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輝け新球場1期生<5> 小松剛投手(22) '09/1/19

 ▽プラス思考、弱さを克服 ドラフト3位、法大

 「サヨナラだけが人生だ」。小松ほど、この言葉に痛みを感じている投手もいないだろう。中学、高校、そして大学。各年代の最後の試合は、すべてサヨナラ負けを喫した。「野球は失敗と隣り合わせのスポーツとはいうけど」。苦笑した。

 「プラス思考」。今では胸を張って言える座右の銘は、自らの弱さに打ち勝つための武器である。「失敗すると考え込んだり、落ち込んだり。切り替えろと言われ続けてきたが、簡単じゃなかった」。投手としての高いスキルを十分に発揮できないでいた。

 大学2年の春、負けなしの3勝を挙げ、胴上げ投手となった。しかし秋以降、勝てない日々が始まり、表舞台から名が消えた。そんな時、ある本を読んで悟ったことがある。「負の出来事を引き寄せているのは、自分の考え方なんだと」。お守りとして、ボールに「大丈夫」と書き込んだ。「このボールを握っている時だけはマイナスのことを考えない」。自分へつくった約束事。転機はささいなことだった。

 4年秋の早大1回戦。斉藤佑樹投手との投げ合いは小松の成長を証明した。球の力ではなく心の力。終盤の反撃にも動じず、完投勝利を挙げた。「打たれちゃいけない、なんて考えない。大事なのはこの感覚なんだ」。この快投が各球団のスカウトをうならせた。

 「悔しい思いも人一倍してきた。すべてはそのおかげです」。プロへの道筋をつくったプラス思考という軸。大野寮の部屋に転がっていた汚れたボールが、弱い自分とのサヨナラを告げていた。(小西晶)=おわり

 こまつ・たけし 1986年9月26日生まれ。179センチ、75キロ。右投げ右打ち。高知市出身。法大。背番号41。

【写真説明】「プラス思考」を胸にプロの扉をたたいた小松(撮影・今田豊)




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