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予算10万円で 初めて着物を誂える(前編)

 着物一式(※)を揃えるとき、やはり気になるのが「予算」です。
 40−60代の男性に尋ねますと、「ちょっと上等なスーツぐらい」、「できれば10万円ぐらい」という答えが返ってきました。予算10万円なら、木綿の着物の場合は無理なく一式が揃い、紬(絹)の場合は下調べが必要です。

 着物も仕立てあがった既製品がありますが、きもの揃えの楽しみは、なんといっても「お誂え」(オーダーメイド)です。今回は、インターネットで積極的に販売展開をしている呉服店の中から、紬の着物一式をこの予算で揃えられそうなお店を選び、実際に呉服店に足を運んで、誂えてみました。
 1〜2週間前に希望を伝えておくと、希望に添ったものをいろいろ用意しておいてくれる呉服店が多いようです。

※着物一式とは、
「着物と帯」のほか、半襦袢(はんじゅんばん、または長襦袢)・半衿・ステテコ・足袋・雪駄(または草履)です。
冬に着たいときは、防寒に「羽織」が必要です。木綿はもちろん、紬のようなカジュアルな着物を初めて揃えるときは、長襦袢ではなく半襦袢でよいでしょう。


「好きな色は似合う色」を原則にして選ぶ

 かねてから着物を着てみたいと考えていた高橋誠さんの希望を、何軒かの呉服店に伝えました。この予算では難しいにもかかわらず、「わかりました」と即答があった神奈川県厚木市の「たちばなや」へ。予算の範囲で選べる反物や羽織紐や雪駄が用意されていました。


 浴衣を着たことはあっても、袷(あわせ)の着物を初めて誂える高橋さんは、さっそく店主に質問。

高橋
「冬の着物は、こういう無地っぽいものが多いんですか」
店主
「そうですね。とくに、初めてお誂えになるときは、無地とか無地に近い紬のほうが着やすいと思います。ラフな木綿の縞の着物もありますよ。木綿だと、もっと手ごろです」
高橋
「浴衣が縞柄だから、今度はやっぱり無地の紬だな。しかし、同じ色合いでも微妙に違うんですね」
店主
「はい、そこが男の着物選びの面白いところかと思います。色合いとしては紺、茶、グレー系統や黒が多いのですが、どんな色がお好きですか」
高橋
「茶かグレーかな。(反物をいろいろ見て)この茶色は、ちょっと違う色が入っていて、いいですね」

次回は羽織をあわせ帯を選んでいきます。


森 恵子(もり・けいこ)

和文化と文学を得意ジャンルとする編集者・ライター。幼い頃から日本舞踊に親しみ、着物歴は長い。着物雑誌やムックの編集執筆、著者インタビューなどを多く手がける。着物関係の著書に『シネマきもの手帖』がある。

2008年12月17日  読売新聞)

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