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牛ふんから燃料電池 高橋畜大大学院教授が共同開発

2009年01月14日 13時31分

究極のエコ発電 「アンモニアは宝の山」
 牛ふん尿のアンモニアを活用して発電する−。こんな世界的にも珍しい技術開発を、帯広畜産大学大学院の高橋潤一教授と住友商事(東京)が共同研究している。アンモニアから取り出した水素で燃料電池を作る実験。牛ふん尿の課題として地下水汚染につながる窒素を減らすほか、温室効果ガスを発生しない環境にやさしい「究極の方法」として将来的な実用化が期待されている。

牛ふん尿からアンモニアを抽出する実験機材と高橋教授

 約200万円をかけて実験装置を開発。20キロのふん尿で0.2ワットの電力を出すことができるという。同教授は「実用段階でないが、理論上は、牛100頭を飼う畜産農家から毎日排出される約8トンのふん尿で家庭で使う電気を3日分賄える」と説明する。

 バイオガスプラントではメタンガスを発電に利用しており、アンモニアを活用した燃料電池との併用により、バイオガスプラントが2度、発電できるシステムになる。

 環境面でも、ふん尿の発酵過程で発生する亜酸化窒素について、高橋教授は「二酸化炭素の300倍の温室効果があるため抑制が課題だが、アンモニアを抽出すれば発生を抑えられる」と指摘。同プラントで処理後の残さ物は液肥として畑に還元しているが、過剰な土壌散布で地下水汚染が懸念される窒素過多の状態についても、アンモニア抽出により窒素は空気中に出るため、土壌汚染を防げる。

 化石燃料を使うアンモニアの工業生産と違い、高橋教授のアンモニア抽出は牛ふん尿という廃棄物を再利用して資源化を図り、環境にもやさしい利点がある。アンモニアを活用したバイオエタノールも研究しており、高橋教授は「アンモニアはある意味で宝の山。今後は実験データを蓄積し研究を深めたい」と話している。
(児玉匡史)

 発電のシステム 高橋教授は、牛ふん尿から燃料のメタンガスを製造するバイオガスプラントの研究でも知られ、牛ふん尿を無酸素状態の「嫌気発酵」という過程を経て、アンモニア(NH3)を抽出する技術を開発した。燃料電池は、このアンモニアから電気分解で水素(H2)と窒素(N2)を取り出し、水素と酸素の電気化学反応で電気を取り出す仕組み。

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