ホームレス風の人が公園にいるので近づかないように--。県内のある小学校のホームページ上の不審者情報掲示板にこんな書き込みがされた。
市民から「ホームレスの人が危険であるような印象を与える差別的な表現」とクレームがつき、学校側は「不適切な表現だった」と掲示板を休止した。
経緯は、学校側が児童から「近くの公園でホームレス風の人を見かけた」と聞いたのが発端。普段、公園で生活している人はおらず、職員が確認に行った際も誰もいなかった。だが「4年前、同じ公園でベンチで寝ている人に児童がたたかれる事案もあり、子供の安全を優先して」掲載することにしたという。
学校は「子供に注意を呼びかける趣旨だったが、配慮が足りなかった」「『ホームレス=危険人物』というとらえ方を子供がするようになっても困る」と反省。表現の仕方などを見直して再開を検討している。
事件に巻き込まれてからでは遅い。不審者情報はいち早く知りたい。学校や保護者としてはそんな心境だろう。でも過剰反応は偏見や差別を助長する。できる限り事実確認したうえで冷静に情報提供しなければ、大人が子供に声もかけられないような息苦しい社会になってしまう。【岡田英】
毎日新聞 2009年1月20日 地方版