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死因究明制度:解剖医倍増、国に提言…法医学会

 死因究明制度の充実のため、日本法医学会(理事長・中園一郎長崎大教授)は20日、解剖医を倍増させることや全都道府県に「死因究明医療センター」を設置することなどを求める提言を公表した。厚生労働省や警察庁に要望する。

 提言では、警察が扱う異状死のうち、9割は警察官や立ち会いの医師が死体の表面検査だけで死因を決めていると指摘。ここに犯罪見逃しの危険があるとしている。一方、解剖医は全国で約120人しかおらず、裁判員制度が始まれば、法廷での証言機会などが増え、負担が重くなることも予想される。

 その上で、少なくとも120~150人の解剖医の増員▽国の予算で運営される死因究明医療センターを全国に設置--などを提言した。同センターは、異状死の死因を調べる最初の段階から法医学者ら専門医が関与し、解剖や薬毒物検査で死因を究明する役割を担う。

 死因究明制度をめぐっては、07年6月に起きた大相撲時津風部屋の力士急死事件で問題となり、警察庁は昨年1月、同学会に解剖体制の充実を要望していた。

 警察庁によると、07年の死体取扱件数は約15万体。解剖率は9.5%にとどまり、地域差も大きい。事件性は薄いが死因不明の遺体を行政解剖する監察医制度のある地域(東京23区と横浜、名古屋、大阪、神戸の4市)は高く、最高の神奈川県は28.1%で、最低の埼玉県は1.6%。

 同学会理事で福岡大医学部の久保真一教授は「日本中どこに住んでいても同じ制度を受けられる体制を作らなければいけない」と話した。【長野宏美】

毎日新聞 2009年1月20日 11時28分(最終更新 1月20日 11時50分)

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