新聞は、自由な投稿の場を通じて読者と双方向でつながっている。本紙に投稿している読者でつくる「ちまた友の会」が発刊した、会員による合同文集「ちまたの華 2」を手にした。
五年ぶりの第二集である。会員のうち二百一人が、本紙の「ちまた」「泉」「時事せんりゅう」、夕刊の「ちまたの風」に掲載された作品の中から一人二編ずつ収録している。
ページをめくると、どの作品にも作者の心の動きが投影され、まるで万華鏡をのぞくようだ。亡くなった家族や旅の思い出、孫との心の触れ合い、季節の移ろいへの感慨、遍路旅での充足感、平和を願う心…。社会や日常の断面を切り取った文章に人生模様が凝縮されているのを感じる。
地域への愛着、伝統芸能の継承への思いを書いた人もいる、人命軽視の表れともいえる妊婦転送拒否への批判、地球温暖化防止に向けた身近な取り組みへの提言など時事問題にも関心が寄せられ、社会の息吹が伝わる。
岡山県内各地に「友の会」の支部もでき、文章教室や講演会の開催、会報誌の発刊などを通して会の活動も活発化していると聞く。読者同士、読者と新聞が固いきずなで結ばれている証しだろう。
投稿欄は「時代」を映す生活記録でもある。読者との太いパイプをこれからも大切に育てていきたい。