7歳の男子。生まれつき片方が停留睾丸(こうがん)で、3歳でおろす手術をしました。睾丸は残せましたが、完全におろせず、途中で止まっています。自然に治りませんか。完全におろす手術をするなら何歳ごろがよいですか。(長崎県、母親)
睾丸とは、精巣とも言われ、精子を作る器官です。「停留睾丸」とは、陰のう内に睾丸が入っていない状態です。睾丸は、胎児の時はおなかの中にあり、妊娠30週ごろに陰のうまでおりてきます。何らかの理由で途中で止まってしまうのが停留睾丸で、男子の生殖器の異常として最もよく見られます。
停留した睾丸は生後半年ごろまでは自然におりることもあります。1歳を超えると自然におりることはほとんどなく、陰のうの中におろして固定する手術をします。睾丸をおろさないと、精子が作られません。睾丸が精子を作るためには、睾丸の温度が体温よりも2~3度低くなければならず、身体の外にある陰のうに入れなければならないのです。
手術は、かつては5歳ごろまでに行えばよいとされていました。最近は2歳までにすることが多くなりました。精巣の機能低下を防ぐためにはより早く手術をした方がよいと考えられるようになったからです。
停留睾丸のうち、睾丸が十分に成長せずに小さな組織の塊になってしまっている場合があります。将来的に悪性腫瘍(しゅよう)になる可能性があるため、除去する必要があります。ご質問のお子さんは、年齢やこれまでの経過から、自然におりることは考えにくいでしょう。睾丸の機能が期待できるのかを判断したうえで、機能を生かすために再度、陰のう内への固定手術を考えましょう。最近は超音波による診断もあります。できるだけ早く、小児外科や小児泌尿器科の専門医の診断を受けてください。
毎日新聞 2009年1月18日 東京朝刊