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2009-01-17

はじめての山登りに必要な装備と準備

「疲れたから」遭難 山岳遭難10年で最悪

http://mytown.asahi.com/yamanashi/news.php?k_id=20000000901160007

 同課によると、08年1〜12月の遭難者数は105人で、前年より34人も増えた。02年に同数を記録して以降、07年まで70〜80人程度で推移していたが、急増した。

 内訳は、死者が16人(前年比1人増)、行方不明者が3人(同2人増)、負傷者が35人(同2人増)。死者、行方不明者の約90%にあたる17人が40歳以上の中高年。63%にあたる12人は、単独登山だった。

 単独登山は俺もよくやってたけど、単独登山の場合、どうしても装備が限られちまうからなあ。装備の徹底とバックアップ含めた事前準備はパーティ登山以上に徹底する必要はある。

 また、中高年が多い理由としては、自分の体力に対する過信もあるんではと思う。山は想像以上に体力消耗するんで。そんでもって、段々消耗していきなりガクっとくる感じになる。できれば、自分の体力と勘案して余裕のあるプランニングと、ちょっとでもやばいと考えたら撤退する勇気も必要。山は逃げないわけで。

 通報で救助に向かったが、けががなかったり、下山後、病状が回復したりした人が51人(同29人増)と多かったことも特徴だ。

 これは、むしろいいことなんじゃねえかと。下手に頑張ってさらに最悪の結果になっちまったら元も子もないんで。

 とはいっても、症状の前兆がある時点で撤退すりゃ通報する必要もない話なんだが。

 中には、「日が暮れて、道が見えなくなった」とか「疲れた」と言って救助を求める人もいたという。

 これ論外だろ。そもそも事前のプラン立てないで登るなよっての。

装備や事前準備が万全でないのに登る人が多かったことや、携帯電話の普及で救助を求めやすくなったことが増加の理由として考えられるという。

 とはいっても、どのレベルまで装備すりゃいいか、どう事前準備したらいいかというのは、初心者には難しいんで、要点だけをピックアップして書く。

 まずは日程の確保。

 最悪の状況を考えると、家を出て山登ってまた家に戻るまでの日数+1日及び2日ぐらいの日程は確保したほうがいい。日程に余裕があることで、焦りが出なくなる。

 次に気候調査。

 これは前日だけでなく、登山1週間前ぐらいから天気図を中心に天気の傾向を見る。この場合、地上天気図だけでなく850hPa高層天気*1、700hPa高層天気*2も重ね合わせて読むといい。地上と高層では意外と天気が違う。チョモランマ素人では金銭的にまず無理だから外しとくとして、セブンサミットクラス海外の山登る場合だったら500,300hPa高層天気図も必須。国内だったら700hPa高層天気図まであればこと足りるか。

 天気図については、このサイトが詳しい。

 http://www.imocwx.com/wxfax.htm

 次に、日の入り日没時間の把握。

 特に日没時間重要。それが把握できなきゃプランニング以前の問題。

 これらの情報はこのサイトで手に入る。

 http://www.nao.ac.jp/koyomi/

 そして、登ろうとしてる山の山行記録インターネットで検索して把握する。

 そこまで行ったら、今度は地形調査。国土地理院発行の1/2500は最新版を買う。地図ははっきりいって消耗品なんで。

 そこまでやったら、今度はバックアップ対策だ。

 まず、山岳保険は必須。最悪の場合に備えて。

 日本山岳協会山岳共済会の山岳保険が掛け金の割には補償額が多い。

 http://www.moon.sphere.ne.jp/jma-kyousai/index.html

 

 で、いよいよプランニング

 プランニングの際には、登山カードの記入が必須。登山カードは、登ろうとしてる山の所轄の警察署に提出する登山計画書のようなもん。それぞれの山に対して書式がある。以下に例を示す。

 北アルプス

 http://www.jac.or.jp/info/doukoukai/tukumo/siryou/todoke/na.pdf

 上越地区版

 http://www.jac.or.jp/info/doukoukai/tukumo/siryou/todoke/ni.pdf

 谷川岳

 http://www.police.pref.gunma.jp/seianbu/02tiiki/tozan-todoke.htm

 で、この登山カードに書くプランニングだが、できるだけ正確に書くように。というか登るときは、そのプランニング通り登ることを徹底するようにしたい。もし遭難した場合、そのプランニングをもとに捜索するわけなんで。

 ということは、現実的なプランニングを立てないと意味がない。炎上しまくってるプロジェクトのように、土日に線表入れるからというのでは話にならないわけで。休憩時間もひっくるめた余裕のあるプランニングが必須。

 そんでもって、登山カードについては、記入した後、登ろうとしてる山の所轄の警察署に前もって提出する。大体は郵送かFaxかな。書き方がわからなければ、出入りの山岳用品店に聞くといい。

 ルーティングについては、複数の書籍ネット上の山行記録を当たって、自分の体力、スキルに合うルートを選ぶ。 

 それやったら、次は装備品の点検。宿泊を伴うケース(日帰りか宿泊か)、宿泊場所(テント山小屋か)によっても違う。

 まずは共通して必要なものから。

 下着、シャツ

 綿素材は正直お薦めしない。手入れは楽だが、乾きが悪い上、濡れたら保温性を失うという特徴があるんで、汗かいたら身体冷やしちまう。その辺考えると化繊がお薦め

 ブレスサーモは個人的にいいなと。

 http://www.breaththermo.com/variety/index.html

 秋以降の登山については、ステテコも着用したほうがいいかな。でなきゃ山上泊時に着用するために持ってくるとか。基本的に綿素材はお薦めしない。

防寒衣

 これも基本的に全シーズン必須。フリース+ウィンドストッパーの組み合わせがかなり多い。最近は結構おしゃれなのも出てる。これは季節によって結構変わる。

ウィンドブレーカー、雨具

 これも必須。山で雨降ったときに適切な雨具があるかないかでは全然違う。レインウェアは色んな形があるが、セパレートタイプお薦めビニール製やゴム引きは通気性に問題がある。ゴアテックスが一番信頼高いかな。

 秋以降だったら、スノボー用のウェアで代用するという手もある。スノボー用のウェアも防水性、通気性に優れてるんで。可能であれば防水スプレー塗っておくともっといい。

ズボン

 綿素材はお薦めしない。カーゴタイプだと結構使い勝手がいいが、試着して履き心地がいいもののほうがいい。その際には色々脚を動かしてみるといいかな。

手袋

 意外と重要。さらにいえば軍手もあるといいかな。これもデザインよりも手になじむかどうかで決めるといい。

靴下

 化学繊維かつ長めのほうがいいかな。そんでもってサポートがしっかりしてるもの。ゴムが弱くてルーズソックス状態だとストレスたまる。金は惜しまないほうがいいもののひとつ。いい靴下とそうでない靴下では疲労度が違う。1枚履きか2枚履きかは好みにもよるが、俺は1枚履き派。その後の靴選定にも重要な要素になる。

登山

 これがなきゃ話にならない。最近はすごく細分化されてて選定が難しい。が、用途目的に合う靴でないと疲労度が増す。スニーカーは基本的に話にならん。ブロックパターンかビフラム底じゃないと結構しんどいだろう。

 大きく分けると、トレッキングシューズ、軽登山靴、重登山靴に分かれる。

トレッキングシューズ

 日帰りハイキングトレッキングだったらこれで十分。重さは体力と勘案して。全般的に軽め。できればハイカットのほうが足首の保護にはいい。試着するときは、登山に使う靴下を履いてやったほうがいい。

登山

 テント宿泊も伴う登山だったら、軽登山靴のほうがいい。トレッキングシューズの違いは、ホールド位置が高くなってることと、全般的に重くなってること。そしてかかととつま先に防護材があるってことかな。素材は布製/ゴアテックスであれば蒸れなくていい。最近は布製でもかなり保温性が向上してるし、布製のほうが安いかな。

 こういう感じの靴をイメージするといい。

 https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1129216

登山

 多分、あまりハードコアじゃない登山では不用。つーかむしろ邪魔になる。ただ、冬山登山の場合は重登山靴は必須。アイゼンもはめやすいし。基本的に皮製が多いし、一番重い。片足1キロぐらい。値段も高い。

 全体的に、重装備を前提とした作りなんで頑丈。

 代表的なものだとこれ。

 https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1129187

 軽登山靴、重登山靴の場合は、靴の重さを利用して足を振り子のように出して歩くと疲れが少ない。

 試着の際は、きちんと上まで紐を通すといいかな。登山用品店に行けば一番適切なものを勧めてくれる。

 いずれにしても、ターゲットとなる山、登山形態に合わせる形がいい。

ザック

 40リットルから50リットルぐらいだったら2泊までの登山に対応できるだろう。テント泊の場合はテントの容量も考えて。ザックカバーもあると便利。

ストック

 テント泊の場合、あとは急な登坂角度のときは必須。テント泊の場合はツェルトやタープ立てるのに使える上、万が一のときの添え木代わりにもなる。

ヘッドライト+替えの電池

 マグライトでもいいっちゃいいが、ヘッドライトのほうが両手使えるから便利。耐久性、軽量性、電池の持ちを考えるとLEDのほうが使い勝手がいい。

サングラス

 雪山では必須。目を守るんで。色は好みによる。俺はイエロー系がいいかな。曇天時に一番見やすいし。

 コンパス

 道に迷ったときに役に立つ。読むにはスキルが必要なんでトレッキング等の軽登山のときに読む訓練するといい。

 ナイフ

 色々と使える。十徳タイプコンパクトな奴が使いやすい。値段はあまりケチらないほうがいい。安いものは使い勝手が悪かったりする。できればノコギリ付きがいい。

 ZIPPOライター

 百円ライターの場合、高所では点火が安定しない。ZIPPOのほうが風に強い。ただしオイルと石は必携。

 救急セット、洗面用具、ビニール

 泊まりの場合は必携。救急セットは色々スケールがあるが、バファリン、胃薬、シップ、包帯、包帯止め、三角巾ネット、バンソウコウ、虫よけは必須かな。

 次から、テント泊が必要な場合の装備について。

 テント

 こいつがなきゃどうしようもない。今はドームテントが主流。大きさはよく行く人数にもよるかな。俺は3〜4人用を使う。二人で行くこともあったりするし、1人用はかなり狭い。2人用がお薦めコンパクトで軽いやつがいいが、登山用途だったら登山テントのほうが居住性能はいい。大体2キロぐらいかな。フライシート付きのほうをお薦め。3シーズン+マルチシートで4シーズンつかえるタイプのほうが使い勝手はいいし安い。とはいっても新品で3,4万ぐらい。

シェラフ

 これも必須。収納時の形状によって、封筒型とマミー型(円筒のようになる)がある。収納スペース的にはマミー型のほうがコンパクトでいい。袋に納めるのには少々コツがいるが。冬山登らないんだったら3シーズン用が使いやすい。中綿は化繊とダウンがあるが、ダウンは軽くて保温性に優れてるが、高価+手入れが面倒。化繊のほうが手入れはしやすいし安いかな。値段は5000円ぐらいからある。

マット

 大きく分けるとウレタンマット、銀マット、空気マットがある。空気マットのほうがかさばらなくていいが、保温性がいまいちという欠点はある。空気マットのほうが高め。俺は銀マットを使ってるかな。耐久性がそれなりにあるんで。

 その辺は財布と相談するといいかな。

 ストーブ

 わかりやすくいえばコンロ。ガソリン式とガス式があるが、ガス式が主流かつ安いんでお奨め。ただ、カートリッジがかさばるという欠点はあるが。購入ポイントは、自動着火の有無と、カートリッジが一般的なもんか、消費量はどのぐらいかだろう。T型タイプカートリッジだったらホームセンターにも売ってるんで入手が楽

 食器、マグカップ

 ワンセット揃ってる組食器で十分。素材はチタンが軽くてお奨め

 最後に食料。

 食料

 レトルトの奴で十分。てか、あまり揃えると重くなる。量は3食×(日程+1)日分。主食アルファ米ごはんがいいかな。できれば、糖分のあるもの(黒砂糖チョコレート)も持っていくといい。酒は好き好き。俺の場合はフラスコサイズのバーボンは持ってく。寝酒代わりに。

 そんでもって、水分はある程度あったほうがいい。2リットルぐらいほしいよな。

 

 そこまで準備したら、あとはパッキング。やり方についてはここらへんが参考になる。

 http://www.fieldmarks.co.jp/howto05.htm

 あとは、前もって家族に話し、前日は十分な睡眠を取って、いよいよ登山だ。

 携帯電話携帯充電器も忘れずに。ちなみに最初のうちは単独登山は避けたほうがいいかな。

 ちなみに、ここらへんに挙げたのはあくまでも必要最低限の装備。

 

 で、山に登ったときには、少しでも調子が悪いと感じたら、その時点で引き返すのが必須。パーティで行く場合、他のメンバーに気を使って言い出せないだろうけど、まともなリーダーだったら撤退も考える。そんでもって、もっと最悪の状況になったら迷惑かけるどころじゃないわけで。まあ、山は逃げないからな。

*1:海抜1,500mの状態

*2:海抜3,000mの状態

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