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特急「はくたか」で、ほくほく線を通った。新潟の豪雪地帯である。雪道の難渋や除雪の苦労を思う 泉鏡花賞受賞の作家・宮脇俊三さんの紀行「白き湖底の町にて」に、沿線の首長が「雪でなく雨として降ってくれたら」と嘆く話がある。雨ならば、雪との闘いから解放される。嘆きに共感する。が、大量の雪がたちまち流れてしまったら、川は大暴れする。根雪となって少しずつとけ出すから、平野を潤すのである。雪国の人の辛抱が、野に恵みをもたらす 雪は自然のダム湖でもある。電力の蓄えを保証し、大都会の暮らしまで支える。不公平なのは、雪の少ない土地が雪の恩恵だけにあずかり、雪国はその雪に悩まされていることである 大都会は雪国に恩義がある。それをどこまで感じているのだろう。ほくほく線と上越新幹線の開通までは、鉄道で北陸から東京に向かう場合、米原経由が最短の時間だった。雪の恵みで走る列車に乗せられ、遠回りをさせられた 北陸新幹線も長い間、待たされた。列車の窓から深い雪に目をやり、雪国に対する「恩返し」が、もっとあってもいいと痛感した。
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