DPC新係数、在院日数評価は「当確」
国際医療福祉大の高橋泰教授は1月17日、日本DPC協議会が開いた「第2回DPCセミナーin東京」で講演し、DPC対象病院に適用されている現在の調整係数に代わり、厚生労働省が導入を検討している「新機能評価係数」として、病院による平均在院日数短縮への取り組みを評価する指標が加わる可能性が高いとの見通しを示した。
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高橋氏は講演で、「DPC制度の最大の問題は、平均在院日数短縮に対するインセンティブが、実はないことだ」と指摘。あくまで「予測」とした上で、こうした点を解消するため、入院患者の重症度を何らかの形で補正し、病院ごとの在院日数の短縮状況を評価する指標の導入が「当確だ」と述べた。
その上で高橋氏は、「病院の収支に一番影響があるのは、ベッドの稼働率だ。入院期間を引き延ばして稼働率を引き上げている病院がかなりある」と述べ、仮に在院日数を評価する指標が新係数に導入された場合、こうした対応が取れなくなり、集患力が低い病院にとって「死活問題」になる可能性があるとの認識を示した。
厚労省は、従来の調整係数に代わって新たに導入する新係数について、医療の効率化や標準化、質の向上につなげるため、在院日数の短縮状況以外に、「標準レジメンや診療ガイドラインに沿った標準医療を提供している患者の割合」や「後発医薬品の使用状況」などを評価することを提案。このほか、地域医療への貢献度を評価するため、「医療計画上の『4疾病5事業』に対する地域内シェア」も新係数の候補に挙げている。
高橋氏は、このうち「4疾病5事業」に対する地域内シェアへの評価も実現する可能性が高いと指摘。また、「三次救急や救命センターが評価されるのは間違いない」とも述べた。標準レジメンや診療ガイドラインに沿った標準医療の提供については、肺がんなど一部の疾病で試験導入される可能性があると指摘。一方、後発品促進への評価は、「DPC自体が後発品を普及する仕組みなので、さらに評価されれば二重取りになる」として、実現可能性は低いとの見方を示した。
このほか、DPC対象病院に移行する際、現在は「基準を満たすことが望ましい」とされている集中治療室管理料の算定など5項目についても、「今までの流れでいくと、必ず入ると思われる」と述べた。
こうしたことから高橋氏は、今後、急性期病院として生き残るための対応として、▽5つの努力目標を1つでも多く実現する▽地域でのシェアが高い疾患(得意科目)を持つ▽救急医療を積極的に実施する▽在院日数を短くする▽標準レジメンや診療ガイドラインを順守する−を挙げた。
更新:2009/01/19 14:46 キャリアブレイン
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