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【神奈川】もめ事多く親族を転々 横須賀タクシー運転手刺殺事件 不遇な少年期証言2009年1月15日 横須賀市で昨年三月にタクシー運転手高橋正昭さん=当時(61)=が刺殺された事件で、強盗殺人罪などに問われた米海軍横須賀基地所属の一等水兵オラトゥンボスン・ウグボグ被告(22)=ナイジェリア国籍=の公判が十三、十四の両日、横浜地裁(川口政明裁判長)で開かれ、証人尋問などが行われた。米国から来日した母親(39)は、周囲ともめ事が絶えず、親族を転々とした被告の不遇な少年期を証言した。 証言によると、母親は高校生のとき、ナイジェリアで被告を出産。被告が八歳になると、米国に住む男性と結婚して渡米。十八歳で米国に呼び寄せられるまで被告は、祖母や叔母の家、寄宿舎などを転々とし、そのたびに転校した。 中学生からは非行が始まり、渡米直前には叔母を殴り、教会に預けられもした。渡米後は母親や義父らと暮らし、短大に進学したが、その間も家出を繰り返すなど生活が安定しなかったという。 母親は「息子は私を母親と認めていないのではないかと、知人に相談していた」と悩みを吐露。一年半ぶりに会う息子について「感情や生き生きとしたものが感じられない。あなたの苦悩に気付かなかったことを謝りたい」と涙声で述べた。 さらに、問題行動については「今は医学的な問題があったのだと理解できる」と述べ、「幻聴によって犯行に及んだ」とする弁護側の主張に沿った証言をした。 しかし、被告の同僚は被告について「勤勉だった」、一緒に暮らしていた日本人女性(29)は「優しい人だった」などと述べ、いずれも「精神的な病気があるようには見えなかった」と証言した。 一方、被告は終始、証言を無表情で見詰め、被告人質問では「犯行はすべて『声』に従ってやった」との主張を繰り返した。被告人質問は三十日にも行われる。 (中沢穣)
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