近未来×予測テレビ ジキル&ハイド 毎週日曜午後7時58分放送

今までの放送内容

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「一度は食べてみたい!新食品スペシャル」
◎越後製菓(株)総合研究所所長 工学博士 笹川秋彦さん
◎服部栄養専門学校 教授 中村哲さん

プロの味が家庭で作れるイワシジュースを発見!!

生のイワシがジュースに変身!?
今、食品の味をそのままに「エキス化」するという全く新しい加工技術が料理界に革命をおこしているという!その正体とは…

<あらゆる食材をジュースに(エキス化)する「超高圧食品加工」>

新鮮なイワシを袋に入れ、真空状態にして密封。それを、ある機械に入れる。
24時間後、機械から取り出してみると、イワシは、見た目には原型を留めたまま残っている。しかし、袋ごと振ってみると…。なんと生のイワシの形が崩れ、あっという間にジュースとなってしまった!!
わずかな骨を残し、イワシの体組織の98%が液状化してしまったのだ。
イワシをジュースにしたこの加工法こそ「超高圧食品加工」と呼ばれるもの。
超高圧とは、1000気圧を超える高い圧力のことで、水深1万メートルの海底にかかるのと同じ圧力である。そのとてつもない圧力を生み出すことができるのが、さきほどイワシを入れた機械、「まるごとエキス」である。この器械を使うと、あらゆる食材がジュース化、つまり、液状になる。
そのメカニズムは、超高圧をかけることにより、食材本来が持つタンパク質分解酵素を活発化させ、食材そのものが自身の中にあるタンパク質をアミノ酸に分解する、つまり液状化するというもの。タンパク質分解酵素のない食材(例えば、生肉や、トマト、レモンなどの野菜類)については、ジュース化させる時、つまり、真空にする時に、一緒にタンパク質分解酵素を入れることにより液状化を促すことが出来るのだ。

<「超高圧食品加工」を考えたきっかけは?>

そもそも超高圧の研究は、沈没した潜水艦を引き上げた時、中に積み込まれていた食物(サンドイッチやリンゴなど)が、年月が経っているにもかかわらず、全く腐敗していなかったことから、その研究は始まった。

<超高圧食品加工のメリットとは?>

超高圧食品加工のメリットは、この3点が主として挙げられる。

  • (1)うま味が増す
  • イワシとイワシのジュースを比べると、なんとうま味が14倍にも増えるという結果が。うま味成分として知られる「遊離グルタミン酸」はアミノ酸の一種。
    タンパク質が分解されることでアミノ酸が増え、結果、遊離グルタミン酸が格段に増えるのだ。
  • (2)殺菌作用がある
  • 1000気圧以上の高圧を食品にかけることにより、その中にいる細菌やウイルスの細胞壁を壊し、死滅させることが出来るという。従来の熱処理に変わる次世代の殺菌方法として注目されている。
  • (3)超高圧食品加工により、新食感が生まれる
  • 越後製菓、総合研究所所長の工学博士、笹川氏は、さらに超高圧の研究を重ね、6000気圧まで加圧できる超高圧マシーンを開発。それを用いて、卵に超高圧をかけてみると、たまごは割れず、ゆで卵のような状態になった。6000気圧という高圧により、タンパク質分解酵素が凝固してしまい、固まったのだ。
    この食感や味は、熱処理したゆで卵とは、まったく違う。

<超高圧食品加工はさらに身近なものに…>

すでに、超高圧食品加工機械「まるごとエキス」を利用しているレストランもある。
東京・渋谷にある「オフィチーナ ディ エンリコ」では、手間のかかるはまぐりのソースを超高圧マシーンを使うことによって、さらに美味しく、手軽に調理している。また、超高圧加工された食品も、すでにさまざまな所で、販売されている。
例えば、ジャム、味噌、ドレッシング、お米、お餅、ウインナーなど。
さらには、食物アレルギー体質の人でも食べられる食品の開発研究なども進められており、超高圧加工の食品が私たちの生活に馴染む日も、もうすぐそこに来ている。

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超一流店で人気!新食感のカプセル料理!!

今、料理界では、食材を分子のレベルで捉え、全く新しい食感を生み出す「サイエンス料理」が続々と誕生している。
“世界で最も予約が取れないレストラン”として有名な、スペインの「エル・ブジ」。
ここのオーナーシェフ、フェラン・アドリア氏が、次々と斬新な料理のレシピを公開したことで料理の世界に新風が巻き起こったのだ!
そのアイデアから生まれた料理の一つが、カプセル料理なのである。

<見た目も食感もびっくり!「カプセル料理」とは?>

東京都内で人気の一流レストラン「タパス モラキュラーバー」。
カウンターでなにやら調理するシェフの手元には注射器のようなもの…。
しかもその中には緑色の液体が。水槽の上に注射器を並べ、注射器を押すと緑色の液体が次々と水槽の中へ。水槽に入った途端、球体に変化していく…!
なんと「キュウリのキャビア」を作っているのだという!

カプセル料理とは、アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムを使って、液体の食物をカプセル状にすること。例えばこのキュウリのキャビア。
緑色の液体は、キュウリのジュースとアルギン酸ナトリウムを混ぜたものである。
その混ぜた、粘りのある液体を塩化カリウムを溶かした水の中に一滴ずつ落とす。
そうすると、キュウリの液体は、球体へと変貌するのだ。

しかし、なぜ球体になるのか?そもそもアルギン酸ナトリウムとは、昆布などの海藻が持つ、ヌルヌルとした成分の一種。そのアルギン酸ナトリウムと塩化カリウムには、それぞれの分子同士が触れ合った瞬間強く結合し、ゲル状の膜を作りだすという特性がある。この特性を利用したのが、カプセル料理なのである。
この料理法を用いれば、あらゆる物をカプセル状にすることができ、料理そのものの味でありながら、全く違う食感を楽しめる料理を生み出せるのである。

<料理界に科学の概念を持ち込んだ男 フェラン・アドリア>

“世界一予約が取れない”という、スペインにあるレストラン、「エル・ブジ」。
4月から10月までがオープンシーズンで、オーナーシェフのフェラン・アドリア氏は、オープンシーズン以外の約半年間、世界各国の料理店を視察し、研究。その研究の成果を半年後のオープンに生かしているという。そんな彼の手掛ける料理は、世界各国で認められ、高い評価を得ている。 
このエル・ブジを世に広めた料理法に「エスプーマ」という器械を使ったものがある。液化した食材をエスプーマに入れ、亜酸化窒素を加えると、食材がムース化するのだ。

<未知の食感が!液体窒素を使った料理法>

フェラン・アドリア氏の元で修行をした日本人シェフ、山田チカラさんは、学んだ手法を活かし、アレンジした全く新しい料理を日本で作っている。
それは、「液体窒素」を使った料理。常温でマイナス196度という極めて低い温度を保つこの液体窒素に、エスプーマでムース状にしたフォアグラを入れると…
瞬く間に固まるムース状のフォアグラ。これをフードプロセッサーで粉末状にすると、きめ細かいサラサラの粉末のフォアグラとなる。そこに熱いコンソメスープを注げば、白い煙が沸き立つ新食感料理「フォアグラとコンソメのスープ」が完成!

他にも、マンゴージュースのような液体に液体窒素を加え混ぜれば、ジェラートよりも滑らかな食感を生むことができたり、さらに、液体窒素を使った料理の特徴として、それぞれの食材の融点が違うことを利用すれば、様々な口どけと食感を生むことができるのである。
そんな未知の食感を生み出すこのような料理法、今後もさらに人々を驚かす料理を作り出す可能性を秘めているのだ。

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家庭でできるサイエンスレシピ!

料理人が考えたのではなく、大学教授が考案した、科学の力を利用した料理をご紹介!特別な器具や材料を使わなくても、今すぐご家庭でお試しいただける仰天のサイエンスレシピです。

<安くて硬い肉が、柔らかい高級肉に変身!!>

使うのは、なんとマイタケ!その方法は…

  • (1)まず、お肉1枚につき、同じ重さのマイタケを用意し、みじん切りにする。
  • (2)次に、みじん切りにしたマイタケが、ひたひたになるぐらいに水を加え、1、2時間置いておく。
  • (3)続いて、マイタケをざる濾しし、浸した汁を取り出す。この汁を、肉と一緒に保存パックに入れ、空気を抜いて密封。およそ2時間、冷蔵庫で寝かせる。
  • (4)後はいつものように焼くだけでOK。

こんな簡単な方法で、安くて硬い肉が、高級肉のように柔らかくなるのです!

<驚きの科学、タンパク質分解酵素の力!!>

なぜ安くて硬い肉が、柔らかい高級肉のようになるのか?
そこには、こんな科学が隠されている。マイタケの中には、エンドペプチターゼというタンパク質分解酵素が含まれている。この酵素が、牛肉の筋組織を破壊。
つまり、マイタケの酵素が、動物性タンパク質を分解し、安くて硬い肉を、柔らかくするのである。
家庭で使えるサイエンステクニック、ぜひお試しあれ!!

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