名古屋市千種区の契約社員磯谷(いそがい)利恵さん(当時31歳)を拉致、殺害したとして強盗殺人罪などに問われた3被告の論告求刑が20日、名古屋地裁(近藤宏子裁判長)であった。
検察側は「社会全体を恐怖で震撼(しんかん)させた、人命を顧みない冷酷非道な犯行で、極刑をもって臨むほかない」と述べ、3被告にいずれも死刑を求刑した。2月2日に弁護側の最終弁論が行われて結審し、3月18日に判決が言い渡される。
死刑を求刑されたのは、住所不定、無職川岸健治(42)、愛知県豊明市、元新聞セールススタッフ神田司(37)、名古屋市東区、無職堀慶末(よしとも)(33)の3被告。弁護側は大筋で起訴事実を認めているが、「犯行は計画的ではない」などと主張している。検察側は論告で、「金もうけを目的としてインターネットの闇サイトを利用して集まった3被告が、殺害を認容する話し合いをして、計画を立て実行した」と主張。「恐怖と絶望の中で絶命した磯谷さんの無念の思いは言い尽くすことは出来ない」と述べた。論告に先だって磯谷さんの母・富美子さん(57)が「娘は何も聞いてもらえず殺されました。3被告には極刑を望みます」と意見陳述した。
論告によると、3被告は2007年8月24日深夜、同市千種区の路上で帰宅中の磯谷さんを車に拉致し、現金やカードを奪い、愛知県愛西市の駐車場で、ハンマーで何度も殴ったうえ絞殺。遺体を岐阜県瑞浪市の山林に遺棄した。25日午後、川岸被告が自首し、事件が発覚した。
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