企業向け保険で大規模な不正契約が発覚した「アクサ生命」などの販売代理店の経営に、税理士の全国組織である日本税理士会連合会(日税連)の前会長(78)とその親族が関与していたことが分かった。役員に名を連ねていたうえ、代理店グループ側に少なくとも5億5千万円を貸し付けていた。この資金は12%の金利付きで返却される予定だったという。
取材に対し、前会長は役員就任などについて「形式的なものだった」と強調。保険業務との関係を否定する一方で貸し付けは認めている。
アクサ生命などの保険で不正契約をしていたのは、経営が行き詰まり08年12月に破産した金融会社「信和総合リース」グループ傘下の複数の代理店。同社の資産を査定した事業再生コンサルタント会社によると、代理店も事実上、信和総合リースの創業者だった元社長(08年10月に死亡)が経営していたという。
日税連の前会長が関与していたのは、こうした代理店のうちの一つで、08年5月まで京都市に本店があった「みやこ保険センター」。登記簿などによると、前会長は同社の監査役を務めた後、06年3月から08年4月まで代表取締役に就任。前会長は07年7月まで10年間にわたり日税連会長を務めており、代表取締役就任時は現職の会長だった。同社の役員には、前会長の妻ら複数の親族も就いていた。
前会長は取材に対し、役員だったことは認めたが、「(信和総合リースの)元社長から頼まれ形式的に就いただけだ」などと説明。さらに「私は保険のことには全くタッチしていない。すべて元社長がやっていた。元社長は『保険を通じて信和総合リースに金を回したい』と言っていたが、何のことか分からなかった」と話している。