雑誌記事どうして理系は女子が少ないんだろう?R251月19日(月) 12時 0分配信 / テクノロジー - テクノロジー総合で、その理由を私なりに考えてみたところ、理系男子の多くが、あまり女性と接する機会のない環境で育ってきたからではないかと…。 理系職種には、大学の文系専攻から就職した人もたくさんいると思いますが、ほとんどは理工系学部出身。調べてみると、早稲田大学理工学部の女子比率は約11%、他大学でも理系専攻の女子比率は1割程度でした。高校から理系コースだったりすることを考えれば、女性に慣れていなくて当たり前です。 ところで、どうして理系はこんなに女性が少ないのか。脳の性分化について研究している人間総合科学大学の新井康允教授にお話を聞いたところ、ユニークな実験データを教えてくれました。 「全米の中学校の成績上位者3名を集めて、数学の大学入学資格テストを受けさせたところ、500点代の男女比は2:1だったのですが、600点代は4:1、700点以上になると13:1と、どんどん男女差が広がってしまいました。女の子は平均点付近に集中しているのですが、男の子は低い点から高い点までバラツキがある。それでも高得点は男子が独占しているので、男子の方が理系科目は得意なのでしょう。また、子どもを産んで育てるメスは平均的、メスから選ばれるオスはバリエーション豊富と読み解けば、生物学的にも納得できます」 また、目隠しをして右手と左手それぞれで立体に触ってみて図形の形を当てるテストを男女様々な年齢でやってみたところ、男の子は6歳くらいから左手での正解率が高いのに対して、女の子は12歳くらいまで左手正解率が上がらなかったそうです。 「左手の正解率が高いというのは、右脳頭頂葉での処理能力が高いことを示しています。右脳頭頂葉は奥行きや立体図形など空間認知を司る部分で、男の子は小さいうちから空間認知能力が優れている傾向にある。数学の中でも幾何のような図形を扱う分野が得意です」(新井教授) 男女に立体迷路をやってもらう実験では、男性の方が早くゴールできたのは予想通り。面白いのは、迷路に挑戦している最中、男性の脳内では海馬が活性化していたこと。同じ作業をしていても、女性の脳の海馬は活性化しないんだとか。海馬といえば記憶に関連する部位というイメージでしたが、実は空間や地理的判断をするときにも使うんだそうです。 「一方、女性は左脳と右脳をつなぐ脳梁(のうりょう)が太いので情報処理能力が高く、パッと目に飛び込んできた視覚情報(平面的)を処理する能力にも優れています。産まれてすぐの赤ちゃんがお母さんとアイコンタクトをとる回数を調べると女の子の方が多いなど、コミュニケーションに関しては女性の方が優れています。人の気持ちがよく分かるのも女性の特徴ですが、胎生期(胎児の時期)の男性ホルモンの影響によって人の気持ちを理解する“共感性”が低くなるという実験結果も報告されています」(新井教授) この結果だけを見て「男性は理系に向いている」とは言えませんが、女性の方が人とのコミュニケーションが得意な「文系寄り」で、男性の方がモノや形の認識力が高い「理系寄り」であるということには科学的根拠があるようです。脳の構造からして違うなら、女性である私が数学が苦手なのもしかたないんですね。 (R25編集部) ※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです 【関連記事・情報】 ・ 『理系クン』の著者に聞く理系男子のこんなところが好き! (2009.01.09) ・ どうして理系はオタクっぽく見えるの? (2008.12.19) ・ ホンモノの理系がたくさん!「理系カフェ」に行ってきた (2008.12.19) |
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