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【鼓動】カリフォルニア州破産? 「財政赤字」許容なき地方政府 (2/3ページ)
前代未聞の事態
州が支払い不能になるとどんな事態が起きるのか。
バレホ市が適用を申請した連邦破産法第9条は、州には適用されない。つまり、州には破産、あるいは日本における財政再建団体指定といった法的措置はない。米国では大恐慌時にも州の破綻は起きておらず、これまで想定されていなかった事態といっていい。
現実に支払い不能に陥った場合、カリフォルニア州は各種の支払いを全面的にストップし、かわりに借用証を発行すると説明している。「IOU」と呼ばれるこの書類、実は1992年に一度、暫定的に発行されたことがあった。
当時は公務員向けの信用組合などがIOUを引き受け、現金化した。しかし、今回は情勢も異なり、金融機関が金化に応じるかどうかは不明だ。このほか、バレホ市でみられたような警察、消防をはじめ教育、道路などのインフラ整備など、あらゆる住民サービスの低下はさけられない。
州の地位に変化?
知事がいう420億ドルの負債を3500万人の州民1人当たりに換算すれば1200ドル(10万8500円)。破綻した夕張市の住民1人当たり負債額が500万円近くに達していたことからすれば、カリフォルニア州財政はまだまだ“健全”なレベルともいえる。
にもかかわらず「破綻」が取りざたされる背景には、米国で多くの自治体に義務づけられている財政均衡規定の存在がある。この規定が適用されない連邦政府は巨額の財政赤字が許容されるが、地方政府は基本的に赤字垂れ流しは許されない。このために、日本からみれば問題のない水準の赤字であっても、緊急事態に発展するわけだ。