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大前議員、国有地入札で不透明取引

 

知人に再落札依頼、7000万円安く購入

 自民党兵庫県連副会長で元防衛政務官の大前繁雄衆院議員(66)(兵庫7区)が理事長を務める学校法人「大前学園」が、同県西宮市内の建物付き国有地売却の入札で、2億2600万円で落札しながら、「入札額が高すぎた」と契約を辞退したうえ、再入札で大前議員が知人の不動産会社経営者に依頼して落札させ、約1億5500万円で転売を受けていたことがわかった。知人の会社を“ダミー”にして、当初の落札額より約7000万円安く国有財産を取得した格好で、大前議員は「どうしても買いたい物件だった。不透明な取引と批判されても仕方がない」と話している。

 西宮市津門大箇(つとおおご)町にある旧西宮社会保険事務所の土地(約730平方メートル)と建物(鉄筋3階建て)。厚生労働省が事務所移転に伴って売却した。現在は建物は改修され、同学園が運営する専修学校の別館として使われている。

 入札を実施した兵庫社会保険事務局や大前議員の説明によると、最初の入札は2007年12月21日で、3社が参加。同学園が落札し、その場で入札保証金1130万円を支払ったが、次点の入札額が約1億円低い約1億2400万円だったことを知り、「応札額が高額すぎた。理事会に説明がつかない」と購入見送りを決めたという。

 会計法などの規定で再入札に同学園関係者は参加できないため、大前議員は20年来の知人が経営する同県伊丹市の不動産会社に参加を依頼。08年2月の再入札には同社など2社が応募したが、最低売却価格に届かず、再々入札で同社が1億4500万円で落札した。

 土地、建物は08年3月、同社所有となり、大前議員は落札額に約1000万円を上乗せして購入した。

 入札に転売禁止の規定はなく、知人への依頼や買い戻しも違法ではないが、本来、国有財産をできるだけ高く売却する入札で、保証金を含めても国庫収入は約7000万円低くなった。大前議員は「安く買えたので、うまい取引ができたと思った。当時は問題とは思わなかったが、今となっては批判されても仕方ないと思う」と話している。

 一方、国有地などの売り払いの入札では、財務省通達で応札額を明らかにしないことになっているが、大前議員側は「開札の際、入札会場で社会保険事務局の担当者から教えられた」としており、同事務局も「担当者は『(入札額を)言った気がする』と話している」と説明している。

 大前議員は京大法学部卒。建設会社員を経て、兵庫県議を6期務めた。03年に社民党名誉党首の土井たか子氏(80)らを破り、初当選。現在当選2回。

 入札額、電話でやりとり…一問一答

 大前議員が読売新聞の取材に応じた主なやり取りは次の通り。

 ――どうして落札しながら、辞退したか。

 「あまりにも次点と価格差が大きく、悩んだ。理事会で承認してもらえないし、金融機関からの融資も受けられないと思った」

 ――再入札への参加を知人に頼んだか。

 「再入札になることを知り、どうしても買いたかったので、20年来の知人に頼んだ。1度辞退すると、参加できないと説明を受けたが、知人はダメとは言われてない。入札会場から、携帯電話に連絡をもらい、入札額も相談した」

 ――国会議員が関与し、“ダミー会社”を使って国有財産を安く買う取引は不適切では。

 「当時はただ、学校法人のためと思ってしたことだった。違法ではないはずだが、疑念を持たれるならしょうがない」

2009年1月20日  読売新聞)

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