グーグルストリートビュー「国内版」 公開に賛否

ストリートビューで表示された東京・銀座4丁目。通行人の顔にはぼかしが入っている
 道路から撮影した町並みの画像をインターネットで無料閲覧できる米検索エンジン最大手グーグルの「ストリートビュー」(SV)。日本では昨年8月に仙台、東京、大阪など12都市でサービスが始まったが、プライバシーの侵害を懸念する地方議会から規制を求める動きが出始めた。一方で利便性の高さを歓迎する声もあり、賛否両論がわき起こっている。

 パソコン画面の地図でSVをクリックすると、道路沿いの風景が表れる。視点を動かし「散歩」を楽しむことも可能。通行人の顔には自動的にぼかしが入るシステムだが万全ではない。ネット上には、カップルや風俗街を歩く男性などの画像を集めたサイトもある。

 東京都杉並区は住民からの苦情を受け、昨年8月と11月、グーグルに「プライバシーの配慮」などを要請。12月には福岡県弁護士会がSVの中止を求める声明を出した。東京都町田市や札幌市、大阪府茨木市などでは、議会が「住民に無許可で撮影されており、プライバシーや防犯上の問題がある」として、国などに規制を求める意見書を可決した。

 茨木市の中村信彦市議は「SVの画像を張って同和地区を中傷する掲示板もある。一度ネットに画像が流れると削除しきれないのに、日本では議論もなく始まったことが問題」と指摘する。

 一方、不動産業者の間では物件紹介にSVを活用する動きが広まっている。住宅情報サイト「賃貸ホームズ」を運営する「ネクスト」(東京都中央区)は「知らない土地でも周辺の雰囲気が分かり、評判がいい」と話す。グーグルには「育った街の風景が見られ懐かしい」などの意見が寄せられているという。

 グーグルは「プライバシー侵害との指摘は真剣に受け止めている。掲載中止を求められた場合は確認の上で速やかに中止している」と説明。行政側に理解を求めるパンフレットを作製中という。

[ストリートビュー]インターネット上の地図「グーグルマップ」の機能の一つ。地上2.5メートルの高さにカメラを取り付けた車を走らせ町並みを撮影、360度のパノラマ画像を地図上で閲覧できる。2007年に米国の都市を対象に始まり、パリやローマなど各地に拡大。日本では08年8月、札幌、小樽、函館、仙台、東京、埼玉、千葉、横浜、鎌倉、京都、大阪、神戸の12都市でサービスが始まった。
2009年01月19日月曜日

宮城

社会



河北新報携帯サイト

QRコード

東北のニュースが携帯でも読める。楽天・東北のスポーツ情報も満載。

≫詳しくはこちら

http://jyoho.kahoku.co.jp/mb/