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【主張】ガザ停戦 本格的な中東和平に繋げ
イスラエル軍による激しい攻撃が続いていたパレスチナ自治区ガザ地区でイスラエル政府が「一方的停戦」に踏み切り、ガザを実効支配してイスラエルへのロケット攻撃を繰り返していたイスラム原理主義組織ハマスも即時停戦を発表した。
その後、散発的な攻撃の応酬はあったが、ほぼ停戦状態が続き、ガザに地上侵攻していたイスラエル軍の撤退も始まった。
イスラエルは、停戦中もハマスから攻撃を受ければ即座に反撃するとし、ハマスも停戦の条件にイスラエル軍の1週間以内の撤退などを掲げているため、今回の停戦の行方は予断を許さない。
しかし、先月27日以来3週間に及んだ戦闘の結果、死者はガザ側が1300人を超え、イスラエル側も13人に上っている。一般住民の犠牲者も増すばかりだ。これ以上の戦闘の継続、泥沼化はだれも望んではいないだろう。
イスラエル政府は、ハマスを無力化するという「目標が達成された」としたが、逆にハマスとガザ住民の結束を強め、何よりも国際社会からの批判という重荷を負った。イスラエルとの和平を目指すパレスチナ穏健派ファタハのアッバス議長の立場を弱める結果を招いたとの批判もある。
一方、ハマス側も組織や軍事能力に重大な打撃を受けた。強硬姿勢が一般住民の犠牲を大きくしたとの批判は免れまい。
いずれの側も「自衛」や「生存権」を戦闘の大義に掲げ、自らの行動を正当化してきたが、もはや停戦はそれぞれの利益であるはずだ。地域や世界の安全保障、経済にとっても有益である。
双方はもとより、国際社会も今回の危うい停戦を持続的なものとするよう全力をあげなければならない。ガザの人道復興支援も必要となろう。
20日に発足するオバマ米新政権への期待も大きい。
これまで停戦調停に努めてきたエジプト、欧州などとともに、2007年11月の米アナポリス中東和平国際会議の合意に基づく和平交渉の再開を急いでほしい。中東和平なしにガザ情勢の安定もないからだ。
その過程で、ハマスもイスラエルの生存権を認めない従来の強硬路線を見直すべきだ。1993年のオスロ合意以来、イスラエルとパレスチナの両国家共存以外に中東和平の道はないのである。