2009年01月19日(月)
不登校 新たな支援の手 ラグビースクール開校、就労体験受け入れ 県内 進路見いだす契機に
中学生の不登校の割合が昨年度、全国ワーストになるなど不登校問題が深刻な山梨県内で、不登校の子どもへの新たな支援策が動き出した。ラグビースクールを開校してスポーツを通じて仲間の大切さを教えたり、ペンションに住み込んで就労体験をしながら自分の進む道を考えてもらう取り組み。これまでの支援はフリースクールでの心のケアや学習の補助が主流で、新たな手法の成果に注目が集まりそうだ。
甲府市和戸町の自営業望月大和さん(63)は、不登校の子ども対象の「かえでラグビースクール」を立ち上げる。チームプレーが求められるラグビーを通じて、みんなで一つのことに向かう楽しさを知ってもらおうと、2月から練習を開始する。
甲府南西中などの校長を務めた望月さんは定年退職後、教育現場から離れていたが、不登校の子どもの多い現状に「何かアクションを起こさずにはいられない」と、甲府商高−日体大とプレーし、恐れない心や不屈の精神を学んだというラグビーのスクール立ち上げを決めた。県内ラグビー関係者などに声を掛け、40人以上がスタッフとして参加する。
当面は山梨学院和戸ラグビー場で活動し、甲府、峡南、峡中、甲斐の四地域での活動に広げる予定。対象は幼・保育園の年長−中学3年で不登校の子ども以外も参加可能。不登校の子を参加させる父親は「同年代の子と共に汗を流して楽しむことで、学校に行けるようになれば」と期待する。
就労体験を通じた支援を行うペンションは、フリースペースを併設して不登校、引きこもり経験者を受け入れている北杜市大泉町西井出の「山の家ぽこ・あ・ぽこ」。オーナーの高山和雄さん(60)は、5歳時に発症したポリオの後遺症による右半身まひが原因でいじめられた経験から、不登校の子どもの支援に力を入れている。
高校3年の夏に約1カ月ペンションに滞在した東京都出身の女性(20)は「ペンションでの生活を通して、自分と向き合って将来のことを考えられた」と振り返る。ペンションの食事の準備を手伝う中で「料理に携わる仕事をしたい」と考え、調理師専門学校に進学。現在は高山さんの三男洋祐さん(30)の営むパン工房で働いている。
高山さんは「悩む若者が他人とは思えない。ペンションを手伝うことで、社会復帰する足掛かりにしてほしい」と話す。
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