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【社説】

ガザ危機 恒久的な和平へ道探れ

2009年1月20日

 イスラエルがイスラム原理主義組織ハマスとの停戦を宣言し、ハマス側も一週間の停戦に入った。多数の市民が犠牲となる悲惨な戦闘はもうごめんだ。恒久和平への方策を国際社会挙げて探りたい。

 停戦宣言にあたりイスラエルは「ハマスを弱体化させ、目的を達成した」と総括し、地上部隊が撤退を始めた。ハマス側も「武装闘争の勝利」と宣言し一週間以内のイスラエル軍撤退を要求した。

 イスラエルが停戦を決めたのは、訪米したリブニ外相がハマスの武器・弾薬密輸ルートを探知する装備や情報の提供のほか、監視に当たるエジプト軍の訓練も請け負う確約を米国から得たからだ。

 さらに、これ以上の市民の犠牲が増えれば、国際社会だけでなく、来月の総選挙を控え、国内の支持も失うとの判断があった。イスラム社会との対話姿勢を示すオバマ米新政権へ配慮したこともあろうが、新政権はいきなり外交手腕を試されることになる。

 しかし、限度を超す攻撃をした上での停戦宣言は勝手すぎる印象をぬぐえない。先週末からは、国連難民救済事業機関や病院などを含め、かつてない激しい攻撃を加えた。三週間続いた戦闘で死者は千三百人、負傷者は五千人を超えた。半数近くが子供や女性たちである。国連難民救済事業機関には人体に触れると高温で燃え続け、人道上許されぬ白リン弾が再び使われたとされる。公式機関による調査が必要であろう。

 一方、ハマス側は、武力拠点を破壊され、シアム内相など多くの幹部を失うなど打撃が大きい。停戦へ柔軟姿勢を示すことで、イスラエル軍撤退や経済封鎖の解除に向けた国際社会の圧力の高まりに期待する思惑もあるとみられる。

 中東和平が軍事力では解決しないことは、過去に大きな犠牲を払って得た教訓である。停戦表明を機にイスラエル軍の撤退、ハマスへの封鎖解除など、具体的で持続性のある停戦交渉と復興に全力を挙げるべきである。パレスチナ側もハマス支配のガザと穏健派自治政府のヨルダン川西岸との分裂状態の早期解消が課題だろう。ハマスの武装闘争の見直しも検討されるべきである。

 エジプトで潘基文国連事務総長に欧州、中東諸国首脳も加わっての会議が十八日に招集され、恒久停戦と復興支援を協議した。カタールでのアラブ首脳会議などの場を生かし、この停戦を恒久的にするための努力が求められる。

 

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