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shichisekiの日記

2009-01-17

裕福じゃないと博士後期課程に行けないとは限らない 01:06 裕福じゃないと博士後期課程に行けないとは限らない - shichisekiの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 裕福じゃないと博士後期課程に行けないとは限らない - shichisekiの日記

以下,僕の個人的な体験に基づくものです.サンプル数1ですが無い訳ではない,ということで.

息子(娘)の博士課程進学で親ができること

上記のページでは親がお金を出すことが前提になってますが,奨学金の支援が少ない日本でも上手くたち振る舞えば,親にかかる金銭的な負担を減らすことが出来ます(体裁的な部分の負担は減らせませんが).

サンプルケースとして僕の経歴や状況を説明します.僕は高専出身で,本科に5年間通った後,2年ほど働きに出ました.その後会社を辞めて高専の専攻科に入り,大学院しかない大学(奈良先端科学技術大学院大学)の修士課程を経て,今は博士課程に在籍しています.ちなみに僕の両親は低所得者で,大学院はおろか,国立でも学部の授業料すら払える能力を持っていません.ただとても理解のある両親で,好き勝手にやらせてもらっているのでとても感謝しています.

ではどうやってお金をかけずに博士後期課程まで行くか.まず,各段階において授業料を免除してもらうこと.僕は高専の3年生ぐらいから授業料を免除してもらっていました.専攻科も最初の半期は前年の所得がネックで免除されませんでしたが,以後の一年半は免除してもらいました.高専は授業料の免除が得られやすい(成績も1/3に入っていれば十分でした)ので僕はとてもラッキーでした.普通高校だと難しいでしょう.というわけで,高専本科+専攻科を上手く使えば授業料をかなり削減して学士を取ることが出来ます.

大学院は学部を持たない大学院がおすすめです.奈良北陸にあります.これらの大学は他の大学から学生を取ってくる必要があるため,いろんなメリットをつけて学生を引きつけようとしています.その一つに奨学金や授業料免除が得られやすいというメリットがあります.僕は修士の時は授業料を半額免除,博士課程になってからは全額免除してもらっています.奨学金も研究成果をそれなりに出せば免除される可能性があります.僕が所属しているNAISTだと,体感ですが博士後期課程に行っている人の半分ぐらいは修士課程での奨学金を半額免除されているんじゃないでしょうか.また,博士後期課程になればRAや非常勤講師学振など収入を得る手段も増えてきます.ですので,手段さえ選ばなければ(そしてそれなりに研究成果を出せば)博士後期課程に進学することもできなくはありません.学費はともかく生活費はどうするんだ,という点については,授業料を半額でも免除してもらえれば奨学金(という名の借金にはなりますが)でまかなえると思います.

いろいろと前提の多い内容ですが,お金が無くても博士後期課程に行くことが出来るよ,という一例でした.

ただ,博士後期課程に進学することを進める訳ではありません.個人的には研究者としての素質を十分に持った人だけが行くべきところだと思います.素質があるかどうかは修士のときに分かるはずですが,僕は気づくのが遅かった.