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卵巣がん「薬がない」 「世界標準」も国内未承認/保険きかず患者は悲鳴 (2/3ページ)
≪北朝鮮と日本くらい≫
これらの薬は、日本では卵巣がんではまだ承認されてないが、ほかの病気では認可され、実際に使われている。ただ卵巣がんへの使用は未認可のため、患者はこれらを使った治療は健康保険では受けられない。
国立がんセンター中央病院腫瘍内科の勝俣範之医長は「ドキシルは副作用も少なく、確実に延命効果が期待できる薬。世界80カ国で卵巣がんの治療に使われており、使えないのは日本と北朝鮮くらい。もちろん、薬を使ったからといって完治する患者が増えるわけではないが、薬を使えないことで日本のがん治療は世界からどんどん遅れてしまっている」と指摘する。
卵巣がんは自覚症状が乏しく、早期発見も難しいことから、発見時にはすでに進行がんになっている場合が多い。ただ、ほかのがんに比べ抗がん剤がよく効くことがわかっている。そんな卵巣がんの薬がなかなか日本で認可されない理由の一つに、実際の患者に使って効果を確認する治験申請の遅れ、さらには申請さえ行われないことがある。
国内の卵巣がん患者は約2万2000人。患者数が10万人を超える肺がんや乳がんに比べると少なく、認可されても多くの売り上げが期待できないこともあり、製薬会社には治験をする利点がない。医師主導の治験もあるが、患者が少ないことで専門医や研究者が少ないうえ、治験のための患者が集まらないなどの理由もあり、こちらも難しいのが実情だ。
≪15万人が署名≫
卵巣がん体験者の会「スマイリー」は、ドキシルなど世界標準薬の早期承認を求める活動を行っている。平成18年に約3万人の署名を集め厚労省に提出したものの承認は実現しておらず、昨年10月に2度目の署名活動を実施して15万人以上の署名を集め、厚労省への再提出をめざしている。