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【ゆうゆうLife】介護 高齢者住宅での看取り(上) (1/3ページ)
■「死に場所」がある幸せ
ケアハウスや有料老人ホームなど、老後の住まいの選択肢が増えています。在宅での看取(みと)りが推進されるなか、今後、こうした在宅扱いの居住系施設でも、末期がんなどの終末期を過ごす高齢者が増えるとみられています。高齢者住宅は終(つい)の住み家となるのか。初回は、看取りに取り組むケアハウスをリポートします。(寺田理恵)
埼玉県八潮市の「やしお寿苑」は、身の回りのことを自分でできる高齢者約50人が暮らす自立型のケアハウス。特別養護老人ホームのような介護用の施設ではないが、何人もの入居者が最期のときを寿苑で迎えた。
「死に場所があるのは、本当に幸せです」。こう話すのは、鍼灸(しんきゅう)師の柳川百合子さん(72)。平成15年に肝臓がんと胆嚢(たんのう)がんの手術をした後、寿苑に入居した。その直後、亡くなった入居者のお葬式が苑内で執り行われるのを見て、心強く感じた。
「家族がいないので、最期は必ず人の世話になる。50代のころから、死に場所を考えて生きてきました。5年前に入居を申し込んだとき、がん患者は断られるのではないかと不安でしたが、ここでは『どうしても戻りたい』と言って、亡くなる前日に病院から戻った人もいる。食堂の椅子に座り、亡くなる前日まで昼食を取っていた人もいました」と、信頼を寄せる。
18年6月、今度は乳がんが見つかった。医師から「発見がもう1カ月遅ければ生きていなかった」と言われ、死を覚悟した柳川さんは「毎日いっしょに暮らした人たちに見送られたい」と、寿苑での葬儀と入居者用の墓への埋葬を遺言書にしたためて手術に臨んだ。手術はうまくいき、今も現役で寿苑から鍼灸の仕事に出かけるが、再発の不安はある。「この次、がんが見つかっても、入院はしません。自然にここで逝きたい」と願っている。
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