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【主張】インフル院内感染 経路解明し管理の徹底を
東京都町田市の鶴川サナトリウム病院で入院患者や職員ら計100人以上がインフルエンザに感染し、患者3人が亡くなった。東京都は最大規模の集団感染とみて数度にわたる立ち入り検査を実施し、経路の解明など詳しく調べている。
インフルエンザは風邪とは違い侮ってはならない感染症だ。とくに体力が劣る高齢者や心臓病など慢性疾患のある人は注意が必要である。そのことをあらためて認識し、感染予防に努めたい。
厚生労働省によると、今冬の流行は昨年12月中旬に始まった。ピークは、これから2月初めごろにかけてとみられ、都も流行注意報を発令している。
問題の鶴川サナトリウムでは今月3日に職員1人の感染が確認された後、院内に広まった。死亡したのは認知症で寝たきりだった100歳の女性をはじめ、いずれも高齢の患者だった。
自らも感染してマスク姿で記者会見した日野研一郎院長は「年末年始には職員や入院患者の外泊、面会に来る見舞客が多かった。それが感染の要因のひとつと考えている」と説明した。病院の予防や衛生管理の体制に不備はなかったのだろうか。
インフルエンザの感染予防には室内を十分加湿して湿度を50〜60%に保つのが有効とされる。病院に加湿器はあったものの、効果は不十分で湿度は15%とむしろ乾燥状態だった。
予防接種はほとんどの職員や入院患者が受け、死亡した患者も3人のうち2人がワクチンを投与されていた。それでもインフルエンザは広がった。
ワクチンは必ず感染を防げるものではない。むしろ重症化を防ぐ手段と考えるべきだろう。日ごろの手洗い、うがいの励行、十分な休養と栄養補給が予防の基本であることも忘れてはならない。
専門家からは「職員に手袋やマスクの着用が徹底されていればこれほど広まらなかっただろう」との指摘も出ている。
インフルエンザ治療薬のタミフルやリレンザには予防効果もある。病院内で広まる危険性がある場合は、症状のない職員や入院患者に早めに予防投与することも検討したい。
ただ、タミフルの効かないウイルスも見つかっている。今回のウイルスのタイプを専門機関で特定し、予防に結び付けたい。