企業向け保険で大規模に不正契約を結んでいたアクサ生命保険などの販売代理店グループ側に、少なくとも13人の税理士や公認会計士が計59億円を貸し付けたり出資したりしていたことが分かった。このうち10人は、医療機関向けにコンサルティング活動をする税理士らが作った任意団体の会員だった。複数の税理士らが利殖目当ての資金提供だったと認めたが、不正契約については「知らなかった」としている。
この問題では、日本税理士会連合会の前会長(78)が妻ら親族とともに販売代理店の一社の役員に就任。代理店を率いて不正契約を主導した金融会社「信和総合リース」(東京都千代田区、08年12月に破産)側に、金利12%で5億5千万円を貸し付けていたことが判明している。前会長を含む13人から提供された資金は、同社の傘下にあった代理店グループが、中小企業などの名義を借りて結んだ不正契約の保険料立て替えなどに使われたとされ、結果的に資金面で信和側を支えていたことになる。
朝日新聞が入手した信和総合リースの破産手続きの関係資料によると、同社には13人の税理士や会計士が5千万〜23億4千万円を提供していた。同社の資産を査定した事業再生コンサルタント会社によれば、貸し付けのほか、税理士らの顧問先企業などからの「運用委託」名目だった。4.5〜15.5%の利息や分配金を受け取る契約だったとみられるが、創業者だった元社長の死亡(昨年10月)や破産で回収は難しいという。
1人で23億4千万円を提供したとされる首都圏の公認会計士は「元社長から手数料を上乗せして返すと言われた。『別の会計士にも助けてもらっている』と言われたので信用した」と話す。この会計士に元社長を紹介されたという通信販売会社の創業者も、関係会社名義などで計54億円を貸し付けていたとされるが、「すべて会計士に任せていた」と言っている。