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裁判員、暴力団員も選ばれる? 排除規定なし(2/2ページ)

2009年1月19日17時56分

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イラスト暴力団も裁判員?

 別の組幹部は「微罪でも罰せられてきた我々には、被告を権力から擁護したくなる習性がある。被告が暴力団関係者でも無関係の一般人でも同じだ」と裁判員への参加に乗り気だ。

 元判事の西野喜一・新潟大大学院教授(司法過程論)は「この制度では暴力団員も裁判員に交じる可能性があり、ほかの裁判員が危険な目に遭うかも知れない。実際に遭わなくとも『そんなことがあるかも』と考えることで冷静な判断ができず、結果的に公正な裁判ができなくなるおそれがある」と指摘する。

 また、暴力団事情に詳しい弁護士は、被告が暴力団員の事件での裁判員の安全確保を心配する。

 実際の裁判に臨む裁判員は裁判長による面接などを経て決まる。この際、検察官や弁護人には、理由を示さずに候補者をそれぞれ4人まで不選任とする権限が与えられている。最高裁や法務省の関係者は「暴力団員が裁判員になる可能性はないとはいえないが、選任までの過程に複数のフィルターがあり、そうした人たちを外すことはできる」と話している。(編集委員・緒方健二)

     ◇

 裁判員裁判と暴力団事件 警察庁によると、07年に検挙した殺人事件1157件のうち暴力団員(準構成員含む)が関与したのは130件で11%。覚せい剤取締法違反は、08年1〜11月に摘発された事件の54.4%に暴力団員が関与し、銃刀法違反事件は約10%だった。暴力団員に適用されることの多い組織的犯罪処罰法違反罪の一部も裁判員裁判の対象に含まれ、暴力団員が被告の事件を裁判員が審理するケースは少なくないとみられている。

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