一見なんでもない弁当店だが、見上げると思わずギョッとする「警告」が（クリックで拡大）

　有名弁当チェーン「オリジン弁当」の、ある店舗が入るビルに、昨年から不気味な看板が掲げられている。弁当店が営業中にもかかわらず、≪アスベストが空中飛散の恐れ≫などといった≪警告≫がデカデカと書かれているのだ。一体、誰が誰に向けた警告なのか…。

　看板が設置されているのは、１階に「オリジン弁当」が入っている東京都内の某ビル。同ビルは最寄り駅と隣接した国道沿いにある。弁当店を営むには最高の立地だ。

　オリジン弁当は「すべてはお客様の健康のために！」を理念に関東・関西で６００店（系列店も含む）を展開する人気弁当チェーン。だが、店舗入り口の真上に掲げられた≪警告≫看板の内容は、理念とは真逆の過激な内容だ。

【建て替えめぐりトラブル】

　≪この建物は中・小規模の地震で倒壊する恐れがあります≫≪建物内部にアスベストを使用してあります。地震の際アスベストが空中飛散の恐れがあります≫

　これは一体どういうことか。

　早速、同店を管理運営するイオングループ傘下の「オリジン東秀」（調布市）に聞くと、「ビルの建て替えをめぐってオーナーとの間で賃貸トラブルが発生。話し合いが物別れに終わった昨年９月末、オーナーが突然、この看板設置を強行した」。

　このビルは１９７８年に建てられたという。同社は「古い建物だけに多かれ少なかれ問題はあるかもしれないが、建物を壊さないかぎり（アスベストは）出ない。営業妨害以外の何者でもありません」と迷惑顔。一方のオーナー側は「話すことはない」とノーコメントだった。

　大家と店子のトラブルが原因だったわけだが、看板は周囲に不安をまき散らしている。近くのビルに入居する男性（６０）は「ビルを解体した時が心配。もし問題が起きたら、どう対処してくれるのか…」と困惑。２週間に１回は弁当を買いに来るという男性（５９）も「言われるまで気づかなかったが、食べ物を扱っている店だけに、あまり気持ちいいものではないですね」と話す。

　実際、危険性はあるのか。厚生労働省安全衛生部化学物質対策課は「劣化状態にもよるが、７５年以降に作られた建物の含有アスベストに関しては、すぐに健康被害を及ぼすレベルではない」という。

　とはいえ、のどかな駅前通りに突然出現した怪看板は、いまも異様な雰囲気で真下のオリジン弁当を威圧し続けている。