*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。
ホワイトハウス報道官室
2008年7月8日
「絶望を乗り越える手助けをすることは米国の国益にかなうことであり、苦しむ同胞を助けることは精神的な利益にかなう。ブッシュ政権はその発足当初からこの方針を採っている」
2008年2月17日 ジョージ・W・ブッシュ大統領
ブッシュ大統領は、ほかのG8首脳と共同で、以下の措置を取った。
- 保健と腐敗に関する約束の履行について詳細な報告書を初めて発表し、今後もさらに報告書を要求することにより、G8の行動計画に説明責任を課す。
- 主要アフリカ諸国において適切な政策を推進し食糧生産を倍増させるための中長期的活動を開始する一方で、緊急の食糧ニーズを満たすことにより、世界的な食糧安全保障を向上させる。
- 原油価格上昇の原因となる根本的な需要と供給の問題への取り組みに協力が必要であることを強調する。
- 以下の措置を取ることにより、気候変動への取り組みを進める。
- 有効な気候変動対策を取るには、全主要経済国が新たな国際協定の下で義務付けられた有意義な中期的緩和措置を取ると約束する必要があることを強調する。
- 低炭素社会という長期的構想を追求し、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の全締約国が、2050年までに排出量を少なくとも半分に削減するという目標を検討し採択よう求める。
- 研究開発の拡大、新たな資金供給と奨励策、貿易障壁の撤廃、効率の向上を通し、クリーンエネルギー技術の開発および利用のための具体的な対策を講じる。
- 保健従事者の訓練や、特定の主な「顧みられない熱帯病」の治療を通して、開発途上国の人々の命をより多く救うことを目的とする、米国主導の新たな保健イニシアチブを発表する。
- 意欲的でバランスの取れた包括的な世界貿易機関(WTO)ドーハ協定の締結は、経済の成長と発展にとって不可欠であることを強調する。
- 資本市場の自由化を奨励し、無差別待遇と高い投資保護基準を保証する。
- テロとの戦いのための一連の共通原則を順守する。
- 差し迫る地域問題についての合意を促す。
G8の説明責任
G8首脳は、以下の措置を取ることにより、過去の約束を迅速かつ透明性を持って確実に履行する必要性を認識した。
- 主要な保健問題に関する約束の履行についてG8各国の進ちょく状況をまとめた詳細な報告書とマトリックスを発表し、進展を確実に継続させるためにフォローアップの仕組みを設置する。
- HIV・エイズ、マラリア、結核との戦いに向け600億ドル供与するというハイリゲンダムでの約束を5年間で履行することを誓約する。
- 世界ポリオ撲滅イニシアチブへの資金供与を維持または増額し、他の援助国も同様の取り組みをするように奨励することにより、ポリオ撲滅への機運を維持する。
- 水と教育の問題について、約束の履行状況に関する報告書を2009年のG8サミットで提出するよう要求する。
- 汚職との戦いに対するG8各国の約束を再確認し、汚職対策の約束を履行するために講じた各国の措置に関する報告書を歓迎し、報告書を毎年作成することを誓約する。
食糧安全保障
G8首脳は、ブッシュ大統領が最近発表した食糧安全保障イニシアチブを基にこれを拡充して、以下の措置を取った。
- 食糧問題の影響を受けた国々の食糧支援、栄養摂取、農業生産の増加措置を支援するという、短期および中長期的な目的のために、G8が2008年1月以降、100億ドル超の供与を約束したことを歓迎する。
- 包括的アフリカ農業開発プログラムの基準を満たすアフリカ諸国における主要食用作物の生産量を、5年から10年で倍増させるよう努力することに合意する。
- 農業と食糧に関する世界的なパートナーシップを構築するために国際社会と協力する。
- 輸出規制の撤廃を要請することにより、より多くの食糧が入手可能になるようにする。
- 支援用食糧の現地調達を促進することにより、地元農業を発展させる機会を模索する。
- 意欲的で包括的、かつバランスの取れたWTOドーハ・ラウンドの妥結を早急に成功させる必要性を認識する。
- 新しい農業技術へのアクセスを向上させることを誓約し、バイオテクノロジーで開発された種子品種が果たす貢献などについて、科学に基づくリスク分析を促進する。
- 新世代の開発途上国出身の科学者の育成を促進する。
- 新たに組織されたG8専門家グループに約束の実施を監視する任務を課す。
エネルギー安全保障
G8首脳は、以下の措置を取ることにより、エネルギー安全保障の推進における共通の利益と責任を再確認した。
- 原油価格上昇の根本的な原因である需要と供給の問題に対処するには、協力した取り組みが必要であることを強調する。
- 透明性、エネルギー効率、多様化の重要性を強調する。
- サンクトペテルブルクで合意したエネルギー安全保障の原則の順守を改めて表明し、歪曲されない価格シグナルを発し、政治的圧力を受けない、正しく機能する市場の重要性を強調する。
- 原油市場のデータの質、完全性、適時性の改善に向けた、石油データ共同イニシアチブに参加する組織の取り組みを支援する。
保健に関する新たな約束
G8首脳は、以下の措置を取ることにより、より多くの命を救うという約束を表明した。
- 保健従事者の数を人口1000人当たり2.3人にするという世界保健機構(WHO)の基準値の達成を目指し、深刻な保健従事者不足に直面するアフリカ諸国の保健従事者を育成することを約束する。
- アフリカ、アジア、中南米の主要感染国で、5年以内に、特定の主な「顧みられない熱帯病」に感染した人々の少なくとも75%に支援を提供すべく努力することに合意する。
- 他の利害関係者と協力し、2国間および多国間の援助を通じ、2010年までに1億張の長期残効型殺虫剤含有蚊帳を供与することを誓約する。
気候変動、クリーンエネルギー技術、およびエネルギー効率
G8首脳は、気候変動の問題に取り組むためには、すべての主要経済国による行動が不可欠であることに合意するとともに、以下の措置を取った。
- UNFCCCプロセスへの主要経済国首脳会合の積極的な貢献を期待し支持する。
- すべての主要経済国による貢献の必要性を認識して、低炭素社会に移行するビジョンをUNFCCCの全締約国と共有し、これらの国々と共に、2050年までに世界全体の排出量を少なくとも50%削減する目標を検討し採択するよう努める。
- 気候変動に関する2012年以降の体制を効果的なものにするには、新たな国際協定の下で義務付けられた有意義な緩和措置に、先進国と途上国を含むすべての主要経済国が取り組む必要があることを認識する。
- 2007年9月にブッシュ大統領によって提案され、米国が3年で20億ドル拠出することを誓約している、クリーン・テクノロジー基金の設立を歓迎する。
- G8はこれまで、政府が直接出資する研究開発に年間100億ドル超を拠出しており、クリーンエネルギー技術の研究開発への投資の拡大を約束する。
- クリーン・テクノロジーおよびサービスの普及の大幅な拡大を目指し、WTOドーハ・ラウンドにおいて、環境関連物品およびサービスに対する関税および非関税障壁を撤廃する努力を強化することを求める。
- エネルギー効率に関する国際エネルギー機関(IEA)の25項目の勧告を各国が最大限に実施することに合意し、新たに設立された「エネルギー効率に関する協力のための国際パートナーシップ(IPEEC)」を支援する。
開発とアフリカ
G8首脳は、開発分野での協力が相互説明責任に基くものであることをあらためて表明した。
- G8の開発活動は、良い統治と広範にわたる民間部門主導の成長など、ブッシュ政権のミレニアム・チャレンジ公社の原則を反映した、一連の主要開発政策の原則に基くものとなること、また開発援助を効果的に行うためには各国の当事者意識とパートナーシップが不可欠であることを再確認する。
- すべての利用可能な資金源を動員するために、モントレー開発資金会議で合意された課題への取り組みを新たに表明する。
- アフリカの人々と協力し、金融市場の制度面の能力向上、インフラ整備のためのパートナーシップ、投資環境の改善、起業家のためのリスク分担の保証、投資資金の支援など、民間投資を拡大させる環境をつくり出す。
- 多角的貿易体制を通じて自由で開かれた貿易を促進し、貿易関連の技術援助に関する約束を履行する。
開かれた世界経済
G8首脳は、以下の措置を取ることにより、開かれた市場の重要性を指摘した。
- 多くの人々を貧困から救うために、主要新興経済国も各自の役割を果たすべきであることを認識して、農業、工業製品、サービス分野で具体的なプラスの成果をもたらす、意欲的でバランスの取れたWTOドーハ・ラウンドの迅速な妥結が重要であることを強調する。
- 無差別待遇と高度な投資保護基準を保証する。
- 資本市場の自由化を奨励し、同等な証券制度を相互承認するなど、国境を越えた投資の流れを促進する。
- 一部の政府系ファンド(SWF)による透明性向上の約束を歓迎し、現在進行しているSWFおよびSWF投資の受け入れ国のベストプラクティス(最優良事例)を特定する作業を奨励する。
平和維持、復興、安定化
G8首脳は、以下の措置を取ることにより、平和維持と平和構築の能力を向上させる取り組みを履行することを約束した。
- 展開のための兵たんや輸送支援を拡充するとともに、質の高い訓練と装備を部隊に提供する。
- 紛争中、あるいは紛争状態から脱しつつある国の警察への訓練・装備面での支援、および平和構築において中核的役割を果たす文民の人材育成活動を強化する。
- アフリカの平和維持能力を強化する上でアフリカ連合と地域経済共同体を支援する。
不拡散
G8首脳は、以下の措置を取ることにより、大量破壊兵器不拡散の取り組みを強化した。
- 世界的な拡散の脅威に対応するために、「大量破壊兵器および関連物質の拡散に対するグローバル・パートナーシップ」を拡大する。
- 2010年の核拡散防止条約(NPT)運用検討会議で成功を収めるために共同で取り組むことに合意する。
- 国連安全保障理事会決議1540を完全に順守することの重要性を強調する。
テロ対策
G8首脳は、以下の措置を取ることにより、テロの脅威に立ち向かうという約束を再確認した。
- G8のテロ対策活動が、共通原則に基づいて行われることに合意する。その原則には、すべてのテロ行為は犯罪であり、正当化されるものではなく、明確に非難されなければならないこと、自爆テロは特に卑劣な手段であること、テロリストによる拉致や人質を取る行為は、嫌悪感を引き起こす行為であり、強く非難されるべきであること、紛争、抑圧、貧困はテロを正当化する理由にならないこと、そして、憎しみをまん延させ、暴力をあおるために、テロリストが民主社会に固有の自由を悪用することは容認されないことなどが含まれる。
- 現金の運び屋の利用や大量の現金密輸などの手段を使って行われるものなど、テロリストの資金調達と戦う活動の強化に取り組み、慈善事業分野の搾取とテロリストによる悪用を防止する。
- 全国連加盟国に対し、世界テロ対策戦略とそれに関連する国連安全保障理事会の決議を含む、国連のテロ対策の実施を呼びかける。
G8首脳は、以下の重要な地域における共通の利益を推進する方法について議論した。
イラン
G8首脳は、イランに国際的義務を順守するよう強く求め、以下の措置を取った。
- ウランの濃縮、再処理、重水関連の活動をすべて停止するよう求める国際社会の要求をイラン政府が無視し続けることに対する深刻な懸念を表明した。
- イラン政府は、協力せずに制裁を受け続けるか、協力するか、という厳しい選択を迫られていることを、同政府にあらためて伝えた。
アフガニスタンとパキスタン
G8首脳は、アフガニスタンに関するG8外相共同声明を歓迎し、以下の措置を取った。
- アフガニスタンとパキスタンの国境地域では、国境警備対策に加えて経済的・社会的な発展が重要であることを再確認した。
- アフガニスタンとパキスタン、国際機関、その他の当事者と協力して、国境地域におけるG8の活動の連携をさらに強化することを約束した。
北朝鮮
G8首脳は、北朝鮮に対し、以下の行動を取るなどして、彼らの約束をすべて直ちに履行するよう強く求めた。
- 検証体制の早期の確立とその効果的な実施を含む、すべての核計画の申告の包括的検証に全面的に協力する。
- 核兵器および既存の核計画をすべて放棄し、NPTおよび国際原子力機関(IAEA)の保障措置に早期に復帰する。
ジンバブエ
G8首脳は、ジンバブエの状況に深刻な懸念を抱いていることを強調し、以下の措置を取った。
- 自由で公正な大統領選の決選投票を不可能にした、ジンバブエ当局の行動を非難した。
- 3月29日の選挙で示された国民の民主的な意思に従い、迅速かつ平和的に危機を解決するために、野党側と協力するようジンバブエ当局に強く要請した。
- 暴力に対して責任を有する個人に対して資金的およびその他の措置を導入することを含め、さらなる手段を講じることを約束した。
- 人道的支援が中断されたことに対する強い懸念を表明した。
中東和平プロセス
G8首脳は、継続中のイスラエル・パレスチナ交渉への支援を改めて表明し、以下の措置を取った。
- 交渉を妨げる行動を差し控え、ロードマップで定められた義務を履行するよう全関係国に呼びかけた。
- レバノンにおける最近の政治的進展を歓迎し、関連する国連安全保障理事会の決議に従うよう全関係国に呼びかけた。
ビルマ
G8首脳は、ビルマの政情に強い懸念を表明し、以下の措置を取った。
- ビルマの当局に、アウン・サン・スー・チー氏を含むすべての政治囚を即時釈放し、正当で民主的な文民政権への移行を促進するよう求めた。
- サイクロン・ナルギスの被災者に支援が届くよう引き続き尽力し、外国救援部隊の立ち入りに関して残存する制限をすべて撤廃するようビルマ当局に求める。
スーダン
G8首脳は、ダルフールの状況の悪化を強く懸念していることをあらためて表明し、以下の措置を取った。
- 即時停戦を約束し和平プロセスを再開するよう全関係国に強く要請した。
- 国連・アフリカ連合混合部隊(UNAMID)への支援を継続することを表明し、各国が混合部隊の任務を支援するよう奨励し、スーダン政府に同部隊の本格的な展開の促進を支援するよう強く要請した。
- ダルフールに関連する国連安全保障理事会決議に基づく義務に従うよう全関係国に求めた。