中東問題解説
〜テロ事件の背景〜
中東問題解説/2001.9.28
お約束の中東問題の解説をします。
かなり複雑で自分自身、完全には理解してないんですけど・・・・
テロの背後にはパレスチナ問題があるのは確実。
テロが起こった当日から言われてました。
このパレスチナ問題の解説がメインになります。
中東は世界最大の石油生産地域であり、石油を巡る争いが絶えない。
この石油がはじめて発見されたのが20世紀のはじめでした。
石油発見前はユダヤ人もアラブ人も平和に仲良く暮らし
大きな紛争のない地域だった。
だが、石油発見と同時に石油に目をつけた帝国主義諸国が
石油確保のために中東に進出する。イギリスやフランスがそうです。
アメリカは不参加
1914年第一次世界大戦がサラエボでのテロ事件を契機に起こります。
そして、ヨーロッパをはじめ全世界で戦争がはじまる。
中東はイギリスの植民地が多く、イギリスにとっても重要な地域
戦争中、イギリス政府はユダヤ人にこういいました。
「戦争に協力してほしい。もしその見返りにユダヤ人の国を作ってあげるよ」
この約束を得て、中東地域のユダヤ人はイギリスに協力します。
だが、同時にこんな約束をアラブ人にするのです。
「戦争に協力してほしい。もしその見返りにアラブ人の国を作ってあげるよ」
この約束を得て、中東地域のアラブ人はイギリスに協力します。
ここに最初の問題の種が生まれる。
ユダヤとアラブ、両方に同じ土地にそれぞれの国を作ると約束したんですから
だが、問題は両方の約束を破棄して、フランスと密約を結び
中東地域の植民地を英仏で分けることにしたのです。
今、世界地図を見るとイラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、シリアなど
多数の国がひしめき合ってますが、もともとは一つの国
英仏による分割がたくさんの国を生み出した。
結局、第一次世界大戦後、イギリスはフランスと仲良く中東の
植民地をわけてしまい、ユダヤ人、アラブ人はまんまと騙されました。
ここまでが第一段階、OKですか?けっこう複雑なので理解してない人は
最初に戻ってください。
その後、第二次世界大戦、ヒトラーのユダヤ人虐殺が起こります。
そして、戦争終結後、世界的にユダヤ人に対する同情が起こる。
同時に19世紀からユダヤ人の間でシオニズムの機運が盛り上がる。
シオニズムとは旧約聖書にあるシオンの丘(エルサレムにある)に
ユダヤ人の国を作る。という思想です。
今度はユダヤ教の話を、ここから複雑になるんですが(汗)
まず、ユダヤ教はキリスト教より古く、かなり昔からありました。
ユダヤ教は割礼で知られるように純潔を重んじ、排他性が強い。
いつか世界は終局を迎え、そのとき、ユダヤ教徒のみが救われるという
選民思想の持ち主でもある。
この最後の終局が映画になった”アルマゲドン”です。
あるユダヤ人がユダヤ教を宗教改革します。
排他性をなくし、選民思想をなくし、平等主義の宗教です。
その宗教改革者がイエズス・キリストなのです。
ユダヤ教の聖典は旧約聖書ですがキリストの教えをまとめたもの新約聖書をも
聖典とする宗教がキリスト教です。
この二つ、親戚みたいなもんです。
話を戻します。
終局の時に救われるという思想を持つユダヤ教徒は終局のために
自らの国を持ちたいと願い、この願いが叶える運動がシオニズムです。
そして、どこに国を作るか考え、紆余曲折の末、エルサレム周辺になりました。
今度は歴史の話で第二次世界大戦の移ります。
名前としては世界大戦ですが、中東地方はあまり関係なく
前近代的なシステムが多く残ることになります。
サウジアラビア、ヨルダン、イラクなど今でも国王が多いのは
第二次世界大戦に無縁だったからです。
戦争終了後、冷戦が始まります。
アメリカ対ソ連、この戦いに向かうとき、軍事的拠点として
中東はクローズアップされる。それは石油があるから
先進国はどこでも石油の安定確保のため中東がほしいのです。
そこで出てきたのがアメリカです。
中東にアメリカの影響を与えたい。そのためにイスラエルを設立する。
大義名分としてはシオニズムであり、ユダヤ人のための建国ですが
本音としては石油確保。それがことを大きくする一番の問題点
国連管理なり多少ありますが、結局、アメリカがイスラエルを建国
建国といっても、元から人が住んでるわけですから、そんな簡単じゃない。
じゃ、どうするか、簡単に言えば軍隊送って無理やり国作ったんです。
元から住んでた人は難民となって、逃げました。
こんな無理に国を作ると当然、問題が起こる。
イスラエル設立直後にアラブ諸国が土地の奪還を目指して攻め込みます。
これが第一次中東戦争と言われるものです。
イスラエルのバックには超大国アメリカがいて、多額の援助
援助をたて、イスラエルはアラブ諸国を打ち負かしさらに領土を広げます。
こんな感じの戦争がその後、3回起こり、第4次中東戦争まであります。
結果はすべて、イスラエル(実質的には&アメリカ)が勝ちます。
負けた方は土地を奪われ、それまで住んでた人は難民となる。
イスラエル国内に住んでいたアラブ人も多くは逃げて難民となる。
この難民のことをパレスチナ難民と呼びます。
イスラエル建国当初、ユダヤ人よりアラブ人が
多かったこともあり難民は膨大な数に。
イスラエルは周りがみんな敵だったんですが、アメリカの仲裁で
一国だけ和解します。イスラエルと平和にいくことにします。
この国がエジプトであり、カーター大統領の元、1978年に”合意”に達する。
アラブから見れば非常におもしろくない”合意”であり即座にエジプトと断行
アラブにとってはおもしろくない。
この合意をキャンプデービッドとの合意といいます。
ピッツバーグに落ちた飛行機が最初、キャンプデービッドを狙っていたのは
歴史的な”合意”の地を攻撃するという象徴的な意味合いがあったからでしょう。
1980年前後に起こる、ソ連のアフガン進行、イラン革命と
ありますが長いんで省略
だが、大事なのはアメリカの国益外交です。
ソ連がいると思えば、ソ連の敵を援助する。それがすべての基本
ソ連がアフガンに進行するとアフガンを援助したのです。
そのとき、アフガンの兵士だったのがウサマ・ビン・ラディン
かつてアメリカの仲間で武器援助受けていた。
結局、イスラエルの占領は続き、バックにアメリカがいるため
まともに戦っても勝てない。そこでテロに出るのです。
イスラエル建国と同時に(1948年)対イスラエルのテロが起こります。
大事なことなんですが、イスラエルの首脳陣が建国前
何だったかというと彼らもテロリストなんです。
イスラエル初代首相はイギリス大使館爆破の指導者
現・イスラエル首相も彼らと同じ政党(クルード)
ここまで、まとめるとアメリカのバックで1948年イスラエルができる。
国を突然たてたので、周りと戦争が起こる(中東戦争)
アメリカがバックにいるため、すべてイスラエルが勝つが
膨大なパレスチナ難民が発生する。
アラブ側はテロでイスラエルに対抗する。そういう流れになってます。
ここまでの理解いいでしょうか?
次、話は湾岸戦争に飛びます。
新しいので記憶にあるでしょう。
イラクのフセイン大統領がクウェートに進行!
そのとき、フセインは「イスラエルがパレスチナ占領をやめたら
俺たちもクウェートから撤退する」といいました。
確かにこれ、非常に正論なんです。
イスエラル占領はよくて、イラクが占領すると”正義”をかざすアメリカ
その矛盾(二重基準)を見事につきました。
反イスラエルのアラブ諸国は歓迎します。
湾岸戦争はアメリカの軍事力で無事(?)解決しますが
フセインが湾岸戦争でイスラエルの不自然さを全世界に広めてしまった。
そのため、湾岸戦争後、アメリカが中東和平に乗り出します。
いろいろあるらしいですが、イスラエルのラビン首相と
PLOのアラファト議長(アラブ諸国のNGOみたいな組織)
アメリカのクリントン大統領の三者で歴史的な合意に至ります。
戦争、テロ、殺し合い、それを続けたイスラエルとアラブ(PLO)が
アメリカの仲介で和解に至るのです。
歴史的な大事件が起こり、一見、平和に見えながらその後、不幸な事件が起こる。
イスラエルのラビン首相が暗殺されてしまうのです。
しかも、同じユダヤ人に
イスラエルの首相にはテロリスト出身がいると書きましたが
彼らはみな、極右政党クルードの政治家、それに対し
ラビン首相は穏健派なのです。
極右は絶対に和解はしない。ユダヤ人が一番という思想
それに対し、穏健派はパレスチナ人とも仲良くやっていこうという考え。
実際、20世紀のはじめまで仲良くやっていたわけですから。
結局、穏健派のラビン首相が殺され、次は極右政党が政権を握ります。
彼らは話し合う気すらない。結果はどうなるか、おわかりでしょう。
えーと、湾岸戦争後、までいきましたね。
結局、ラビン首相は暗殺 和平は中断、また殺し合いが続く。
第三段階、ここまでいいですか?
わからない方、前に戻ってください。
次はアメリカ国内の政治問題です。
アメリカにはロビーというシステムがあります。
ロビーとは自分の利益のために政治家に働きかけること
たとえばタバコ産業がタバコ保護のために
タバコ広告禁止反対を打ち出したりとありとあらゆる団体があります。
全米ライフル協会は規模の大きなもので、銃廃止や銃規制反対を
国会議員に働きかけるのです。
アメリカは日本の数倍選挙でカネがかかると言われ
その資金を政治献金で賄ってます。どうしても資金が必要
この資金を出しているのがロビー団体です。
選挙の時に自分達に不利な発言をする政治家を落としたり大きな影響力を誇る。
あまたあるロビー団体の中で最大とも言われるのがイスラエルロビーです。
ユダヤ人の国をイスラエルに作りましたが、人口だけならイスラエルより
アメリカの方がユダヤ人、多い。
そして、ナチスで生まれた親ユダヤ感情もありイスラエル・ロビーは
アメリカ政治に大きな影響力を持ってます。
実際、反イスラエル発言した議員、過去にいたらしいですが
ロビーが力を合わせ、その議員を落選させたことがある。
つまり、アメリカ国内がイスラエルに向かわなければ
ならない状況にあるわけです。
ロビーに関してはケネディ大統領が
「アメリカ政治はロビー活動なしには立ち行かない」と
言ったほどの影響力がある。
次は共和党と民主党の話に移ります。
ユダヤ人はほとんどが民主党を指示しているため
民主党は選挙対策もあり、共和党に比べイスラエル政策に
積極的な傾向が強い。
イスラエルとエジプトを和解させたカーター大統領も民主党出身
さらに、民主党のクリントンが湾岸戦争後、中東和平を
積極的にアプローチしたのは民主党出身だったのが大きい。
さて、今のブッシュは共和党?民主党?
彼は共和党の大統領なんですね。ここもけっこうポイント
ユダヤ人のバックを受ける民主党と違い、共和党は
イスラエル政策にあまり関与しないタイプ
ブッシュ就任以降、中東和平はあまり進んでない。
アラブから見ると大問題です。
アメリカがイスラエル作ったせいで血生臭い争いしてるっていう時に
ブッシュは中東、知らん振りでいるんですから。
これをテレビ、新聞では”反米感情の高まり”と報道してますが
いったい、何人わかっているのか非常に疑問
テロが要因の一つにアメリカ国内の政治問題もあるのです。
民主党から共和党に政権が変わり、中東政策が一貫しない。
ラディンはじめとするテロの目的はアメリカを中東問題に
積極的に対応させることです。
テロが起こるのは何百万とも言われるパレスチナ難民がいて
その原因はイスラエルとアメリカ
超大国に軍隊で立ち向かっても勝てないためにテロを起こす。
そんな構造がテロを起こすのです。
こういう事情を踏まえた上で新聞・テレビで「パレスチナ問題を
解決しないことにはラディン氏を捕まえても解決しない」という論理に繋がる。
日本でもテロが起こるからしれない。と最近、よくいいますが
アフガンに日本の国旗がなびけばまだしも、テロの目的を考えると
テロの危険はアメリカに比べりゃ、異常に低い。
総括すると石油を巡る欧米諸国の争いに半ば利用されたユダヤ人
国内ロビーの影響でイスラエル支援一筋のアメリカ
米ソ冷戦に巻き込まれたアラブ諸国(今回は省略)
宗教対立とよくいいますが、あれは間違いです。
テロ対民主主義国家と叫ぶブッシュ大統領ですが
アメリカが膨大な援助をするイスラエルはテロ出身の政党が政権握ってるん。
極右政党で対話にすら応じない。
ラビン首相は違う政党だからこそ、和平に応じたの。
まあ、石油を巡って、国益丸出しの二重基準をかざすアメリカ
なぜ、テロで狙われたか、アメリカ国民はゆっくり考える必要がある。
テロが起こったのは恨まれるようなことを散々してきたからです。
ニューヨークはアメリカ一、ユダヤ人が多い街
ニューヨーク選出議員の1/4はユダヤ系らしいです。
つまり
ニューヨークは経済の象徴でもあり、同時にユダヤ人の象徴
ペンタゴンは軍事の象徴
キャンプ・デーヴィッドはアメリカの中東政策の象徴
これら3つはアメリカと中東の接点だからこそ狙われた。
一連の中東問題個人的見解としては7割までがアメリカが悪い。
1.5割がイギリスが悪い。残りがアラブ諸国でしょう。
テロがいいとは決していいませんよ。
アメリカが掲げる「テロ撲滅」これ自体は素晴らしいことだと思います。
ただ、テロ出身者を首相に据える国を援助してる国が言えたセリフですか?
エジプトでイラク・フセイン大統領とアメリカ・ブッシュ大統領
どっちが好きですか?と聞くとフセインに軍配が上がるらしい。
イスラエルとアメリカ、両方と同盟を結んでいる国はよく見てますね。
前回、『なぜ、ヒトラーは選挙に勝ったか?』というタイトルにしました。
その理由、これらをゆっくり読めばわかりましたでしょうか?
大事な部分が欠落したり、間違っているところもあると思います。
いろんな意見に触れるのがよろしいでしょう。
参考にしたホームページでも見てください。
http://rerundata.hypermart.net/ura/hexagon/
http://www2.mwnet.or.jp/~jr7vmu/jijihodan/j-chuto.htm
http://www5a.biglobe.ne.jp/~tyahagi/
http://www.asahi-net.or.jp/~je6t-fjt/tap/text/elsalem.html
「ホーム」へ戻る