仏保険大手アクサグループのアクサ生命保険や三井住友海上火災保険グループの生保を相手に、企業向けの不正な保険契約が大規模に結ばれていたことがわかった。生保から払われる多額の販売手数料を目当てに、代理店が企業の名義を借りて契約を結び、一時的に保険料を立て替えたうえで早期に解約していた。不正契約数は1万件超、代理店側が得た手数料は100億円規模になる。
保険料の立て替えといった特別の利益を契約者に与えることは、契約の公平性や不正防止の観点から保険業法で禁止されている。1万件を超す不正契約は過去最大規模で、金融庁も調査を始めた。
アクサ生命や三井住友海上きらめき生命などによると、不正契約をしていたのは08年12月に倒産した金融会社「信和総合リース」(東京都千代田区)の複数のグループ代理店。関係者によると、代理店は中小企業経営者らに「保険料を立て替える」などと持ちかけて高額な保険契約を結び、販売手数料を得ていた。契約が増えるほど手数料は上乗せして支払われる仕組みだった。中小企業に代わって契約を管理し、3年前後で早期解約、解約返戻金も手にしていた。こうして得た資金を別の契約の保険料に回し、契約数を急速に伸ばしていった。
名義を貸した中小企業の中には、「謝礼」として信和側から数十万円程度を受け取っていたケースがある。保険料を立て替えてもらっているのに自社の資金で払ったことにして損金処理し、税金を不正に少なくする手法も採られていたという。
信和側は全国の複数の税理士と提携。顧問先の中小企業を紹介してもらい、契約が成立すると税理士に紹介料を払っていた。関係者は「税理士も不正契約を知りうる立場だった」と指摘している。