2006年 06月 21日
◆【正論】拓殖大学教授・藤岡信勝 特定史観強要の設問が後絶たず ≪一方的な思想を押しつけ≫ 愛知県の県立高校の教師が、五月に実施した日本史の中間試験問題で「イラク戦争についてどう思うか」と尋ねて記述させ、「自衛隊派遣」に肯定的な解答には零点、否定的な解答には五点を与えていたことがわかった。この教師は試験後解答例を配り、「自衛隊はイラクの人たちのために良いことをしている」などの解答を「低俗な例」と記していた。県教委は「生徒に一方的な思想を押しつけかねない」として、採点からの除外などの善後策がとられたという(読売新聞、六月二十五日付など)。当然の措置である。では、次の問題はどうか。 問題文の冒頭には、「私たちの歴史をふり返ると、そこにはさまざまな抑圧と、抑圧からの解放を求める人々の抵抗の跡が刻み込まれている」と書かれている。そして、「抑圧からの解放の運動は、一九四五年の敗戦を経て、さまざまな形で実を結んだ。日本を占領した連合国軍の最高司令官マッカーサーが発した『五大改革の指令』もその一つといえる」としたうえで、指令に含まれていないものを一つだけ選ばせる。 正答は「天皇制の否定」である。つまり、マッカーサーは「五大改革の指令」によって日本国民を抑圧から解放したが、ただ一つ、抑圧されるままに放置した問題が「天皇制」だったというのである。 驚くなかれ、これは大学入試センターによる一九九九年度日本史Bの試験問題である。出題者は何の資格があって「抑圧と解放」史観なるものを受験生に強要するのか。 ≪問題づくりの原則を逸脱≫ 天皇制の否定を政治綱領に掲げているのは、政党の中では日本共産党だけである。センター試験は日本共産党の綱領に基づく歴史観と政治方針を注入する場となっており、「一方的な思想を押しつけ」ている点で、愛知の県立高校の中間試験問題とすこしも変わらない。 歴史には歴史的事実(史実)の部分と史実に対する歴史解釈の部分が含まれる。歴史の試験に出題することが許されるのは、史実の部分に限られる。これを破れば、試験は特定のイデオロギーや学説を受験生に押しつける思想教育の場、政治的洗脳の場と化してしまう。センター試験は、試験問題作成の原則を逸脱している。 私は、大学入試センターが管轄する「共通一次学力試験」と「センター試験」の、二十五年間分の「日本史」と「世界史」の全問題を入手し調査する機会を得た。重要な事実がわかった。右のような偏向した出題は一九九〇年にスタートしたセンター試験から始まっており、共通一次試験では試験を利用して受験生を洗脳しようという意図を含んだ問題が出された形跡がない。右に述べた作問の原則が守られていたからである。 センター試験への切り替えの時期に盛んに流された教育言説があった。歴史の試験は記憶力を試すだけではなく歴史の流れを把握しているかどうかを測るようにすべきだという主張である。このキャンペーンによって、特定の思想をもった出題者集団が、センター入試を自らのイデオロギーを受験生に注入する場とすることに成功したのである。 大学入試センターは、出題の原則を初心に立ち帰って見直すべきである。そして、記憶力を試す試験は劣っているという世間の俗論に惑わされることなく、少なくとも共通一次試験のレベルにまで正常化させるべきである。 ≪意図的出題問題が存在か≫ センター試験では、今年問題となった朝鮮人の「強制連行」が過去にも六回にわたって、しかも、二、三年おきに規則的に出題されていたことが判明した。毎年受験生が試験準備のため過去問を勉強し、「強制連行」を史実として覚えるように設計されていた。このような組織性・計画性は、明瞭な意図と方針をもった出題者グループが存在することを強く推測させる。 自由民主党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(古屋圭司会長)の二月二十六日の総会で、文部科学省は、これまで完全に非公開だった問題作成者の氏名を今後は試験終了後に公表する方針を表明した。さらに八月六日の同会総会に氏名公表の具体案を示した。これは正常化に必要な一歩であり、必ず実行されなければならない。 また、七月七日、東京、大阪、愛知の私立大学の一年生七人が、入試センターを相手取り東京地裁に民事提訴した。設問が憲法の保障する思想良心の自由を侵害しているという理由である。センター試験の正常化のために立ち上がった勇気ある学生たちを応援したい。(ふじおか のぶかつ) 平成 16年 (2004) 8月12日[木] 産経新聞 by sakura4987 | 2006-06-21 12:58 | ■教育(歴史・教科書問題)
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