれるか」"と"回等「私がこの手で撃ち殺す」"と書いてあるとおり、残虐行為に対しての倫理観を説明するための小話ではないでしょうか。そしてその前後に、とくにこの黄燐焼夷弾が白燐弾であるような説明はありません。黄燐焼夷弾は焼夷弾ですから、ジュネーヴ条約で禁止されていますし、いかなる対人使用も法律違反であることは当然です。
> つまり焼夷効果で非人道的な被害を与える兵器なものの焼夷効果は付随的なので焼夷兵器ではないと。
焼夷効果で人を焼くために使用しても焼夷弾ではないと。
そういう風に解釈しているという理解でよろしいでしょうか。
はい、発煙を一義とする設計の白燐弾は法律上焼夷兵器には該当しませんので、使用目的に関係なく焼夷弾ではありません。解釈ではなくて、法律の定義なので仕方ないのです。
# y_arimさん
> あるものを指して国によって表現が異なるってのはよくある話。で、そういうのは時に「政治的な理由」からだったりする。これはそういう話なんではないかと理解しました。
> 白燐弾も黄燐焼夷弾もWhite Phosphorus Bombの訳語で、英文では同じものです。
なぜ日本語では分かれるのか? というのを調べると、分けた意図が見えてきそうです。ぼく自身は現在詳細に突っ込むリソースがないので、これは「予想」ですけれども。
もちろんそういうことは多々あるのですが、私の立場として、上に書いたとおり白燐弾が同様の事例に該当するとは思えません。なぜ日本語で英語と違うように分かれているかは良く知りませんが、空襲などで黄燐焼夷弾を目の当たりにしている方が大勢いると思いますので、そこら辺の印象もあいまって他の焼夷弾や同様の物質を使用している白燐弾と区別しているのではないでしょうか。
usi4444 2009/01/16 00:42 >「白燐弾に焼夷効果は無い」
>「白燐弾の対人使用はありえない」
なにか「OOはなかった」みたいな話になっていますが、イスラエル軍がレバノンでの白燐弾対人使用を認めるまではこんなこという人はウジャウジャいました。それこそウンザリするほどに。
D_Amon 2009/01/16 18:39 >見ての通り、例え使用している成分が同じく白燐(黄燐)であったとしても、構造設計からして異なる別の兵器です。
M69は油脂焼夷弾ですよ。図にもナパーム剤と書いてあるでしょうに。見て分からなかったのですか?構造設計の比較にこれらを持ち出したということは、つまりwiselerさんが何も分かっていないことの表明にしかなりません。
>D_Amonさんのおっしゃる黄燐焼夷弾=白燐弾の考えで記述されている資料か何かがございましたらご提示いただけないでしょうか。
例えば、下記URLですかね。
http://www10.ocn.ne.jp/~kuushuu/m308.html
「M47A2 100ポンド黄燐焼夷弾」となってますね。
これはM47A2の容器を利用した白燐弾なわけですが、「中小都市空襲」という本では同じものが白燐弾と訳されていますよ。
白燐弾報道を否定しているここでも紹介されているのが面白いですね。
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq08f02j.html
M47に関しては下記URLのPDFファイルがそれなりに詳しいです。
http://www.swf.usace.army.mil/pubdata/fuds/5points/documents/asr/appendixc.pdf
白燐を用いた「煙幕弾」(煙幕兼焼夷用)を日本では黄燐焼夷弾と呼んでいたわけです。私が引用した図解科学第21号の記述(wiselerさんは読んだ筈)で米軍のWP発煙弾を黄燐焼夷弾と呼んでいることからも分かっていただけるかなと思います。
米軍で白燐煙幕弾(WP Smoke)と呼ぶ兵器が日本で黄燐焼夷弾と呼ぶ兵器だったことが同じ兵器をさす複数の訳語がある原因の一つといったところです。
炸薬の爆発で燃える燐片をばらまく煙幕兼焼夷兵器にどう名づけたかというだけで、両者は同じものですよ。
こういうことは米軍がどういう装備をしていて、それらをどう呼んでいて、資料や書籍が日本語に訳される際にどういう訳語が使われてきたか原文と和訳の比較で知っていれば同じものをさす別の言葉と分かるのですが、とりあえず、米軍の装備を見てwiselerさんが考える黄燐焼夷弾に相当するものを米軍が装備していたか調べられる資料を提示してみますね。納得いかないなら調べてみてください。
米軍の過去からの弾薬はこのページから調べられます。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/index.html
今回は砲弾などの弾薬が対象になるのでこのページから調べます。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/ammo.htm
砲撃に使う砲弾でしたら、Artillery Projectilesのところの、例えば下記URLの155mm砲弾(榴弾含む)のところとかから、WPの焼夷弾を見つけられたらwiseler氏の推測した意見が正しいことになります。口径は例として示しただけですから、もちろん別の砲弾(榴弾含む)から探してもらって構いません。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/155.htm
大した手間ではないのでwiseler氏の考えるところの黄燐焼夷弾が見つかるか探してみてください。
逆に見つからなければwiseler氏の推測した意見は正しくないということになります。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/m416.htm
M416のような煙幕兼焼夷用とかしか見つからない場合、WP Bomb=白燐弾=黄燐弾で「煙幕弾」という名前でも煙幕と焼夷の両用兵器であり、訳語が黄燐焼夷弾になることもあるということを認めていただければなと思います。
後、参考までにカナダ軍が白燐弾を焼夷兵器として使用した報道の魚拓のURLも貼っておきます。
http://megalodon.jp/?url=http://www.excite.co.jp/News/odd/00081160789467.html&date=20061015143722
>はい、発煙を一義とする設計の白燐弾は法律上焼夷兵器には該当しませんので、使用目的に関係なく焼夷弾ではありません。解釈ではなくて、法律の定義なので仕方ないのです。
実態として煙幕と焼夷の両用である白燐弾を「煙幕弾であり焼夷効果は付随的なものだから条約上の焼夷兵器ではない」と白々しい言い訳をしているのが問題なんですけどね。
で、そういう白々しい言い訳を条約の抜け道として認めてしまうと焼夷兵器禁止条約が形骸化してしまうわけで、そうなる方がよっぽど望ましくないことだと私は思いますよ。
wiseler 2009/01/18 01:51 お二人ともコメントありがとうございます。
# usi4444さん
> なにか「OOはなかった」みたいな話になっていますが、イスラエル軍がレバノンでの白燐弾対人使用を認めるまではこんなこという人はウジャウジャいました。それこそウンザリするほどに。
それがこの記事とどう関係するのでしょうか。過去の話ですよね。
# D_Amonさん
> M69は油脂焼夷弾ですよ。図にもナパーム剤と書いてあるでしょうに。見て分からなかったのですか?構造設計の比較にこれらを持ち出したということは、つまりwiselerさんが何も分かっていないことの表明にしかなりません。
あの、私は焼夷弾の構造の説明のためにあの図を引用したのです。
> 例えば、下記URLですかね。
http://www10.ocn.ne.jp/~kuushuu/m308.html
「M47A2 100ポンド黄燐焼夷弾」となってますね。
これはM47A2の容器を利用した白燐弾なわけですが、「中小都市空襲」という本では同じものが白燐弾と訳されていますよ。
白燐弾報道を否定しているここでも紹介されているのが面白いですね。
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq08f02j.html
M47に関しては下記URLのPDFファイルがそれなりに詳しいです。
http://www.swf.usace.army.mil/pubdata/fuds/5points/documents/asr/appendixc.pdf
白燐を用いた「煙幕弾」(煙幕兼焼夷用)を日本では黄燐焼夷弾と呼んでいたわけです。私が引用した図解科学第21号の記述(wiselerさんは読んだ筈)で米軍のWP発煙弾を黄燐焼夷弾と呼んでいることからも分かっていただけるかなと思います。
米軍で白燐煙幕弾(WP Smoke)と呼ぶ兵器が日本で黄燐焼夷弾と呼ぶ兵器だったことが同じ兵器をさす複数の訳語がある原因の一つといったところです。
炸薬の爆発で燃える燐片をばらまく煙幕兼焼夷兵器にどう名づけたかというだけで、両者は同じものですよ。
そのM47A2やM47A4についての説明は読みましたが、それは明らかに焼夷弾の設計に白燐を用いた兵器ですよね。D_Amonさんが白燐弾=黄燐焼夷弾と呼ばれる理由は分かりました (私も訳語に関しての認識を改めました、ご提示ありがとうございます)。しかし、そのような兵器はそもそも1980年のジュネーブ条約締結前のものではないでしょうか? 今回問題となっている白燐弾はイスラエルが使用しているもの (確かM825A1) で、この白燐弾の構造が焼夷弾と同じ=焼夷弾に該当するので国際法違反という主張の根拠を構成するものではありません。
> こういうことは米軍がどういう装備をしていて、それらをどう呼んでいて、資料や書籍が日本語に訳される際にどういう訳語が使われてきたか原文と和訳の比較で知っていれば同じものをさす別の言葉と分かるのですが、とりあえず、米軍の装備を見てwiselerさんが考える黄燐焼夷弾に相当するものを米軍が装備していたか調べられる資料を提示してみますね。納得いかないなら調べてみてください。
米軍の過去からの弾薬はこのページから調べられます。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/index.html
今回は砲弾などの弾薬が対象になるのでこのページから調べます。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/ammo.htm
砲撃に使う砲弾でしたら、Artillery Projectilesのところの、例えば下記URLの155mm砲弾(榴弾含む)のところとかから、WPの焼夷弾を見つけられたらwiseler氏の推測した意見が正しいことになります。口径は例として示しただけですから、もちろん別の砲弾(榴弾含む)から探してもらって構いません。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/155.htm
大した手間ではないのでwiseler氏の考えるところの黄燐焼夷弾が見つかるか探してみてください。
逆に見つからなければwiseler氏の推測した意見は正しくないということになります。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/m416.htm
M416のような煙幕兼焼夷用とかしか見つからない場合、WP Bomb=白燐弾=黄燐弾で「煙幕弾」という名前でも煙幕と焼夷の両用兵器であり、訳語が黄燐焼夷弾になることもあるということを認めていただければなと思います。
たぶんD_Amonさんは私の主張を勘違いされていると思うのですが、私が述べたいのはそのサイトで言えばhttp://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/wp.htmにあるWhite Phosphorus (WP) - IncendiaryとWhite Phosphorus (WP) - Smokeの違いです。M74やM47A2が黄燐を使用していて、かつ発煙効果がないと思っているので私の想定している黄燐焼夷弾にあたります。http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/dumb.htmには両方とも掲載されているもののサブページがないため専門的な解説はわかりませんでした。しかし私が調べた限りで発煙効果はないようです。どちらにせよ、私の認識が誤っていて発煙効果もあったとしても上で述べたとおりイスラエルが使用している白燐弾とは別の話です。
> 実態として煙幕と焼夷の両用である白燐弾を「煙幕弾であり焼夷効果は付随的なものだから条約上の焼夷兵器ではない」と白々しい言い訳をしているのが問題なんですけどね。
で、そういう白々しい言い訳を条約の抜け道として認めてしまうと焼夷兵器禁止条約が形骸化してしまうわけで、そうなる方がよっぽど望ましくないことだと私は思いますよ。
言い訳ではなく法律の話なのですが。D_Amonさんがこういう形での法律の規定を否定されているのはけっこうなのですが、現実の軍隊はこの法律に併せて白燐弾を使用するかどうか決めているわけです。それを認めなくて、どうやって白燐弾の使用の是非を問うことが出来ますか? 例えば、旧型のクラスター爆弾の規制が決まったときに、賛否両論があったにせよ各国の軍隊はきちんと対応しましたよね。いったいどこに形骸化の危険性があるのか、私には分かりません。そのための国際法ではないかと思います。
為念 2009/01/18 08:32 >現実の軍隊はこの法律に併せて白燐弾を使用するかどうか決めているわけです。それを認めなくて、どうやって白燐弾の使用の是非を問うことが出来ますか?
でしたら、どうしてイスラエル軍はわざわざUNRWAの施設に白燐弾を撃ち込んだんでしょうか? それも、いったん撃たれて国連側が抗議してから再度撃ち込む、というやり方だったそうですが。
「煙幕として使用するものであって、焼夷兵器としては使わない」という認識があるのなら、こんな使い方はしないはずですよね。国連施設、すなわち武装勢力の拠点ではない場所に対して、煙幕を張る/煙でマーキングする必然性は生じないと思うのですが。国連側が抗議してからの砲撃で、まさか「弾を間違えて撃った」わけもないでしょうし。
>いったいどこに形骸化の危険性があるのか、私には分かりません。
つまるところ、イスラエル軍自体が形骸化させているのではありませんか?
<以下は引用>
http://mainichi.jp/select/world/news/20090117ddm007030040000c.html
>UNRWAガザ事務所のジョン・ギング所長は15日、現地からのビデオ会見で、同日のUNRWA施設砲撃に「イスラエル軍が白リン弾を使用したようだ」と語った。
>ギング所長によると、砲撃は14日夜から15日まで続き、数百トン分の食料や医薬品など人道支援物資が焼けた。燃料運搬トラック5台も炎上したが、白リン弾攻撃によるものだったと見られる。ギング所長は「においや炎上の様子は白リン弾だった」と語った。
D_Amon 2009/01/18 10:45 >あの、私は焼夷弾の構造の説明のためにあの図を引用したのです。
そういう白々しい言い訳はwiselerさんの知的誠実さを疑わせるのに十分ですね。
>見ての通り、例え使用している成分が同じく白燐(黄燐)であったとしても、構造設計からして異なる別の兵器です。
というようにwiselerさんは使用している成分が異なる別種の焼夷弾を持ち出して「例え使用している成分が同じく白燐(黄燐)であったとしても」と述べたんですよ。
>M74やM47A2が黄燐を使用していて、かつ発煙効果がないと思っているので私の想定している黄燐焼夷弾にあたります
https://www.afresearch.org/skins/rims/q_mod_be0e99f3-fc56-4ccb-8dfe-670c0822a153/q_act_downloadpaper/q_obj_d1d4440f-f20b-4d42-ab89-8551f8df4a38/display.aspx?rs=enginespage
で見れるPDFファイルを見てみてください。
米軍がM47A2の白燐充填型をマーキングのための発煙弾として利用していますよ。これがどういう兵器について扱ったレポートかもタイトルを見れば分かりますね。
M74はナパーム・黄燐の混載型で、ここで扱っているような黄燐焼夷弾とは別物です。
で、wiselerさんがそう考えるところの黄燐焼夷弾の砲弾は見つかったんですか?wiselerさんの「戦争における「人殺し」の心理学」の解釈的には存在する筈ですけど。
(ちなみに殺傷兵器として使われることもあるM34白燐手榴弾にしてもWP Smoke)
>しかし私が調べた限りで発煙効果はないようです。どちらにせよ、私の認識が誤っていて発煙効果もあったとしても上で述べたとおりイスラエルが使用している白燐弾とは別の話です。
とのことですが、どこを調べたら「発煙効果はない」と書いてあったのか後学のために教えてください。
別の話ではないことはカナダ軍が白燐弾を焼夷兵器として使用した報道からも分かると思います。
http://www.janes.com/extracts/extract/jah/jah_0461.html
のJane'sの情報によればM825A1は5.78Kgの白燐を116個に分割してばらまきます。
5780/116の値はおよそ50g。50gの燐片は比重1.82からの単純計算で約27立方センチメートル。つまり、一辺3センチの立方体の燐の塊に相当するわけで、これは図解科学で例示されている燐片の大きさとほぼ同じです。つまり、低高度で爆発するように撃てば焼夷兵器としての効果を発揮するのに十分な大きさですよ。実際に米軍自体がイラクで白燐弾を焼夷兵器として使用したことを認めているではないですか。
>いったいどこに形骸化の危険性があるのか、私には分かりません。そのための国際法ではないかと思います。
http://www.mainichi.jp/select/world/news/20090117k0000m030067000c.html
http://www.asahi.com/international/update/0115/TKY200901150241.html
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200901150022.html
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00147633.html
http://news.tbs.co.jp/20090116/newseye/tbs_newseye4039570.html
とかで報道されていますが国連の物資や車両が白燐弾によるものと思われる攻撃で焼き払われていますね。
事実なら、これは使用された白燐弾に十分な着火能力があることの証明というものでしょう。
wiselerさんにしてみれば「毎日」とかの報道は信用できないかもしれませんが。
「焼夷効果は付随的なもので条約上の焼夷兵器にはあたらない」という白々しい言い訳を認めてしまうと、こういう風に「焼夷効果が付随的な焼夷兵器」を焼夷兵器禁止条約違反に問えなくなってしまいます。
それが形骸化でなければ何なのですか。
wiseler 2009/01/18 12:38 お二人ともコメントありがとうございます。多少寝坊してしまいました。
# 為念さん
> でしたら、どうしてイスラエル軍はわざわざUNRWAの施設に白燐弾を撃ち込んだんでしょうか? それも、いったん撃たれて国連側が抗議してから再度撃ち込む、というやり方だったそうですが。
「煙幕として使用するものであって、焼夷兵器としては使わない」という認識があるのなら、こんな使い方はしないはずですよね。国連施設、すなわち武装勢力の拠点ではない場所に対して、煙幕を張る/煙でマーキングする必然性は生じないと思うのですが。国連側が抗議してからの砲撃で、まさか「弾を間違えて撃った」わけもないでしょうし。
そんなイスラエル軍の事情を私に聞かれましても。報道官にでも聞いてみればいいじゃないですか。今回の白燐弾の件と関係あるとは思えません。イスラエルの使用状況と白燐弾の使用の是非は切り離してください。実例としてあげるのはいいですが、混同されては困ります。
> つまるところ、イスラエル軍自体が形骸化させているのではありませんか?
現時点で白燐弾の使用は合法です。もちろん、一般人に向けて撃てば違法です。形骸化などされていませんよ。
# D_Amonさん
> そういう白々しい言い訳はwiselerさんの知的誠実さを疑わせるのに十分ですね。
どうぞ疑ってください。私はそんなものを発現するつもりはありませんし、要求しているわけでもないです。
> というようにwiselerさんは使用している成分が異なる別種の焼夷弾を持ち出して「例え使用している成分が同じく白燐(黄燐)であったとしても」と述べたんですよ。
"例え"と修飾しているのが目に入らないのでしょうか。焼夷弾は図の様な構造をしているので、白燐 (黄燐) を用いた黄燐焼夷弾の場合でも、イスラエルの使用している白燐弾とは構造が根本的に違うということです。
> https://www.afresearch.org/skins/rims/q_mod_be0e99f3-fc56-4ccb-8dfe-670c0822a153/q_act_downloadpaper/q_obj_d1d4440f-f20b-4d42-ab89-8551f8df4a38/display.aspx?rs=enginespage
で見れるPDFファイルを見てみてください。
米軍がM47A2の白燐充填型をマーキングのための発煙弾として利用していますよ。これがどういう兵器について扱ったレポートかもタイトルを見れば分かりますね。
M74はナパーム・黄燐の混載型で、ここで扱っているような黄燐焼夷弾とは別物です。
で、wiselerさんがそう考えるところの黄燐焼夷弾の砲弾は見つかったんですか?wiselerさんの「戦争における「人殺し」の心理学」の解釈的には存在する筈ですけど。
(ちなみに殺傷兵器として使われることもあるM34白燐手榴弾にしてもWP Smoke)
それは失礼しました。資料のご提示ありがとうございます。M47A2は発煙目的と焼夷効果の両方ですね。ところで、なぜM74は別物なのですか? 上に書いたとおり私の想定する黄燐焼夷弾はまさにM74のことです。このM74とイスラエルの使用している白燐弾は明らかに異なりますよね。
> とのことですが、どこを調べたら「発煙効果はない」と書いてあったのか後学のために教えてください。
別の話ではないことはカナダ軍が白燐弾を焼夷兵器として使用した報道からも分かると思います。
http://www.janes.com/extracts/extract/jah/jah_0461.html
のJane'sの情報によればM825A1は5.78Kgの白燐を116個に分割してばらまきます。
5780/116の値はおよそ50g。50gの燐片は比重1.82からの単純計算で約27立方センチメートル。つまり、一辺3センチの立方体の燐の塊に相当するわけで、これは図解科学で例示されている燐片の大きさとほぼ同じです。つまり、低高度で爆発するように撃てば焼夷兵器としての効果を発揮するのに十分な大きさですよ。実際に米軍自体がイラクで白燐弾を焼夷兵器として使用したことを認めているではないですか。
私が書いたのは「調べた限り〜ない」です。発煙効果がないという記述を見つけたのではなく、色々と調べても発煙効果らしきものが見つからなかったので、M47A2とM74の二つが発煙目的には使用されていない黄燐焼夷弾なのではないかと思いました (一つは間違いでしたが)。またD_Amonさんはこちらの疑問に答えておりません。私はイスラエルの使用している白燐弾と、黄燐焼夷弾あるいは煙幕兼焼夷白燐弾 (D_Amonさんにご提示いただいたもの) の構造上の違いについて述べているのです。焼夷効果をもつかどうかは関係ありませんし、私は白燐弾全般の焼夷効果は否定していません。
> http://www.mainichi.jp/select/world/news/20090117k0000m030067000c.html
http://www.asahi.com/international/update/0115/TKY200901150241.html
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200901150022.html
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00147633.html
http://news.tbs.co.jp/20090116/newseye/tbs_newseye4039570.html
とかで報道されていますが国連の物資や車両が白燐弾によるものと思われる攻撃で焼き払われていますね。
事実なら、これは使用された白燐弾に十分な着火能力があることの証明というものでしょう。
wiselerさんにしてみれば「毎日」とかの報道は信用できないかもしれませんが。
「焼夷効果は付随的なもので条約上の焼夷兵器にはあたらない」という白々しい言い訳を認めてしまうと、こういう風に「焼夷効果が付随的な焼夷兵器」を焼夷兵器禁止条約違反に問えなくなってしまいます。
それが形骸化でなければ何なのですか。
毎日新聞も軍事報道以外ではまあまあ信用に値しますし、最近は軍事報道もましになってきています (用語の説明以外はですが)。むしろ今回は、私の愛読するThe Timesが誤解を広めていることにがっかりしました。それはともかく、ずっと私が主張している通り「焼夷効果が付随的な焼夷兵器」は焼夷兵器禁止条約には違反しません。形骸化ではなく、適法です。D_Amonさんがイスラエルの使用している白燐弾は焼夷兵器の禁止に該当していると主張されたい場合は、焼夷効果を主目的としている構造であることを説明していただく必要があります。
D_Amon 2009/01/18 14:01 >"例え"と修飾しているのが目に入らないのでしょうか。焼夷弾は図の様な構造をしているので、白燐 (黄燐) を用いた黄燐焼夷弾の場合でも、イスラエルの使用している白燐弾とは構造が根本的に違うということです。
普通に日本語の使い方として間違っていますよ。
油脂焼夷弾と黄燐焼夷弾という構造の違うものを例示してそういう風に言うのは。
黄燐焼夷弾の構造でしたら、
http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090111/p1
にも画像がありますよ。
中心部の棒状の炸薬で黄燐に着火してばら撒くもので白燐煙幕弾と同構造です。同じものだから当たり前ですけどね。
>上に書いたとおり私の想定する黄燐焼夷弾はまさにM74のことです。
少なくとも大戦時に使われたM74でしたら黄燐焼夷弾ではありませんね。あれはナパーム剤に黄燐を添加して火が消えにくくしたものを焼夷剤に使っているものです。収束焼夷弾の子弾であって、砲弾でもありません。
で、wiselerさんがそう考えるところの黄燐焼夷弾の砲弾は見つかったんですか?
>私が書いたのは「調べた限り〜ない」です。発煙効果がないという記述を見つけたのではなく、色々と調べても発煙効果らしきものが見つからなかったので
なら「私が調べた限りで発煙効果はないようです」は日本語として不適切ですね。
>またD_Amonさんはこちらの疑問に答えておりません。私はイスラエルの使用している白燐弾と、黄燐焼夷弾あるいは煙幕兼焼夷白燐弾 (D_Amonさんにご提示いただいたもの) の構造上の違いについて述べているのです
なら、上に出した
http://f.hatena.ne.jp/D_Amon/20090111002413
の画像で解決ですね。中心部に配置した棒状の炸薬で黄燐に着火してばら撒くという点で同構造ですよ。
足りないなら図解科学から構造画像(二種類)と爆発の様子の写真を挙げて記事にでもした方が良いですかね。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/whitephosphorus.htm
の記事の黄燐弾もほぼ同構造で、発煙弾でありつつ「焼夷効果により、敵の補給物資集積場などを炎上させる」という解説がついてますよ。
>「焼夷効果が付随的な焼夷兵器」は焼夷兵器禁止条約には違反しません
だとすれば、どんなに焼夷効果の高い兵器でも説明文を「焼夷効果は付随的」としてしまえば「条約上の焼夷兵器ではない」としてしまえるわけで条約の「抜け道」の完成です。
>焼夷効果を主目的としている構造であることを説明していただく必要があります
両用兵器である説明は既に記事の方でしたのですけど。
為念 2009/01/18 23:15 >イスラエルの使用状況と白燐弾の使用の是非は切り離してください。実例としてあげるのはいいですが、混同されては困ります。
どうして切り離す必要があるんですか? そもそも貴方は、「イスラエル軍が現在のガザ空爆に際して白燐弾を使用していること」は「国際法上、問題ない」と弁護する為に、上記の理屈を捻り出してたんじゃなかったんですか?
>現時点で白燐弾の使用は合法です。
とイスラエル軍は主張してますし、実際に白燐弾を名指しで「使ってはいけない」と指定する条項が現時点で存在しないことは事実です。けれど、イスラエル軍が「発煙目的ではなく、焼夷効果を狙って」使用した、と思しき状況証拠が出てきているし、だとすると明らかに使い方が逸脱してるでしょ? という事例が出てきてるわけですよね。
貴方はイスラエル側を擁護するために「白燐弾は違法ではない」という理屈を捻り出してるように見えますけど、当のイスラエル軍が「国際法上、問題あり」と見なされるような使い方を実際にしてるわけです。それがどういう結論を導き出すことになるか、まさかいまさらカマトトを決め込むつもりですか?
Apeman 2009/01/19 10:30 ほかの場所でのことをひきあいに出して恐縮ですが、wiselerさんは
http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20090115/p1#c
で
>そのような飛躍的な解釈を軍事に関わる法律にしてしまうと、それを逆手にとって禁止項目を破る輩がでてきてしまうので、法律には直接的に書いてあるのです。
と書いておられます。「飛躍的」かどうかをさしあたり脇においたとして、「逆手にとって禁止項目を破る輩」とは具体的にどのようなケースを想定できるのか、とお尋ねしたのですが、お目にとまらなかったようです。これは法解釈の根拠に関わる問題なので、改めてお尋ねします。
wiseler 2009/01/19 17:58 みなさまコメントありがとうございます。
# D_Amonさん
> 普通に日本語の使い方として間違っていますよ。
油脂焼夷弾と黄燐焼夷弾という構造の違うものを例示してそういう風に言うのは。
黄燐焼夷弾の構造でしたら、
http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090111/p1
にも画像がありますよ。
中心部の棒状の炸薬で黄燐に着火してばら撒くもので白燐煙幕弾と同構造です。同じものだから当たり前ですけどね。
それはD_Amonさんの受け取り方で、私は構造が同じものだと思ったのです。
そのページの画像とはhttp://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/D/D_Amon/20090111/20090111002413.pngの事でしょうか? この画像の構造と、M825A1の様な兵器の構造http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m825a1_usafas.jpgが同じとは到底思えませんが。そして、上で私が示した画像であるhttp://www.n-buturi.co.jp/service/burying/dangerous/M691.jpgの方がより構造的に近いように思えます。何がどう同じなのかご説明をお願いします。繰り返しになりますが私は当たり前と思っていません。「中心部の棒状の炸薬で黄燐に着火してばら撒くもの」という説明であれば、黄燐 (白燐) を使用した兵器のほとんどに該当しそうです。
> 少なくとも大戦時に使われたM74でしたら黄燐焼夷弾ではありませんね。あれはナパーム剤に黄燐を添加して火が消えにくくしたものを焼夷剤に使っているものです。収束焼夷弾の子弾であって、砲弾でもありません。
で、wiselerさんがそう考えるところの黄燐焼夷弾の砲弾は見つかったんですか?
どうして私の主張を勝手に変えるのですか。何回も書きましたが、私の考える黄燐焼夷弾はまさにM74です。焼夷弾が砲弾で無ければいけないとは初耳です。
> なら「私が調べた限りで発煙効果はないようです」は日本語として不適切ですね。
なぜD_Amonさんに私の使いたい表現を限定されなければいけないのですか? 何を基準にして不適切なのでしょうか。伝統的な使い方で言えば、D_Amonさんの「普通に日本語の使い方として間違っていますよ。」という表現も不適切です。私がその表現を使った理由も上のコメントで説明しました。
> なら、上に出した
http://f.hatena.ne.jp/D_Amon/20090111002413
の画像で解決ですね。中心部に配置した棒状の炸薬で黄燐に着火してばら撒くという点で同構造ですよ。
足りないなら図解科学から構造画像(二種類)と爆発の様子の写真を挙げて記事にでもした方が良いですかね。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/whitephosphorus.htm
の記事の黄燐弾もほぼ同構造で、発煙弾でありつつ「焼夷効果により、敵の補給物資集積場などを炎上させる」という解説がついてますよ。
M110の話はしていません。イスラエルの白燐弾の話をしています。
> だとすれば、どんなに焼夷効果の高い兵器でも説明文を「焼夷効果は付随的」としてしまえば「条約上の焼夷兵器ではない」としてしまえるわけで条約の「抜け道」の完成です。
条約には「目標に投射された物質の化学反応によって生ずる火炎、熱又はこれらの複合作用により、物に火炎を生じさせ又は人に火傷を負わせることを第一義的な目的として設計された武器又は弾薬類をいう。」と書いてあります。設計が焼夷弾であれば、そのように説明したところで条約違反です。現にそうなっておりません。
> 両用兵器である説明は既に記事の方でしたのですけど。
それでは焼夷効果を主目的として設計されているかどうかの理由付けにはならないということを、説明してきたはずです。
# 為念さん
> どうして切り離す必要があるんですか? そもそも貴方は、「イスラエル軍が現在のガザ空爆に際して白燐弾を使用していること」は「国際法上、問題ない」と弁護する為に、上記の理屈を捻り出してたんじゃなかったんですか?
私がそんなことを主張した事実はないのですが。そのように混同しないために切り離してくださいとお願いしているのです。
> とイスラエル軍は主張してますし、実際に白燐弾を名指しで「使ってはいけない」と指定する条項が現時点で存在しないことは事実です。けれど、イスラエル軍が「発煙目的ではなく、焼夷効果を狙って」使用した、と思しき状況証拠が出てきているし、だとすると明らかに使い方が逸脱してるでしょ? という事例が出てきてるわけですよね。
ですから使い方の話はしていません。
> 貴方はイスラエル側を擁護するために「白燐弾は違法ではない」という理屈を捻り出してるように見えますけど、当のイスラエル軍が「国際法上、問題あり」と見なされるような使い方を実際にしてるわけです。それがどういう結論を導き出すことになるか、まさかいまさらカマトトを決め込むつもりですか?
デマを訂正するとイスラエル側ですか。それでは白燐弾は違法だというデマを流せばハマス側ですね。すばらしい二分法だ。結論も何も、間違った材料の上に正しい結論は産まれませんよ。
# Apemanさん
> ほかの場所でのことをひきあいに出して恐縮ですが、wiselerさんは
http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20090115/p1#c
で
>>そのような飛躍的な解釈を軍事に関わる法律にしてしまうと、それを逆手にとって禁止項目を破る輩がでてきてしまうので、法律には直接的に書いてあるのです。
> と書いておられます。「飛躍的」かどうかをさしあたり脇においたとして、「逆手にとって禁止項目を破る輩」とは具体的にどのようなケースを想定できるのか、とお尋ねしたのですが、お目にとまらなかったようです。これは法解釈の根拠に関わる問題なので、改めてお尋ねします。
質問の答えになるかどうか分かりませんが、「具体的」には想定できません。そもそもこの法律がそのように規定されているのに、いくら似た様な事例を持ち出してもそれは現実とは関係ない話になってしまいますから。まあ例えば、定義にある
(ii) 貫通、爆風又は破片による効果と付加的な焼夷効果とが複合するように設計された弾薬類。例えば、徹甲弾、破片弾、炸薬爆弾{炸=さくとルビ}その他これらと同様の複合的効果を有する弾薬類であって、焼夷効果により人に火傷を負わせることを特に目的としておらず、装甲車両、航空機、構築物その他の施設のような軍事目的に対して使用されるもの
という文言を利用して、軍事目的にたいして使用できる殺傷兵器を開発すればまた別のタイプの焼夷弾が作成できるように思えます。現実には出来ません。
もちろんApemanさんの様なお考えは至極当然ですし、私も直接的だから良いなどとは考えていません。
D_Amon 2009/01/19 23:34 >それはD_Amonさんの受け取り方で、私は構造が同じものだと思ったのです。
つまり無根拠な思い込みを前提に発言したわけですね。
>M691.jpgの方がより構造的に近いように思えます。
どこがどう似ているのですか?
M69は収束焼夷弾の子弾でケース形状が収納に適した六角柱な上に、内容物を炸薬で吹き飛ばすような構造ではありません。ケースの構造はさておいても全然別物ですよ。
>私の考える黄燐焼夷弾はまさにM74です
それは「少なくとも大戦時に使われたM74でしたら黄燐焼夷弾ではありませんね。あれはナパーム剤に黄燐を添加して火が消えにくくしたものを焼夷剤に使っているものです」に対する応答にはなっていませんね。M74はナパーム黄燐の混載で黄燐焼夷弾ではありません。
>「中心部の棒状の炸薬で黄燐に着火してばら撒くもの」という説明であれば、黄燐 (白燐) を使用した兵器のほとんどに該当しそうです
そんなことないですね。例えば照明弾や信号弾はその求められる機能上当然ですが、そういう構造はしていません。
ゆえに、
>何がどう同じなのかご説明をお願いします
黄燐焼夷弾は弾殻内の黄燐を炸薬で着火しつつ破片をばら撒く兵器。白燐弾も弾殻内の黄燐を炸薬で着火しつつ破片をばら撒く兵器。両方とも火のついた同素材のものを同様にばらまくわけで機能的な違いなどありませんね。
というか、同じものであることは引用した資料でWP発煙弾を黄燐焼夷弾と呼んでいる時点で確定でいいと思うんですけどね。
>焼夷弾が砲弾で無ければいけないとは初耳です。
もちろん砲弾には限りませんよ。しかし、「戦争における「人殺し」の心理学」での黄燐焼夷弾は砲弾でwiselerさんは、それを白燐弾とは別物と考えたのでしょう。ならば、wiselerさんが考えるところの黄燐焼夷弾の砲弾が存在するということでしょうに。私はその主張の根拠を求めているだけです。そういえば、この本の記述に関するwiselerさんの意見の変わりようはひどいものですね。
>なぜD_Amonさんに私の使いたい表現を限定されなければいけないのですか? 何を基準にして不適切なのでしょうか。
「私が調べた限りで発煙効果はないようです。どちらにせよ、私の認識が誤っていて発煙効果もあったとしても」の「発煙効果がない」は前後のつながりから明確に発煙効果を否定していますね。調べて分からなかったのなら、適切には分からないと書くべきです。それなのにwiselerさんは「色々と調べても発煙効果らしきものが見つからなかったので、M47A2とM74の二つが発煙目的には使用されていない黄燐焼夷弾なのではないかと思いました」と発言したわけです。またしても、思い込みを事実として語っているわけですね。
>M110の話はしていません。イスラエルの白燐弾の話をしています。
おやおや、この件に関しては白燐弾と黄燐焼夷弾の構造の違いの話だった筈ですけどね。件の私の発言は構造の違いの説明を求められたことに対する返事ですよ。
>設計が焼夷弾であれば、そのように説明したところで条約違反です。現にそうなっておりません。
低高度で爆発させれば地上に十分強力な焼夷剤をばら撒く白燐弾は歴史的に煙幕兼焼夷兵器で、そういう兵器を市街地で使っているからCNNのようなアメリカの保守系報道メディアでも1980年ジュネーブ条約違反を取りざたされるのでしょうが。そういう意味では現にアメリカでもイギリスでもフランスでも焼夷兵器として問題になっていますね。
>それでは焼夷効果を主目的として設計されているかどうかの理由付けにはならないということを、説明してきたはずです。
なら、設計者が「焼夷効果を主目的として設計していない」と言うことで「抜け道」完成ですね。意図的「設計ミス」でいくらでも誤魔化しがきいてしまいますよ。
Apeman 2009/01/20 00:13 お返事ありがとうございます。
まず確認しておきたいのですが、特定通常兵器使用禁止制限条約の議定書IIIは白燐弾を名指しで「合法」としているわけではありませんよね? そして「物に火炎を生じさせ又は人に火傷を負わせることを第一義的な目的として設計された武器又は弾薬類」とか「「焼夷効果が付随的である弾薬類」という概念の外延は必ずしも自明のものではなく、「解釈」の余地のあるものだということはご同意いただけますでしょうか?
wiseler 2009/01/20 12:11 お二人ともコメントありがとうございます。
# D_Amonさん
> つまり無根拠な思い込みを前提に発言したわけですね。
根拠はいままで散々書いてきたのですが。それで、M825A1とその他の兵器の構造が同じであるという根拠はどちらにありますか?
> どこがどう似ているのですか?
M69は収束焼夷弾の子弾でケース形状が収納に適した六角柱な上に、内容物を炸薬で吹き飛ばすような構造ではありません。ケースの構造はさておいても全然別物ですよ。
M69のほうがまだ似ている、ということです。少なくとも、D_Amonさんのご提示された焼夷弾とM825A1の構造は別物です。
> それは「少なくとも大戦時に使われたM74でしたら黄燐焼夷弾ではありませんね。あれはナパーム剤に黄燐を添加して火が消えにくくしたものを焼夷剤に使っているものです」に対する応答にはなっていませんね。M74はナパーム黄燐の混載で黄燐焼夷弾ではありません。
ではD_Amonさんの考える黄燐焼夷弾は何のことでしょうか? 具体的なご提示をお願いします。ナパームと黄燐の混載であっても私の考える黄燐焼夷弾には十分です。
> そんなことないですね。例えば照明弾や信号弾はその求められる機能上当然ですが、そういう構造はしていません。
ですから、それと同じことがM825A1にも言えるのですよ。
> 黄燐焼夷弾は弾殻内の黄燐を炸薬で着火しつつ破片をばら撒く兵器。白燐弾も弾殻内の黄燐を炸薬で着火しつつ破片をばら撒く兵器。両方とも火のついた同素材のものを同様にばらまくわけで機能的な違いなどありませんね。
というか、同じものであることは引用した資料でWP発煙弾を黄燐焼夷弾と呼んでいる時点で確定でいいと思うんですけどね。
D_Amonさんは確定にしたいのですね。私がこれだけ根拠を元に説明しているのに。呼称の同一性がD_Amonさんの主張の根拠とならないことはもう説明しました。もう一度整理して書きます。M825A1 (議定書以後に開発) はD_Amonさんのご提示された資料では言及されておらず、それ以前のものと設計構造からして異なります。
> もちろん砲弾には限りませんよ。しかし、「戦争における「人殺し」の心理学」での黄燐焼夷弾は砲弾でwiselerさんは、それを白燐弾とは別物と考えたのでしょう。ならば、wiselerさんが考えるところの黄燐焼夷弾の砲弾が存在するということでしょうに。私はその主張の根拠を求めているだけです。そういえば、この本の記述に関するwiselerさんの意見の変わりようはひどいものですね。
何を言っているのですか。ずっとM825A1の話をしているから『戦争における「人殺し」の心理学』の白燐弾は違うのですと申し上げているのです。その記述のさしている砲弾がM825A1であるという証拠はありますか? 私の意見はずっと一貫していますよ。私の主張がさも変わったかのようにコメントするD_Amonさんにはびっくりです。変わったとおっしゃるのでしたら、私の該当箇所の発言の引用をお願いします。
> おやおや、この件に関しては白燐弾と黄燐焼夷弾の構造の違いの話だった筈ですけどね。件の私の発言は構造の違いの説明を求められたことに対する返事ですよ。
わざわざ断定を避けたのですが。そのようにお答えするということは、つまりD_AmonさんはM110がM825A1とほぼ同じ構造だとお考えなのですか? それは誤りです。どうみたら、
-http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m825a1_usafas.jpg (M825A1)
-http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/images/wp.gif (M110)
この二つがほぼ同じ構造に見えるのでしょうか? しかも、この二つはM825A1が空中で炸裂させるもので、M110が地表で炸裂させるものです。まったくの別物で構造の違いの説明になっていません。再度ご説明をお願いします。
> 低高度で爆発させれば地上に十分強力な焼夷剤をばら撒く白燐弾は歴史的に煙幕兼焼夷兵器で、そういう兵器を市街地で使っているからCNNのようなアメリカの保守系報道メディアでも1980年ジュネーブ条約違反を取りざたされるのでしょうが。そういう意味では現にアメリカでもイギリスでもフランスでも焼夷兵器として問題になっていますね。
メディアが取り上げれば焼夷兵器として問題ですか。M825A1のような白燐弾がジュネーブ条約違反ではなく、いくつかのメディアが誤っていることはこれまで説明してきたとおりです。どこか条約違反なのですか?
> なら、設計者が「焼夷効果を主目的として設計していない」と言うことで「抜け道」完成ですね。意図的「設計ミス」でいくらでも誤魔化しがきいてしまいますよ。
完成しません。設計者が設計していないと主張したところで、他の人が設計図をみればわかります。上のM825A1が焼夷弾にみえないように。設計ミスで焼夷弾を設計してしまえば条約違反がすぐに発覚しますね。
# Apemanさん
> お返事ありがとうございます。
まず確認しておきたいのですが、特定通常兵器使用禁止制限条約の議定書IIIは白燐弾を名指しで「合法」としているわけではありませんよね? そして「物に火炎を生じさせ又は人に火傷を負わせることを第一義的な目的として設計された武器又は弾薬類」とか「「焼夷効果が付随的である弾薬類」という概念の外延は必ずしも自明のものではなく、「解釈」の余地のあるものだということはご同意いただけますでしょうか?
前者には同意しますが、後者には同意しかねます。
今現在で外延は必ずしも自明ではないです。しかしこの議定書が出された段階では、M825A1のような兵器は存在しませんから、「第一義的」という外延にはそれまでの焼夷弾とさしてかわらないような兵器がすべて含まれることを想定していると考えられます。ある意味、議定書の策定された時点では自明であると言うことが出来ます。その後設計された兵器が議定書の定義にどうあたるかどうかは文字上では「解釈」にあたります。が、「物に火炎を生じさせ又は人に火傷を負わせることを第一義的な目的として設計された」かどうかは、設計をみればいいというのですから、実物をもって判断できる以上、「解釈」にはあたらないと考えています。もしも精巧に設計され、一見して焼夷効果を第一義的とする兵器かどうかわからないものがあった場合にせよ、実際に射撃して使用すればその効果はすぐにわかることです。
D_Amon 2009/01/20 16:13 >根拠はいままで散々書いてきたのですが。
どこにですか?過去の自らの発言の中から具体的に指摘してみせてください。
>M69のほうがまだ似ている、ということです。
だから、どこが似ているか具体的に指摘してみせてください。
>D_Amonさんのご提示された焼夷弾とM825A1の構造は別物です。
中心部に棒状に配置された炸薬で白燐の破片をばらまく構造は少なくともM68より遥かに類似している点ですね。
アルミ製セパレータ区切られている点とか構造面での進歩が見られますが、燃える白燐の破片をばらまくという機能は変わらないでしょう。
>ではD_Amonさんの考える黄燐焼夷弾は何のことでしょうか? 具体的なご提示をお願いします。
図解科学に出ているような燃える黄燐の破片をばらまく兵器ですね。
>ナパームと黄燐の混載であっても私の考える黄燐焼夷弾には十分です。
従来の油脂焼夷弾に黄燐を入れて改良したのでも黄燐焼夷弾なら戦後型ナパーム弾の多数も黄燐焼夷弾になってしまいますね。びっくりするような新解釈です。
>ですから、それと同じことがM825A1にも言えるのですよ。
言えないでしょ。同じように中心部に棒状に炸薬が配置されているのですから。
照明弾や信号弾は「「中心部の棒状の炸薬で黄燐に着火してばら撒くもの」という説明であれば、黄燐 (白燐) を使用した兵器のほとんどに該当しそうです」の反例で、wiselerさんの発言は間違いだった根拠になります。
>D_Amonさんは確定にしたいのですね。私がこれだけ根拠を元に説明しているのに。
wiselerさんの言葉は、具体的な説明は皆無に近い「自分はこう思う」的なものばかりでしょうに。
>M825A1 (議定書以後に開発) はD_Amonさんのご提示された資料では言及されておらず、それ以前のものと設計構造からして異なります。
信管・弾殻・中心部の棒状炸薬・充填された白燐とM110とも共通する基本的な白燐弾の構造でしょうに。
>何を言っているのですか。ずっとM825A1の話をしているから『戦争における「人殺し」の心理学』の白燐弾は違うのですと申し上げているのです。その記述のさしている砲弾がM825A1であるという証拠はありますか? 私の意見はずっと一貫していますよ。
黄燐焼夷弾の対人使用ははジュネーブ条約違反という記述に対し、最初は著者の経歴的能力を否定し、否定が覆される度に別の理由を持ち出し、次に黄燐焼夷弾と白燐弾は同じものではないという推測を持ち出し、今度は「ずっとM825A1の話」ですか。これで「私の意見はずっと一貫していますよ」ですか。ここのコメント欄にwiselerさんの意見がその場しのぎにどんどん変わっていっている履歴が残っていますね。
>M110がM825A1とほぼ同じ構造だとお考えなのですか? それは誤りです。
M825A1はアルミ製セパレータが追加されているのでWPの破片を粒揃いにばら撒くでしょうね。
それは部分改良であって、燃える白燐の破片をばらまくという機能面に違いはありません。
アルミ製セパレータで白燐が区切られているため粒揃いの破片をばら撒けるという改良点以外は基本構造は同じですよ。誤りというなら、アルミ製セパレータで白燐の破片のサイズを揃えている以外に機能に変化があるような構造的な相違点を具体的に指摘して見せてください。
>しかも、この二つはM825A1が空中で炸裂させるもので、M110が地表で炸裂させるものです。
それは砲弾の構造的に信管の選択で変わるもので実質的違いではありませんよ。
>いくつかのメディアが誤っていることはこれまで説明してきたとおりです。どこか条約違反なのですか?
例えば、ベトナム戦争を体験したアメリカの場合、年配の従軍経験者にとって白燐弾が煙幕兼焼夷兵器なことは常識なわけです。当然、そういう人々にとっては、その市街での使用が現代では焼夷兵器禁止条約に抵触することも常識的見解となるわけです。
wiselerさんが、そういう常識的見解に対し「間違っている」と思うのは自由ですが、「世界各国でなされている報道のほうが間違っていて、日本の自分たちの意見の方が正しいのだ」なんて考えは私には陰謀論的に思えますね。
>完成しません。設計者が設計していないと主張したところで、他の人が設計図をみればわかります。上のM825A1が焼夷弾にみえないように。設計ミスで焼夷弾を設計してしまえば条約違反がすぐに発覚しますね。
設計図を見れば、これがそれなりに大きな燃える白燐の破片をばら撒くもので、低高度で爆発するように使えばそれなりの焼夷効果を発揮するであろうことは一目瞭然というものなんですけど。市街地でのあのような用法が問題になるのも当然の構造というものです。