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【群馬】

医師確保へ 自治体『あらゆる手だて』

2009年1月20日

 各地の病院で医師不足が問題となっていることを受け、桐生市の亀山豊文市長は、同市とみどり市が出資する桐生厚生総合病院(桐生市)の勤務医に、両市内への定住を促す新しい手当を創設するなどの医師確保対策を明らかにした。邑楽館林地域の1市5町も19日、館林厚生病院(館林市)の医師確保や待遇改善策をまとめた。 (加藤益丈、川口晋介)

 ●桐生厚生病院

 桐生とみどりの両市は、二〇〇九年度当初予算案に計約四千三百万円を計上する方針。

 「医師定住促進手当(仮称)」は、両市内に持ち家を新築、または購入した医師に月額四万円(六年目から十年目までは三万円、それ以降は対象外)を、借家に住む医師には月額三万円を支給。いずれも法令に基づく住宅手当とは別とする。

 勤務医の半数近くが両市外に住み、帰宅が遅くなると病院に寝泊まりするケースがある実態を踏まえ、JR桐生駅周辺のビジネスホテルに部屋を確保。通勤環境の改善を図る。

 また、診断書作成などの事務作業を補助する「医療クラーク(事務員)」を現在の五人から十三人に増員。医師の事務負担を軽減し医療に専念できる環境を整備する。

 桐生市は〇七年八月に「桐生地域医療改善協議会」を設立し、同病院幹部や地元医師会ら二十人を委嘱。昨年五月に定住促進手当の創設などを盛り込んだ中間答申が出され、対応を検討していた。

 ●館林厚生病院

 館林市と邑楽郡の五町で構成する邑楽館林医療事務組合は十九日、運営する館林厚生病院の医師確保や待遇改善に向けて緊急対策本部を設置した。

 医師確保策では医科系大学への協力要請のほか、関係者の人脈や民間仲介業者、専門紙を通じて公募する。待遇改善では、全診療科を対象に四月から臨床研究手当など三項目を引き上げる。宿直する医師の場合、月約七万円増となり、組合の財政負担は年間約三千三百万円の見込み。

 群馬大医学部が小児科常勤医を三月末で引き揚げた後の体制は未定で、四月以降の救急・入院患者の受け付けは、近隣の病院へ依頼するという。

 組合管理者の安楽岡一雄・館林市長は「地域で小児医療体制を保持するため、医師確保に向けあらゆる手だてを講じる」と述べた。

 

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