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いま高島市で 市長選に寄せて(下)

2009年01月17日

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立て替えが決まった公立高島総合病院=高島市勝野

【公立病院 赤字19億円重く】

 町村合併前から懸案だった公立高島総合病院の建て替え工事が来春から始まる。合併特例債などを活用し、約65億円をかけて、震度7程度の地震でも機能が維持できる免震構造になる予定。へき地医療の拠点で、将来予測される琵琶湖西岸断層帯地震では災害拠点病院の機能も担う。だが、累積赤字は今年度決算で19億円になる見込み。赤字の解消や常勤医師の確保、市内の民間病院との連携など、抱える難題は多い。

 同病院の医療圏人口は大津市の旧志賀町を含め約6万人。外来患者は80年代には年間18万〜19万人を数えたが、07年は13万4千人台に。01年度に40億円を超えた診療収入は昨年度、32億円に減った。

【医師不足 収入減に直結】

 医療収入が減った原因の一つは医師不足だ。01年度には38人の常勤医がいた。しかし、今年度は25人。これに34人の非常勤医師が加わり、内科、循環器科、小児科、外科、整形外科、産婦人科など18の診療科を支える。診療科があっても医者がいなければ、「開店休業」同然だ。06年度には産婦人科医師がゼロになり、1年後に新潟の病院から医師を連れてくるまで、休診を余儀なくされた。

 医師不足について、病院関係者は04年度に国が導入した新医師臨床研修制度の影響を指摘する。病院に医師を供給する大学自体が医師不足の状態となり、派遣しにくくなったという。

 このほか、受診者が減った原因として、地域医療機関との連携不足を挙げる医療関係者もいる。

 高島市内には、歯科医院を除いて約30の民間の医療機関がある。高度医療技術を持つ高島総合病院には、地域の民間病院からの紹介で受診する人も多い。だが、民間病院の中には、患者を取られることを恐れ、市外の病院に紹介状を書くケースもあるという。市は、総合病院と民間病院との信頼醸成を促し、お互いの役割分担を図るため、院内に「地域連携室」を設置。今春から具体的な連携のあり方について検討を始める。

 総合病院を担当する山内敬副市長はいう。「4月から看護師を増員し、1人が担当する患者数を現在の10人から7人にすることで、高いランクの診療報酬が期待できる。10年度からの黒字を目指し、拠点病院の重責を担いたい」
(河村司郎が担当しました)

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