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卵巣がん「薬がない」 「世界標準」も国内未承認/保険きかず患者は悲鳴 (1/3ページ)
がんの中でも抗がん剤が比較的効きやすいといわれる卵巣がん。しかし、世界中で使われている薬の多くが日本では承認されておらず、患者は保険治療を受けられなかったり、高額な自己負担を余儀なくされたりしている。このため患者団体は昨年10月から、薬の早期承認を求める署名活動を実施、厚生労働省への提出をめざし準備を進めている。(平沢裕子)
「薬代だけで月に20万円かかり、これまで200万円は使っている。こんなにお金をかけて嫌だなぁ、夫に申し訳ないなぁと思うと、今度は薬が効かなくなってくる。ほんとに情けないけど、生きるためにはこれしか方法がないんです」
千葉県浦安市の主婦、相田欣乃(きんの)さん(69)は、言葉を詰まらせながら、自身が置かれた状況を説明する。
相田さんは平成17年5月に卵巣がんを発症、抗がん剤治療などで良くなったものの、18年7月に再発した。再発当初は保険適用の抗がん剤を使ったが半年で効果がなくなり、適用外のドキシルという薬に切り替えた。ドキシルも今は効かなくなり、別の薬に切り替える必要があるという。
≪死を待つしか…≫
相田さんは「卵巣がんは薬が使えないともう死を待つしかない。世界中で認められた薬があるのに、日本だけ使うことができないのはおかしい。私はもう年だからあきらめもつくが、お金のない若い患者のためにも1日も早く薬を承認してほしい」と訴える。
相田さんが使っているドキシルは、トポテカン、ゲムシタビンなどとともに、世界中で卵巣がんの標準治療薬として使われており、日本の婦人科腫瘍(しゅよう)学会のガイドライン(平成19年)でも使用がうたわれているものだ。ドキシルとトポテカンは米国では10年前に認可され、効果や副作用についてもかなりのことがわかっている。