当監査法人の関係者の方々へ                                                                  平成20年12月24日

                                                                                                  監査法人ウィングパートナーズ
                                                                                                         代表社員     赤坂満秋

                日本公認会計士協会による「会員に対する懲戒処分について」に関するお知らせ


                1 平成20年12月22日付けで、日本公認会計士協会より、別紙のとおり当監査法人の
                代表社員である赤坂満秋及び吉野直樹に対して懲戒処分を行った旨の通知がなされました。
                当該通知の内容は以下になります。

                「上記の両名に対し、①会員に与えられた権利の停止6か月及び②金融庁への懲戒処分の請求を行う。」

                2 株式会社ペイントハウス(以下「PH」という。)の平成17年8月期有価証券報告書に添付された
                適正意見監査報告書が、その監査手続、及び監査判断について相当の注意を欠いたことにより誤ったとして
                日本公認会計士協会の綱紀審査委員会に問題提起がなされました。
                両名は約2年半の間、同委員会及びその不服審査会において両名の監査手続き、
                監査間断の正当性を主張してまいりましたが十分な理解が得られず今回の決定となった次第です。
                なお両名は、自らの正当性を認められなかった事を極めて遺憾なものと考えております。
                両名の監査業務は相当な注意を払って行われたものと今もって判断しており、
                今後もあらゆる場において、自らの正当性を主張してまいる所存です。

                3 監査法人としての今後の業務に関する影響について
                ①については例えば公認会計士協会の会長選挙についての選挙権がない、
                という類のことであり監査業務とは無関係です。
                ②今回の処分決定は金融庁長官への懲戒処分の請求がなされるものとなっておりますので、
                両名に対して一定期間の業務停止等の処分が課される可能性がありますが、
                上記の処分は個人会計士としての両名についてなされるものであり、
                監査法人としての業務遂行に支障をきたすものではありません。
 
                多大なご心配をおかけしておりますが、当監査法人としては従来と変わらず、品質管理の向上に努め、
                厳正な監査業務を遂行させていただく所存ですので、何卒よろしくお願い申しあげます。
                                   以   上

                (ご参考)事案の要約

                1、今回の争点

                今回の争点は、PHが当初平成17年8月期に117億円の社債免除益を計上しましたが、
                この社債免除益の計上時期が、平成17年8月期か平成18年2月中間期かの争いです。

                2、事実関係
 
                社債免除に関する社債権者集会は平成17年8月3日に成立し、当該決議は認可決定されました。
                その後2件の即時抗告がなされたことから決算日である8月末日までにすべての法的手続きが完了せず、
                即時抗告の取り下げ、及び社債権者に約束した社債の一部債務(10%)の支払いは決算日を超えた
                10月21日に債務免除に関するすべての手続きが完了しました。
                なお社債権者集会の決議は8月30日に裁判所より認可が確定しており、
                また社債全額(130億円)について8月31日に登記所により消滅登記されております。
 
                3、日本公認会計士協会の見解
 
                このような状況下、日本公認会計士協会の見解では、社債権者集会の決議は
                和解契約をなすことを社債管理会社に授権したにすぎず、
                会計的にはすべての手続きが完了した時点(10月21日)で債務免除益を行うべきだとしています。
                また両名は金融商品会計基準に従った判断をしなかったとされています。

                4、両名の主張
 
                上記に対して両名は、社債権者集会決議の文言は「和解契約の締結授権」となっているが、
                その実質は社債免除そのものであること、また即時抗告の取り下げという行為は、
                当初より即時抗告がなかった事になり、その法律効果が8月末に遡及することから、
                平成17年8月期に当該債務免除益を計上する会計処理を妥当と判断致しました。
                もちろん金融商品会計基準に従って債務免除の時点を判断しております。
 
                当該案件についてはその会計判断につき複数の見解があることは当初より承知しておりましたが、
                両名は公認会計士協会の助言、法律専門家の法律見解、確定証明等の法的事実、
                会計判断基準(金融商品会計基準等)を総合的に考慮して相当の注意を払い会社処理を
                妥当と判断したものであります。