「私」が軽音楽部の部室でジャズバンドの練習をしている時、
一人の少年が部室に入ってきたのです。
彼を一目見て、「私」は絶世の美少年に心を狂わされる思いでした
その美少年の名は風間菊雄
日本舞踏「若松流」の御曹司とのことでした。
「私」には久美子という彼女がいましたし、男性に対して興味をもったことも
ありませんでした。しかし、文化祭で菊雄が演奏した箏曲(そうきょく)『春の海』を
聴き、ジャンルは違えど音楽をやる者として感動し、手紙を彼に出してしまったのです。
そして、その手紙は今思うとラブレターだったのかもしれません。
その手紙から「私」と菊雄の関係が始まりました。
歌舞伎に行ったり、お茶をしたり。その付き合いは傍から見たら、
男同士のデートだったのかもしれません。
そして菊雄が泊まりに来たある日、「私」と菊雄はごく自然に
関係を持ってしまったのです。
自分の気持ちとモラルの狭間で「私」は悩みました。
しかし、悩んでも「私」は菊雄を愛していましたし、
菊雄も「私」を愛していたのでした。
菊雄は久美子とは違い、大変に女らしい人でした。
なので、「私」の部屋が菊雄の愛で満たされるのに時間はかかりませんでした。
しばらくすると「私」と菊雄の関係が学内で噂されるようになりました。
そして、久美子も気づき始め、激しい嫉妬に駆られたのでした。
そんな噂が立ち始めた頃、ささいな揉め事から菊雄との関係を断ち切ろうと
思い、学生ヤクザ・幹雄に相談したのでした。
しかし、そのことが原因で幹雄とその彼女・マリ子、そして久美子によって
菊雄は緊縛、陵辱され、「私」はその光景を見て、
地獄のような責苦と恍惚を体験するのでした。