ユグドラ・ユニオン エミリオ
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帝国領に深く進軍するにつれ、王国軍の帝国への憎悪は、形となって姿を現した。
市民への暴行こそ、ギリギリの所で抑止されていたものの、
捕虜となった女性兵士を勝手に物陰に連れ込む…なんて事は恒常化しつつあり、
元盗賊やレジスタンス所属の者達などは、特にその傾向が顕著だった。
前線から、「敵将軍、緋雪姫エミリオ撃破」の報が伝えられた時、
本来ならば仮にも将である者への敬意を払い、遺体を確認するべきであっただろう。
だが、デュランを始めとする王国軍中枢は、敵の激しい抵抗に経戦状態が続き、
そのような余裕のある進軍をしている場合ではなかった。
そして、エミリオ撃破を報告した者達も、それを承知だった。
・・・
エミリオは大きな怪我も無く捕縛され、今は王国軍の駐屯地となっている村の離れにある小屋に、監禁されていた。
彼女が目を覚ました時、既に衣服は奪われ、目をぎらつかせて見下ろす数人の男たちに囲まれていた。
帝国軍、さらには五頭竜将の一人という存在に対する憎しみと、
それを今まさに晴らせるという快楽を前に、誰もが興奮していた。
かつて、彼らの盟主であるユグドラ王女が拉致された時に、激しい陵辱を受けたという噂もある。
同様の行為を与えるに、皇帝ガルカーサの妹であるエミリオは、最も適していると言えた。
・・・
生前の姿も判らぬ遺体がエミリオとして運ばれ、生きている彼女の存在は完全に隠蔽された。
後方部隊が終日、自由に使える「性処理道具」としてのエミリオの毎日が始まり、
不幸にも、五頭竜将としての名と、その幼さが、彼女に休む間すら与えぬ事となった。
やがて、不審な空気を感じた一部の王国軍女性兵士の提言により、この件は明るみに出る事になる。
戦況も大詰めの中、この問題に頭を悩ませるデュランであったが、
ミステールにより解決策がもたらされるのは、また別の話である。
そして、事態が露呈した後、件の小屋の調査等が行われたが、
軍規により罰せられる事を恐れた一部の兵が、脱走すると同時に彼女を連れ去ってしまっていた。
その後、緋雪姫エミリオの行方は、誰にも分からなくなった。
戦後…とある山奥の隠居した老人の住む小屋に、子を抱えた赤毛の少女が居るという噂があったが、
それが彼女であるかどうかは、定かではない。
セリフ無し
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